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「医療費抑制の時代を超えて」を読んで    !

公的医療費の削減を進めるには大きく2つの方法がある。

一つは公的な医療費は削減するが、混合診療など私的な費用負担や増やし、医療費総額は増やす道である。これは民間の医療保険の参入などもあるし財界が強く求める道でもある。医療関係者の中にも支持者は少なくない。もちろん保険業界にとっては市場拡大の願ってもない追い風である。

もう一つの道は公的な医療費は抑制し、自己負担もこれ以上増やさない、つまり総医療費も抑制するという道である。

この第一の道、「お金を払える人は追加料金を払えば保険で給付される以上の医療やサービスを受けられる仕組み」を求める人は医療人に多く医師の38%(勤務医の48%)にのぼる。しかし国民では18%、患者では12%にしか過ぎない。 一方「所得の高低に関係なく皆が同じレベルの医療を受けられる仕組み」が望ましいと答えた人のほうが多く、医師でも48%、国民で71%、患者では74%にものぼっている

もし第一の道が選ばれたならば、そのしわ寄せは中低所得者層中心に受診抑制という形でおきてくるであろう。公的医療保険は最低限の医療だけ、それ以上の医療は豊かなものだけということになれば、医療制度の「公正・公平」が悪化するのは明らかである。多くの国民はこの第一の道を望んではいない。

 第二の道を選択する場合、そのしわ寄せは、医療の質の低下や供給量不足、医療従事者への過重負担という形で現れるであろう。余裕がないところからさらに医療費を抑制し続けた結果、医療が荒廃したイギリスの経験を日本は学ぶべきである。費用を削りこめば短期的には「効率」は改善するかもしれない。しかし、医療の質やアクセスといったほかのところにしわ寄せが起きて医療現場は荒廃し、長期的総合的に見た「効率」はむしろ低下する};ことを、イギリスの経験は示している。しかも一旦現場が荒廃すれば、イギリスやカナダの例が示すように、その回復には多額の資金と長い時間が必要になることも忘れてはならない。

以下「医療費抑制の時代」イギリスの医療・福祉改革 からの抜粋です。
医療サービス研究の分野では、医療制度や政策を評価する際に、」3つのものさし(基準)でバランスよく評価すべであることが常識になっており、テキストの副題にもなっている。それは、効果、効率、公平・公正(effectiveness ,efficiency ,equity)の三つである。
医療費抑制により改善する「効率」というのはこの三つのものさしのうちの一つに過ぎず「効率」ばかりに注目して改革すると、他の2つにしわ寄せが生じてしまう。



                              





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Last-modified: 2008-03-16 (日) 17:44:48 (3928d)