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「市場原理が医療を滅ぼす アメリカの失敗」李啓充 !

医学書院 ISBN-260-12728-4 2100円。


本田整形外科クリニック 本田忠  著者は、現役の医師であり、元ハーバード大学医学部助教授です。 現在は医療に限らず多彩な活動をされておられます。 その著作は評者も大分読んでおりますが、 いつもながら、データに裏打ちされた、 論理的で明快な文をかかれます。 講演会でも、とにかく簡潔でわかりやすくすることを常に念頭におくとお聞きしたことがあります。

 この本は、非常に詳細、かつ広範な視点でかかれた、米国の市場の失敗なら ぬ「医療の失敗」の報告書です。 その内容は、我々にとっても、非常に時宜に富んでおります。 今まさに日本でたった数名の規制緩和論者により導入されようとしている、 市場原理の医療の問題点を明らかにしています。

○なぜ日本医師会は、混合診療導入に反対するのか? !

 これは多くの記者さんから直接ぶつけられる疑問です。 巧妙な経済諮問会議のプロパガンダとあいまり、 混合診療導入賛成論が多くみうけられます。 市場原理の医療の問題点が、残念ながら、まったく認識されていません。 はなはだしい時は、日本医師会が混合診療導入に反対するのは、 医師が損するからではないのかというご批判まで受けます。

○医療者の反応 !

 医療者内部では、長年の低医療費政策で、活動が制限されているために、混合診療賛成論も多い。 たとえば現在は医療系のメーリングリストは大変発達しておりますが、 そこでも賛成論者と反対論者の議論が拮抗します。

○一般の方の反応 !

 評者はかかりつけ医通信と言う、医療に関するメールマガジンを数年前から数名の先生と共同で、発行しております。 読者は、6000人くらいでしょうか。混合診療問題も最近は題材にしています。 読者の反響は、たとえば 「背筋が寒くなるような話だ。知らなかった。こんな重要な情報が、マスコミから入ってこない。 報道の仕方に、欠陥があるような気がします。」 と言う声も聞こえます。

これらに対して本書では 「株式会社が大々的に病院業を展開しているのは世界のなかで米国だけである。 株式会社会社容認論者は、株式会社病院チェーンが次々にスキャンダルを引き起こしている 米国の現実を知っているのであろうか?」

「米国では医療保険そのものを市場原理に委ねた結果、国民の7人に1人が無保険者となり、 財力の乏しい人々の医療へのアクセスが閉ざされてしまっている。 混合診療解禁の主張は財力に基づく医療差別化を制度化せよという主張に他ならない」

まさしく「米国の医療差別がどれだけ凄惨なものであるか、 混合診療解禁論者は知って主張しているのであろうか?」

「株式会社参入容認も混合診療解禁も、声高に唱えているのは、 規制改革、民間開放推進会議に代表されるように 医療におけるビジネスチャンスの創出を目論む人びとである。 ビジネスの論理が医療をどこまでゆがめてしまうか、本書をお読みいただくことで、 その恐ろしさをおわかりいただけるであろう。」 と、いうことにつきます。

 この本では、日本の規制緩和論者が導入を目論んでいる、 市場原理の医療の背筋が寒くなるような医療の実態が報告されております。 医療者のみならず、マスコミの方々、一般の方々など、是非多くの方々に読んでいただきたい。 正確な情報がなければ、当然、正確な判断はできません。 マスコミの報道が残念ながら片寄っている現状の中で、 現在の日本の医療政策に興味ある方々の必読の書と思います。




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Last-modified: 2008-03-16 (日) 17:46:23 (3777d)