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ポリサルホンについての国会質疑その2

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/096/0020/09608100020020a.html

日本共産党 榊利夫

歯科医療における保険制度の充実、歯科の差額問題、補綴部門を保険制度から外すこと、ポリサルホン義歯床などについて質疑がされています。


第096回国会 内閣委員会 第20号

昭和五十七年八月十日(火曜日)






○榊委員

 最近、差額ベッドの問題で、保険外の患者負担がふえる傾向にあるということで、いろいろこれが社会問題になっておりますが、歯科医療の場合にも、補綴などで保険外の治療費が高過ぎるという声がよく耳に入ってまいります。日本消費者連盟の調査でも、虫歯十一本の処置に保険がきかないで三十三万円かかったとか、あるいは他の歯も悪いからと言って総入れ歯にしたわけですが、三百八十万請求をされたとか、こういった極端な例もあります。

 歯科医療における保険制度の充実というのがこういう点で非常に望まれているわけでありますが、この点で、開業医の歯医者さんたちもちゃんと採算がとれるような方向での充実が必要ではなかろうかと思うわけであります。恐らく厚生省としても、保険点数の見直し作業その他、いろいろこの問題では御苦労願っているのじゃないかと思うのですが、厚生省としては、この歯科の医療保険の問題でどういう現状認識をお持ちなのか、それからどういう対応策をお考えなのか、まずこの点をお伺いいたします。

○大和田政府委員

 お答えを申し上げます。

 まず、歯科の差額問題、つまり保険外負担問題でございますが、これは数年前、この保険外負担問題でいろいろ議論されたことがございます。したがいまして、私どもといたしましては、日本歯科医師会と話し合いをいたしまして、保険外負担の解消につきまして逐次それを行っていきたいということで合意をいたしました。それは中医協にも報告をいたしまして、逐次保険外負担の解消ということをやってまいったわけでございます。

 昨年の六月の医療費改定におきましても、たとえば歯の唇顎、口蓋裂といったようなものにつきましても、これを保険に導入いたしまして、保険外負担の解消を一歩進めてきておるわけでございますが、なおまだ保険外で残っておるものにつきましても、できるだけ保険の中に入れるということで努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。

○榊委員

 この問題では現状いろいろ言われておりますので、改善、向上という点で前向きの御努力をこの際特にお願いしておきます。

 それから、一般的に申しましても、医療では予防、早期発見、早期治療、これが肝心だと言われておりますが、そのためにも医療保険制度の充実ということが望まれるわけでありますが、他方、臨調答申のように医療費総抑制ということで国庫補助を削減したりあるいは患者負担の増加を求める、言うなれば逆行現象も出ているわけであります。そういう点で、国民の中には心配もあるわけであります。厚生大臣にこの点をお伺いいたしますが、大臣は国民の健康に責任を持つ、こういう立場におられますが、当然そういう立場から医療保険制度については充実を願っておられるだろうと思うのであります。この点、所見はいかがでございましょうか。

○森下国務大臣

 厚生省は、暮らしと健康を守っていこう、またこれが厚生省の大きな目的でございまして、その中で、やはり健やかに長寿を保つ、長生きをするということが人間生活として大事なことでございます。臨調でも、活力ある福祉社会をつくるとか具体的にいろいろ書いてあるわけでございますが、現在の医療制度はいわゆる出来高払い制度で、患者はどの医者にかかってもよろしい、また、医者はどういう治療をしても自分の良識に従ってやってよろしい、それが点数になって請求される。私は、どの国よりもすぐれた制度であって、それが平均寿命を延ばしてきたんだ、このように思っております。ただ、新聞紙上をときどきにぎわしておりますように、もうほんの一部の方が乱診乱療、不正請求等で問題になっておりますけれども、私はいまの制度は悪くないという考えに立っております。

 しかし、これからの高齢化社会、高齢化時代に備えまして、今回老人保健法を提出させていただいておるわけであります。大体いま七十歳以上の方が国民の六%である。これがだんだん二十年後、三十年後、四十年後となってまいりますと、一〇%から二〇%近くまで上っていく、こういうことまで実は考えて、いわゆる中長期的な展望の上に立って、四十歳からの予防、保健、それから医療、リハビリという一貫した体制をつくっていこうということでございます。そういうことで、そのことによって総医療費の抑制が図られるというのが今回の老人保健法の目的でございまして、この医療費の問題につきましては、積極的にはまず病気をしないように保健、診断等を通じてやっていこう。ただ今日的な問題としては、やはりかなりの上昇率がございますので、この医療費の適正化対策のために積極的に取り組んでおりまして、高額な医療費につきましては十分補助をする一方、軽費な医療については受益者負担を求めるというような指摘があるわけでございますけれども、今後の医療保険制度のあり方に関しまして、保険の給付と患者負担はいかにあるべきかという制度の根幹にかかわる問題もございますので、そういう点も慎重に検討をしていきたい、このように思っております。

 以上でございます。

○榊委員

 大変長い御答弁をいただきましたけれども、老人保健法のことにつきましては、有料化という点ではやはり大変強い不満、反対もあるわけでありまして、この点では見解を異にいたします。しかしいま、今日の医療保険制度についてはいい制度だという御認識をお持ちのようでございますので、その点についてはそのいいところを伸ばしていくという方向で努力を願いたい、こう思うわけであります。

 それとの関連ですが、一部には歯科の問題で補綴部門を保険制度から外せという動きもあるように聞きますが、厚生省としては、この歯科診療の一部を保険制度から外す、こういう点ではいかがなお考えでございましょうか。

○大和田政府委員

 先ほども御答弁をいたしましたように、保険外負担というものはやはりできるだけ解消していかなければならぬ、そういう方向で私どもは努力をしていかなければならぬ、このように思っておるわけでございます。

 ただいまのように必要な医療、歯科医療の補綴につきましてはそれに属するわけでございますけれども、そういった必要なものにつきまして逆に保険外にするということにつきましては、私どもといたしましては、私どもの考え方に逆行する考え方である、したがって、それは保険外のものを保険内に入れる努力はいたしますけれども、保険内のものを保険外に持っていくというようなことを考えてはいないわけでございます。

○榊委員

 ひとつ必要な保険内のもの、これを堅持するということでお願いいたします。

 昨年厚生省の保険局の方でいわゆるポリサルホンの義歯床が保険導入されました。この問題は国会でも多くの議論があったと承知しておりますが、いまなお納得がいかない点が幾つかあります。むしろ幾つもあると言った方がいいかもしれません。その一つは、わが国の唯一の専門機関である日本補綴歯科学会が、このポリサルホンというのは金属床にかわるとは断定できないという見解をとっておられるわけであります。ところが厚生省は、これに耳をかさないで、ポリサルホンというのは金属床にかわり得るという見解のようでございます。

 お尋ねいたしますが、ポリサルホンについては臨床データがあるのでしょうか。

○大和田政府委員

 このポリサルホンにつきましては、先生先ほどおっしゃいましたように、金属床にかわり得るものということでポリサルホンの採用を昨年の六月に行ったわけでございます。それは、金属床につきましては従来から保険外負担である、これを保険内に導入すべきであるという意見が非常に強うございまして、何とかこれを保険内に入れたいと思っておったわけでございますが、どうも金属床につきましては価格が高いということで保険内導入がなかなか実現しなかった。ところがポリサルホンにつきましては、たとえば薬事法に基づいて製造承認なされる際の申請書についております添付書類であるとか、あるいは日本歯科技工学会会員のポリサルホン樹脂についての物性試験データといったようなものを見ました場合に、このポリサルホンが最も金属床に近いものである、こういう判断が行われたわけでございまして、それでこれはできるだけ早く金属床にかわるものとして保険内に導入しなければならぬということで導入いたしたわけでございます。

 先生の御質問でございますこの臨床データでございますけれども、これはこのポリサルホン義歯を使用しておる医療機関に依頼した臨床応用例というものの報告書が添付されておりまして、それを見ますると、ほとんどのポリサルホン義歯というものは歯科補綴物として適当であるというように報告をされておるわけでありまして、私どもといたしましては、先ほど申しました薬事法に基づく製造承認申請の際の添付資料あるいは日本歯科技工学会会員の物性試験データ等につけ加えまして、この臨床データを参考にいたしたわけでございます。

○榊委員

 いま応用例の話が出ましたけれども、少なくとも私たちが承知しておるところでは、許可に関する検査、これは申請者の自家試験によって判断されたというふうに承知しております。それで一時、去年でしたかしら新聞でちょっと騒がれたことがありますけれども、臨床試験が実はアンケート調査だというようなことも問題になりました。しかしいずれにしても、そういう状態のもとで意見も真っ二つに分かれておる。学会の意見もある。そういう中でポリサルホン義歯床が医療材料として承認された。そして従来の義歯床の倍の点数で保険導入されている。義歯床というのはここですね。私は玄人ではありませんけれども、ここに金属を使っておりますが、この金属のかわりにポリサルホンを使う。点数が従来の倍なんですね。これはどこから見ましても異常なんです。

 しかも、医師の証言をいろいろ聞きますと、ポリサルホンについては、樹脂なのでよくひずんでもとに戻る性質があるのだ、これが歯科の材料としては一番こわいのだと言うわけですね。つまり、たわむ。したがいまして、義歯床の材料としてはまことにこわい性質だ、こういう声さえあるわけでありますので、しっかりとした物理的、化学的な安全性の保障、検証がやはり必要だろうと思うのです。学会の一部あるいはお医者さんの中からも、検証がなされるまでしばらく使用を凍結したらどうだ、こういう提案もあるわけでありますが、ここまで来ますと一種の医療行政のトラブルということにもなるわけであります。私はこの点では、これまでのいきさつがありますので、担当部局というよりもむしろ大臣の大局的な見解を伺いたいと思うのです。

 たとえばソフトコンタクトレンズの承認の際は、成分の違いがあるのでそれぞれ臨床試験に関する資料提出が義務づけられた。そして薬事審議会にもかけられることになっておる。これは薬務局から通達が出ております。ポリサルホン義歯床も、たとえば改めて薬事審議会にかけるとか、そういった再検討の余裕を持つ必要があるのじゃないか、せっかち、無理押しはよろしくないと思うのです。このあたりについてはいかがな所見をお持ちでございましょうか。

○大和田政府委員

 先生のおっしゃいました件につきまして、もう少しコメントさせていただきたいと思うのでございます。

 まず、この適応症といいますか、これでございますけれども、このポリサルホン義歯につきましては、堅牢さ、それから薄さといったものについては、先ほど申し上げましたようなデータでもって明確にこれが立証されておるというように考える。ただ、口内状態が非常に変わり得るといったようなものにつきましては、これは非常に丈夫なものでございますので適応症というものにふさわしくない。したがって、ポリサルホン義歯を使う場合にはやはり適応症というものを選ぶことが必要だ、こういうことが言えるわけでございます。

 さらに学会の問題につきましておっしゃいましたが、私どもは、日本歯科医師会、これは学術団体の性格を有するものでありますが、これとの相談をいたしておりまして、合意の線に沿いまして、これは保険外負担の解消を図るための一環として行われたものでございますので、そういった面で私どもは歯科医師会の意見を十分に聞いておるということは言えるわけであります。

 それから、点数につきましては、先生おっしゃいました二倍といいましても二万一千円でございます。二万一千円、こういう点数でございます。これは従来のものに比べまして外注の技工料金が高いということから、このような値段にいたしたわけでございます。そういったようなことでございまして、これは保険外負担の解消ということにつきましてのメリットが十分にあるというふうに私どもは考えておるわけであります。

○榊委員

 余り時間がありませんので論議できませんけれども、歯科医師会の御意見というものも認可のときには聞かれた、ところが会そのものは、いやそのことは承知していない、こういう話もあるわけであります。

 それはともかくといたしまして、この問題については科学的な検証を大切にする、これがやはり医療の中では一番大切なことだと思います。その点では、いまここですぐに、いや再検討いたします、こういう答えはいただけないかもしれないけれども、しかし、少なくとも無理押ししないでじっくりと考える、大きな立場で研究したい、これぐらいの答弁はいただけるのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。

○大和田政府委員

 先ほど申しましたように、これにつきましても各県からはぼつぼつこれが使われているという報告も得ておりますし、またこれに対しまして、適応症にふさわしいものを使った場合にクレームというものが私どもの方には出てきておりませんので、これにつきましてはこのまま進めていって問題はないというふうに考えておるわけであります。

○榊委員

 その点については私、厚生省の姿勢が大変硬直していると思うのです。最後に、そういう硬直的な姿勢を改めて、やはり改むるにはばかることなかれではありませんが、率直に科学的な対応をする、これで終わりというのではなくて引き続いて研究を進めていく、こういう態度を望みたいと思うのであります。


関連項目

歯科の初診料、再診料に関する質問主意書

の質問1をご覧ください。



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Last-modified: 2008-12-14 (日) 18:29:18 (3230d)