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【メディカル・ロス】

医療保険においては、医療保険料全てが、医療費として支払われるわけではありません。保険を運営していくためには事務的経費がかかりますし、民間保険の場合には、そこから利益を生み出さなければなりません。

つまり、民間保険は、保険としては本質的に非効率的にならざるを得ない部分があるのです。

保険会社は保険料収入を最大にしようとすると同時に、保険金の支払いを最小限にとどめ、利益を最大にしようとします。保険会社にとって、医療費の支払いは「損失」でしかありません。アメリカでは民間保険会社は医師に利益を上げることを求め、最小限の治療しかしないということが、実際におこっているようです。

このように保険料のうちどれくらいが実際の医療費給付に使われているかを、メディカル・ロス、医療損失と呼んでいます。

アメリカにおいて、民間保険におけるこのメディカル・ロスは、75とも85とも言われています。

ここに、「市場原理と医療 米国の失敗を後追いする医療改革」李啓充氏(医師・コラムニスト) より一部抜粋します。

医療費の止めどない上昇

「民」主体の医療保険制度は社会全体の医療費を押し上げる特性を持つ。

たとえば、米国の保険会社の経営用語に「医療損失」という言葉があるが、これは、加入者から集めた保険料100のうち、どれだけの割合を実際の患者の医療費に使うかという数字である。

現在、医療損失が85を超えるとウォール・ストリートで「経営が下手」と評価され株価が下がってしまうので、保険会社にとって、医療損失を下げる(=患者の医療に使う金をできるだけケチる)ことが経営の一大目標となる。その結果、現在、米国における営利の保険会社の医療損失は平均「81」と言われ、公的医療保険(高齢者医療保険「メディケア」)の医療損失「98」と比べると、サービスの受け手にとって、格段に効率の悪い医療保険制度となっている。

さらに、営利の保険会社は株価を維持するためには常に高収益を維持しなければならないので、たとえば、保険料値上げ等で顧客の負担増を強いることをいとわない

メディカル・ロスは今、アメリカでは75くらいだとも言われており、残りの25%は職員給料、株主への配当、政治家への献金とも言われています。



(2008/04/07 文責 チュー 2008/04/07)



diamond online
に日本の民間保険のメディカル・ロスについての記述があります。
http://diamond.jp/series/yamazaki_econo/10029/


人的資本への投資としての医療費
2008年04月22日 山崎 元(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)

一部引用します。

 将来の医療費が心配だからといって、民間の医療保険に加入するのはやめておくほうがいい。日本では、個々の保険の情報(特に付加保険料)の開示が不足しており、これ自体が消費者保護上大きな問題だが、日本の医療保険商品のメディカル・ロスは、伝聞から推測するに、50%を大きく下回る数字のようだ。つまり、保険を通じて医療費を払うことは、著しく損なのだ。また、健康保険の高額療養費制度(月数万円以上の一定額を超える医療費を還付してくれる制度)を考えると、民間の医療保険を利用する意義は乏しい。


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Last-modified: 2008-04-23 (水) 21:28:28 (3318d)