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歯科医師国家試験についての国会質疑


174-衆-文部科学委員会-6号 平成22年03月10日

○川口(浩)委員

 次に、私は歯科医師、介護支援専門員としてずっと現場で生きてきた人間なのでございますが、義務教育というのは、本来、この日本の主権者である国民一人一人を育てるというか、最低限のものを身につけてもらうというものではないかと考えています。そして、その先にある後期の高等教育の部分について、やはり職業とかなり密接な関係があるのではないかなと思いまして、質の高い歯科医師の養成ということについて若干お尋ねをさせていただきます。

 私立の歯科大学における六年間の学費の合計は実は三千万から六千万円でございまして、国公立は三百万円から六百万円となっております。現在の学生数は、私立が一万二千百二十一名に対し、国公立は四千三百四十二名でございます。そのそれぞれの生徒の数に応じまして、学校に対する助成ということで多額の税金が投入されております。

 ところで、現実、歯科医師国家試験の合格者は、二〇〇八年度、受験者数三千二百九十五名に対し合格者は二千二百六十九名、二〇〇九年度では、受験者数が三千五百三十一名に対し合格者数は二千三百八十三名となっており、合格率は六〇%台でございます。  また、国家試験に受からないであろうと予測されたり現実に不合格となってしまった学生は、留年という形をとることが多くなりまして、私立大学に通っている学生さんの場合、年間五百万円前後の授業料を追加で払うことになってしまい、それに伴いまして、先ほど申した税金もまた投入されてしまうということになっております。

 いわゆる資格試験、確認試験と思われていた歯科医師国家試験の合格率の高かった時代というのは、過去の話になってしまいました。これは、厚生労働省と文部科学省の両省が、歯科医師数の過剰を踏まえて歯学部の定員削減を大学へ要請し、何よりも、歯科医師国家試験の合格基準の引き上げを方策として打ち出した結果が反映されたものと考えます。  問題は、それによりまして歯学部志望者数が近年激減しておりまして、結果、私立大学においては、入学希望者のほぼ全員が合格、すなわち、正常な学力選抜が全く機能していない疑いが一部の学校に見受けられるということでございます。これでは歯科医師の質の低下につながり、質の高い高度な歯科医療を提供することができなくなります。ぜひ、早急な実態の調査と適正化に関する指導をお願いしたいと存じます。

 質の高い歯科医師の養成のためには、歯学部における適切な入学選抜と、歯学教育において適切な臨床能力を身につけさせるカリキュラムが必要と考えますが、文部科学大臣としては、このような現況を踏まえましてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。

○川端国務大臣

 高齢社会がどんどん進んでくる中で歯科というものの役割が、改めて、今までの例えば虫歯とかそういうふうなもの以外の部分で、高齢社会のいわゆる食を支えるときの大変大きな分野であるということは重々認識をしております。

 そういう意味では、質の高い歯科医師の養成というのは、当然ながらしっかりやらなければいけない。そのときに、お触れいただきました、適切な入学選抜と、質の高い、臨床を重視しながらの教育というのと両方が求められているという基本的な認識に立っております。

 そういう中で、今御指摘のように、結果として、入学定数が満たされないと学校経営が大変厳しくなるということで、入学定数を満たすためにということで、結局どんどんと合格させてしまうということでないと入学者が確保できないという事態に陥っている大学があることは現実でございます。同時に、そういうふうにすると、今度はまた、質の高さを求めるという教育に大変なコストというか手間もかかる、結果として歯学部での国家試験の合格率が悪くなる、そうすると、悪くなるとなかなかということで悪循環にややはまりつつあるのではないか。

 そういうことでありますので、従来から関係大学に、充足率が低いのであれば定数を減らした方がいいのではないかということの中で、徐々に志願者数は減少してまいりました。過去最大の部分ですが、昭和六十年度が定数としては国公私立で三千三百八十人でしたが、平成二十二年度の入学定員は二千六百十一名、二十三年度の入学定員の見込みは二千五百八十六人と、漸減をしてきております。

 そういう中で、昨年一月の歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の報告を機にいろいろ御提言をいただきましたので、大学にヒアリングを行うなど、個別の大学の抱える問題への対処を含めて働きかけを、最終的には大学の自治でございますから大学がお決めになることですが、いろいろな働きかけをやらせていただいております。  また、臨床も大変大事だということで、臨床を強化した歯科医師の診療参加型臨床実習というものも充実を促進してまいります。ただ、やはり大学によって二千四百時間から四百三十二時間と物すごく差があることは現実であります。いろいろと実情が向上するように図ってまいりたいと思っております。

 さらに、入学定員の適正化と臨床教育の充実に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

○川口(浩)委員

 実は私には子供が三人おるのでございますが、だれ一人として親の職業の後を継ごうと言い出してくれた者がいないという悲しい現実がございまして、なぜこのような事態になってしまったのでしょうか。

 歯科医院の数はコンビニの一・六倍と言われまして、歯科医療機関の現場の声を聞きますと、実に大変疲労しているのが現状なんです。先ほど申し述べましたように、高い授業料を払ったとしても、どうもそれに見合うだけの収入が得られる職業とはなっていない現実がございます。

 今後、高齢化社会が進むにつれ、生涯を通じまして歯の喪失が少なくなり、高齢になっても多くの歯を残している人がふえていくことから、歯科医療の需要そのものはある程度ふえるのではないかと考えております。

 現在、新たな国家試験の合格者は年間二千三百名であるのに対し、リタイアする歯科医師は千二百から千三百名となっており、歯科医師全体の数としては緩やかな伸びとなっております。

 ただ、患者の高齢化と、口腔管理の徹底が全身的疾患の予防法だという観点で、歯科医療の現場をぜひ見直していかなければいけないのではないかと考えております。  今後は、企業において行われております健康診断同様、歯科健康診断の必要性も十分感じております。また、高齢受診者の急激な需要の増大に伴い、訪問診療に取り組む歯科医院がふえてきてはおりますが、歯科余りと言われる中にあっては、この領域では、需要に対して全く供給が追いついていないという現実があります。要介護者の中においては、口からの食物摂取をすることができず、寝たきりを余儀なくされている方が多数いらっしゃるのが現実であります。

 歯、口腔は、命を支える食に不可欠な器官であります。近年の歯科医療の進展と相まって、歯の健康に関する国民の意識は高く、また、歯の健康状態は確実に向上していることから、歯、口腔を健康に保つことは、増加し続けております社会保障給付費の抑制の一環になるとも言われております。健全な口腔そして食生活を営むことは、国と社会の責任ではないかと考えています。

 こうした治療と健康を担う歯科医師を養成するため、確かな技術はもちろんのこと、命にかかわる医療であるとの認識のもとに、歯科医師の質の向上と人材確保に重点を置いた取り組みをしていく必要があるのではないかと考えておりますが、長浜副大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

○長浜副大臣

 お子様が歯科医院を継ぐ継がないというお話もありましたけれども、先生が政治を志されたのは、市からの要請で在宅患者の歯科診断を行ったときに、介護の厳しさ等々から役所が現場を知らな過ぎるというある種のお怒りと、それが志になって政治の分野に進まれたというお話も伺っております。歯科医であると同時に、県会議員としても、現場の中で、地方行政の中においても御発言をされてきたことをよく承知をしているところでございます。

 御指摘がありましたように、高齢化の進展に伴いまして、在宅歯科医療、特に口腔ケアの重要性が増していることは、先生の御指摘のとおりでございます。

 このため、平成二十年から、在宅歯科医療や口腔ケアに対応できる歯科医師や歯科衛生士を養成するための講習会を開催しているところでございます。また、この講習会を受講された歯科医師を対象として、在宅歯科診療を実施する医療機関に対して、ポータブルの在宅歯科医療機器の設備を整備するための補助事業も厚生労働省としては実施をしているところでございます。二十一年度の交付決定額は一億二千万を超えているところでございます。

 また、本年度からの、二十二年度からの新規事業としましては、歯科医師が病院や介護サービス事業者などとの連携を図るための窓口となる在宅歯科医療連携室の整備を進めることとしておりまして、これも二億七千万の予算を予定しているところでございます。

 今後とも、先生が御指摘をされました部分における医療と歯科医療との接点の問題、特に、高齢化社会に伴いますところの高齢者の方々の医療の問題を歯科の観点からもしっかりと検証してまいりたいと思っているところでございます。

○川口(浩)委員

 現実の問題として、窓口負担の問題等もありまして、中には、高齢者の適用年齢になるまで受診を控える人、それから、施設に入居されている方の中でも、御家族が負担増を理由に診察を拒否するケースも多々見受けられますし、労働安全衛生法による健診や、特定健診、特定保健指導でも、なぜか歯科の健診は除外されているという部分もあります。学校保健法や母子保健法と違っているのではないかという現場の声も多く聞いておりますので、その辺を含めまして、ぜひいい方向に改善されますように取り組んでいただきたいと思います。

 どうも長浜副大臣、ありがとうございました。


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6月8日付

海外技工物 ベリリウム等検出されず−厚労省研究班が報告

TBSの報道番組で中国製の歯科技工物から発がん性物質ベリリウムが検出された問題で、歯科補綴物に対する国民の不安が高まり、多くの国会議員が海外技工を含めての厚労相や厚労省の対応を質した。厚労省が5月末に発表した「歯科補綴物の多国間流通に関する調査研究」の主任研究者で、新潟大学大学院医歯学総合研究科教授の宮崎秀夫氏は研究総括で、世界の4地域から収集した陶材焼付鋳造冠からはベリリウム等の物質は検出されなかったと報告した。





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Last-modified: 2010-06-12 (土) 10:45:43 (2685d)