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歯科医療に関する問題について調査

第075回国会 社会労働委員会 第24号
昭和五十年六月二十六日(木曜日)

本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 医療に関する件(歯科医療に関する問題)
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○大野委員長  これより会議を開きます。
医療に関する件、特に歯科医療に関する問題について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本問題について、本日、参考人として日本歯科医師会副会長斉藤静三君、日本歯科技工士会専務理事佐野恵明君、大阪消費者友の会会長伊吹和子君及び医事評論家大熊房太郎君にそれぞれ御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

○大野委員長
御異議なしと認め、さよう決しました。
    ――――――――――――― ○大野委員長
 それでは、ただいまの参考人の方々がお見えになっておりますので、一言ごあいさつ申し上げます。
 参考人の方々には、御多用のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。今日おいでを願いました問題は、国民の間におきましても大きな関心が持たれているところでありますので、おのおののお立場から何とぞ忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。
 なお、議事の都合上、最初に御意見を十分ないし十五分程度に要約してお述べいただき、その後、各委員からの質疑にもお答え願いたいと存じます。
 また、念のため申し上げますが、参考人から委員への質疑はできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず斉藤参考人にお願いいたします。

○斉藤参考人
 最近の歯科医療の問題につきまして、代議士先生初め国民に大いなる御迷惑をおかけしておりますことを心からおわび申し上げます。実は、私事で恐縮でございますが、うちの孫が交通事故で、四、五日前起こったことでございますが、まだ意識不明でございまして、代理人を認めてもらおうと考えましたが、人がいないということで出てまいりました。心情を察し、御無礼の段ございましたらお許しいただきます。
 私は、医療を行う中で最も大切なものは倫理であると思います。最近におきますいろいろの問題について、倫理感がかなり欠如しておるのではないか、医療の中で最も大切な術者と患者の信頼感が薄らいでいることをまことに残念だと思います。日本歯科医師会は今日まで国民サイドに立って啓蒙運動を展開しておりますが、その中で、テレビ放送を使いまして毎週一回歯科の学術、医学あるいは医療制度その他もろもろの問題について放映しておりますが、いかんせん関心が薄かった時代に、ほとんど見ておらない実態がわかりました。最近話題になりましてから、これに対してかなりの批判もありますし、質問も来るようになってまいりまして、関心がついたことに対してありがたく思っております。
 なお歯科医師会としては、国民医療のサイドの中で、衛生週間等も、自主的に大きな運動を展開しておることも御案内のとおりであります。国民に還元されます歯科医学、医術の発展進歩のために重大関心を持っておりまして、唯一の団体であります日本歯科医学会に対して会員一人二千円の会費を納入して、この発展に努力を続けておるわけであります。これが国民に還元されることを大いに期待しております。
 何を申し上げましても現在齲蝕が非常に多発しておりまして、これが撲滅のために努力しなければならないのでありますが、その抑制の方法あるいは研究がまだ不足しておるようにも考えられますし、また全国各保健所に対しても、八百五十に近い保健所の中にも歯科医師がわずか七十九名程度しかおりませんし、衛生士もわずかしかおらない現状に対してまことに残念だと思っております。特に小児の齲蝕問題について予防研究体制、それから各国立歯科大学においても小児歯科学部というものが設置されておりません。ぜひこれを急速に設置してもらいたいというふうに思うわけです。なお、義務教育の中にも歯科の問題、虫歯の問題がかなりウエートが低いのでありまして、この点についてもひとつ御当局の御配慮を賜りたい。
 私たちは毎日患者さんの診療に当たるに際して、患者がこれだけ大ぜいいる中で効率的に上げたいというふうに考えておりますが、それに対して、合理化の一端として衛生士あるいは技工士さん等々の介護者が不足しておりまして、ほとんどの養成は各県の歯科医師会自体において養成を図っている現状でありまして、このことについても当局の重大関心をお願いするものであります。
 なお、大ぜいの患者が来ていることは皆さん周知のことでございますが、術者が不足し、介護者も不足しております。お昼をかみながら診療に当たっているような重労働を連続しております。体はこれでは耐えかねます。ぜひ人並みの人間として――仮に八時間労働が許されるならば、八時間労働で済ませるような状態であればなお幸いだと思っております。そこで、私たちは考えておりますのは、国民歯科医療の確保のために地域ごとに歯科センターを設置いたしまして、時間外あるいは夜間あるいは休日問題、小児歯科の予防問題その他口腔衛生の普及宣伝等を兼ねた地域歯科保健センターの設置をいま急いでおりますが、ぜひともこれが実現のために――混乱の防止のためにもかなり役立つというふうに私は確信しております。
 歯科医師会も最近、昨年来の苦情問題について苦情相談あるいは受付をしております。ずっとそれが減少しておる事実がございます。いま私たちは四月統一選挙を考えたときに、これだけの批判がある中で歯科医師の立候補者が必ず落とされるのじゃないかということに重大関心を持っておりましたところ、ほとんどの立候補者か――県議、市長、市議、町長、町議、特別区、都議会議員六十四名立候補いたしましたが、五十四名の当選を見て、まだ批判がそれほどでない、一部の人たちの批判によって大きくクローズアップされている事実を考えたわけであります。しかしその中で、医療制度の問題などがやはり混乱の一つの要因じゃないか。医療の格差とあるいは不採算点数等がまかり通っている中で、これを大臣として一日も早く解決をしていく方向をお願いしたいと思います。
 なお、私たちは精いっぱい患者の、国民の信頼を取り戻すために努力を図ることをお誓い申し上げます。ありがとうございました。

○大野委員長 次に、佐野参考人にお願いいたします。

○佐野参考人  日本歯科技工士会の専務理事をやっております佐野でございます。
 私ども歯科技工士というのは非常に弱者の立場でございまして、こういう席で意見を述べさせていただくというような機会はかつてございませんでした。本日は初めてでございますし、大変緊張いたしております。その点、言葉の不行き届きがあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 まず今日の歯科医療の混乱につきまして、私どもは、残念ながら現在の歯科技工士というのは歯科医師の経済下にすっぽりと入っているというのが実情でございます。こういう立場におりまして、ただ私どもも歯科医療の中にコミットをしているという現実から、この混乱について何か組織としての統一見解はまとめていかなければならぬであろうという意見が会員の中から多く出てまいりました。われわれがこの問題について組織の意思を統一し、見解を発表をするということにつきましては、会員の生活の擁護という問題と、また医療倫理、社会正義という非常に二律背反するような問題を、これを統一をするという形でどこかに接点を求めていこうということで、本会はさきに統一見解をまとめて世間に発表をいたしました。

 その中で、私どもがその作業の過程で感じましたことは、今日の医療混乱の大きな原因は、国の低医療政策のしわ寄せが歯科に来ているのではないかという点でございます。総医療費に占めます歯科のシェアが、ピークのときには一四・五%という数字を示していたわけですが、最近は総医療費に占める歯科の割合というのが九%までダウンをしております。ここにも何かいま世間で問題にされております差額徴収というものが起こる原因があるのではないかというようにも考えます。また、去る四十一年三月の衆議院の予算委員会におきまして、当時の保険局長が、日本歯科医師会の緊急是正の要望について、歯科については差額徴収を認めるという方向で考えなければならぬではないかというような発言があったやに聞いております。これはやはり歯科の特殊性というものについての行政の配慮の不足があろうかと思います。

 また、現在保険制度の中では、歯科の技工士というものは全く位置づけをされておりません。私どもは現在歯科技工料金というものをどういうふうにして決めているかと申しますと、基本的には自由経済の立場から原価計算に基づいて決めてはおりますが、われわれの歯科技工料の支払い側である歯科医師が現在の保険制度の統制下にあるわけですから、われわれ歯科技工士もこれの影響を免れることはできず、むしろこれに完全に組み込まれているというのが現状でございます。当然、つくる者、つくる歯科技工士に支払われてもよろしいであろうというように私どもが考えております歯科の保険点数の中のものでさえ、実態はそれの五五%から八〇%ぐらいしかわれわれには支払われていないというのが現実でございます。また、われわれがそういう中で、たとえば保険点数を決める審議会での発言も許されておりませんし、また医師、歯科医師にございます税の優遇措置の問題も、われわれ弱者である歯科技工士には全く恩恵が与えられていないというのが現実でございます。われわれは、安い技工料金でただ長時間労働によって自分たちの生活を支えておるというのがいまの歯科技工士の実情であり、われわれこそ現在の保険制度の中での最大の被害者であろうというように思います。ただわれわれは、医療の倫理と社会正義、また医療技術者としての使命感で現在まで国の医療政策には協力をしてまいりましたし、今後もそういう形で協力は惜しまないつもりでございます。

 もう一つ、現在の医療の混乱について申し上げたいと思いますことは、確かに歯科医師の一部の先生方の中に医療倫理の欠けている面があるのではないかというようにマスコミ等によって大きく伝えられております。この問題について、先日NHKのテレビにある地区の歯科医師が出ておりました。私も非常に関心を持ってこのテレビを拝聴したわけですが、その中でその歯科医師が、私はグリーン車のお客を扱うのだ。記者の質問で、それでは弱者の切り捨てかという質問に答えまして、その先生は、弱者の切り捨てで結構だというような発言がございました。私は人間として、また歯科医療の中で働く者として非常に大きな義憤を感じました。こういう先生方が一部にあるということだけは、このテレビを見ても事実であろうかと思います。ただ、その裏に多くのまじめな歯科医師の先生方がたくさんいるということも事実でございます。私の知り合いの歯科医師で、自分の息子を歯科大学に入れるのに千五百万、二千万の入学寄付金がかかる、その先生は住宅と診療所を別々にしておりましたが、自分の住宅を売って診療所にささやかな住宅をくっつけて、住宅を売った資金の一部を息子の歯科大学への入学の寄付金に充てたという事実もございます。そういう面からいきますと、まじめに働いている歯科の先生方の多いということについても皆様方の御理解をいただきたい。私は歯科医師の弁護をするつもりは毛頭ございませんが、事実は事実として申し上げたいと思います。

 またもう一つ、国や地方自治体が福祉政策を進めるということにつきましては大変結構なことだと思います。ただ、福祉政策を進める中で、たとえば老人の医療の無料化というようなものが進められておりますが、この中におきまして全く歯どめがないわけです。私どもの仲間がある技工所を経営をいたしております。その技工所は四軒、五軒のお得意さんの歯科医を持っておりました。ちょうど一週間前につくった入れ歯の型がまた別の先生から注文がされたということで、事実を調べてみましたら、ある老人が一週間前にはAという医院で、その後にまたBという医院に行って、一カ月後にはCという医院に行って、同じ入れ歯をつくったというような実態がございます。こういう問題につきましては、いまの医療の混乱については、国も歯科医師会も、また一般の社会の皆さん方も一緒になって真剣に打開策を考えていかなければならぬだろう、私どもはそういうように考えます。  また、三木総理大臣が弱者救済という言葉をよく言いますが、私たち歯科技工士の技工所に対して、よく税務署の立入調査がございます。その税務署の立入調査は、歯科医師の脱税の資料を集めるために歯科の技工所の実態を調査をしているというのが事実でございます。私どもがそういう調査に対して正確なコメントをいたしますと、早速その歯科医師から仕事の発注をとめられるという事実もございます。国の行政ももう少し弱者について配慮があってしかるべきではないかということを私たちは強く訴えたいと思います。

 また、われわれの仲間でも国家公務員が多くおります。この人たちの給与のランクを見ますと、同じような教育制度を経ています放射線技師だとか、臨床検査技師とかいう方たち、この人たちには全国に数校の短期大学がございます。私ども歯科技工士はいま全部各種学校でございます。各種学校でも、高校を卒業して二年間行くということにおいては、実質では変わりはないわけです。でも、国は学歴偏重――実力主義ということを口にしながら、実態におきましては、われわれと、ほかの短期大学があるという業種との間に著しい給与の隔たりを設けております。こういうものについては、ぜひ御配慮をいただきたいということをお願いしたいと思うわけです。

 それと、私どもの歯科の技工士の養成所というのが、昭和四十年には全国で十七校ございましたのが、現在は五十四校ございます。定員数にいたしますと実に五倍近くになっております。われわれ技工士の生活というのは、歯科医師の数とのバランスにおいて考えられることが当然であろうと私たちは思います。それを行政は、いままで五十四校の申請については一校の拒否もしたことがないというように私たちは聞いております。そして、ある県におきましては、技工士と歯科医師の数はいま私たちの県では足りておりますから、技工士学校をつくる必要はありませんということを申し上げましたが、結果的にはそこに技工士学校ができました。そして、そこの県のわれわれ歯科技工士会の会長は、すべての歯医者さんから仕事をとめられて生活ができなくなって、五十年、六十年住んでおりました土地を捨てて、先祖の墓をその土地に残してほかの県に生活を求めて参りました。こういう実態があることをぜひ皆さんにおわかりいただきたいと思うわけでございます。これは、決して歯科医師が悪いとか行政が悪いとかということではなくて、こういう実態はぜひ御理解をいただきたいというように思います。

 また最後に、私どもは国会の先生方と行政に対して心からお願いをしたいと思います。私どもは現在保険制度の影響をまともに受けながらも、保険制度の中に技工士というものは組み込まれておりません。当然つくるべき者に支払われる金さえ、私たちはその半分か七〇%しかもらってないのが実情です。いまの保険制度の中に、つくる者が取る部分をぜひ設けていただきたいと思うわけです。歯科技工士に支払われる分野を保険制度の中に設けていただきたいということをぜひお願いしたいと思います。ただ私どもは、そのときに、現在世論の批判を浴びております税の優遇措置等については、要求をするつもりは全くございません。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 また、いま私どもはほかの医療技術団体と相談をいたしまして、われわれ医療技術者の教育制度をぜひ高めてください、ぜひ四年制の大学にしてくださいという要求を厚生大臣にも文部大臣にも出しております。ただ、これを昨年の春提出いたしましても何の返事もないし、何の動きがあったというようには聞いておりません。私どもは、ただひたむきに純粋に自分の技術を高め、すぐれた技術をもって国民の歯科医療に貢献をしたいんだというひたむきな願いでございます。こういう問題についてはぜひ御配慮していただき、一日も早い実現をお願いをしたいと思います。

 最後に、私たちは、いまの医療の混乱が医療倫理の欠如にあるということを痛切に感じております。われわれは毎月発行いたします自分の会報に大きなスペースをとって、医療技術者としての自覚を持ち、医療倫理の高揚に努めろということを毎号毎号声を大きくして叫んでおります。そして、いま歯科技工士の免許証というのは知事の免許になっております。これをぜひ厚生大臣の免許にしてください。ほかの医療技術者団体の免許証は厚生大臣の免許になっておるのが現実です。ですから、私たちに厚生大臣の免許を与えてください、そして会員の意識の啓蒙に役立たせてください、そうすれば会員は医療技術者としての自覚に目覚め、より医療倫理の高揚に役立つのだ、それをいましてくれるのが国ではないのですかという要求をわれわれはしております。近くその要望書を厚生大臣あてに提出いたします。ぜひ国会議員の先生方の心からなる御支援と御理解をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

○大野委員長 次に、伊吹参考人にお願いいたします。

○伊吹参考人
 伊吹でございます。ふなれでございますので、言葉の足りない点があると思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 私たち大阪消費者友の会では、二月十九日から二十二日までの四日間、電話による歯の苦情一一〇番を開設いたしました。その後郵便によるものも含めまして、二月末までで一応打ち切りましたけれども、その間に延べ九百九十七件の苦情が集まっております。その一つ一つにつきまして、歯科医療が現在いかに患者無視で、施療者本位のものであるかということを現実に浮き上がらせております。先生方にぜひこの患者の声をお聞きいただきまして、歯科医療の実態を御認識いただきたいと思うわけでございます。私たちが安心してよい歯科医療を受けられますように、その日が一日も早く来ますことを祈りまして、私はこの実態を御報告いたしたいと思うわけでございます。

 集まりました苦情の中で診療拒否が五十七件ございましたけれども、それは医の倫理から言って、診療拒否はあり得べきものではないというふうに考えておりますけれども、子供とか老人とか身体障害者、そういう弱い立場の人たちに対する診療拒否が非常に多かったことが目立っております。現在の歯科医のモラルを如実にあらわしておると思いますけれども、その中で子供の拒否が特に多かったわけでございますが、歯が痛くて泣いている子供がどこのお医者さんに行っても診ていただけなくて、三軒回って四軒目にようやく応急処置をしていただいたというような胸の痛くなるような訴えがございます。このように、子供の治療というものは時間がかかってもうけにならないから拒否するということらしゅうございますけれども、現在の算術歯科医は弱者切り捨てを平気でいたします。そういう弱い立場の者こそ守られなければならないと思っておりますが、現在の実情としてはそういうことでございます。

 子供の歯の問題としてもう一つ考えなければならないことは、学童の初期の虫歯についてだと思います。学校で年に一回ないし二回定期検診が行われておりますけれども、学校から要治療の通知をいただいてまいりまして、その紙を持って歯医者さんへお訪ねしてもなかなか治療していただけない。痛くなってから来いとか、あるいはもう少し先に来いとか、そういうふうに言われまして、なかなか治療していただけないのが現実でございます。お母さんと子供がその要治療の通知を持ってうろうろして、どうすればいいのでしょうというような訴えがずいぶんございました。また、検査時期が大体四月から六月というふうに限られておりますので、その結果七月から夏休みにかけて治療が集中いたします。この現実が必要以上に歯科医療を混乱させていると思われますが、このようなお話をいたしますとすぐ歯医者さんの数が足りないからというふうに言われるわけですが、歯医者さんの数が足りないということは確かに現在の歯科医療問題を混乱させている原因の一つであろうとは思います。ですから、やみ入学金なども含めました医科歯科系大学のお金のかかり過ぎるという問題も含めて、国立の歯科大あるいは歯学部の増設をお願いしたいと思っております。これらの件につきましては、三月七日に私ども大阪消費者友の会から文部大臣あてに要望書を提出しておりますが、一日も早くこれらのことが改善されることを希望しております。

 それから、歯科医療をめぐるトラブルで最も多かったのは、差額徴収が高いということでございます。これは集まりました苦情の中で三百七十件ございましたけれども、治療が終わってから何十万円というお金を請求されて、払うには払ったが不満が残って、結局何十万円取られたというふうな訴え方になってくるわけです。それらのことを考えますと、それはやはりお医者さんと患者の話し合いが不十分であるということが原因の一つと考えられるわけです。そういう意味で、私どもは治療計画書というものをつくっていただきたいというふうに考えるわけです。治療計画書に、治療部位だとかあるいはその材料あるいは金額、保険外であるとか保険内であるとか、そういうことを明記していただいて、それをもとにして患者と医者とが十分話し合う、そういうことの中から信頼関係が回復していくのではないかというふうに考えているわけでございます。

 それから次に領収証の問題でございますが、歯科医療問題が社会化いたしましてから領収証をもらおうというふうな運動があちこちで起こっております。現状としましては、領収証は要求すればもらえるというふうな状態に大分なってきたようでございますけれども、以前から厚生省あるいは日本歯科医師会からのポスターに、必要があればお申し出くださいというふうなことは書いてございましたけれども、その中でも領収証をいただけないという事態がずいぶん発生していたわけでございます。そういうことを考えまして、医療控除のために患者が領収証を請求いたしましてもなかなかもらえないという現状の中で、領収証をどうしても必要だからという形で要求いたしますと、一割とか二割あるいは一万円とか一万五千円、そういうふうに領収証代みたいなものを請求されているというのが現実でございます。

 一つ具体的な例を申し上げますと、ある患者さんが六十万円支払って医療控除のための領収証を請求いたしますと、五十一万三千円の領収証しか書いていただけなかったということがございます。そして、六十万円払ったのだから六十万円の領収証をほしいということを請求いたしますと、六十万円の領収証なら六十五万円払ってもらわないと書けないと言われたそうです。それで、その方は五十一万三千円の領収証を持って医療控除を申請なさったわけですけれども、その控除額が三万六千円だったわけです。参考のために六十万円の医療控除だと幾らの額になるのかということを聞いてみますと、六万五千五百八十円だということでございまして、その差の二万九千五百八十円がどうなるかというふうな苦情のケースでございました。これらは歯医者さんが自分の所得税を患者におっかぶせている、あるいはまた脱税というふうなことも考えられるというケースでございまして、現在の混乱している歯科医療の中では、歯医者さんは領収証の発行を必ずというふうに義務づけられるべきだと思っております。

 次に問題になりますのは、保険使用を認めない、あるいは保険拒否というふうな苦情でございました。それは百七十件ございましたけれども、これらは歯医者さんが保険の治療は長もちしないとか、あるいは保険の治療は悪いというふうなことを言われまして、患者の無知につけ込んで、保険ではいい歯ができないというふうな印象を与えていらっしゃるということでございます。保険でしてくださいというふうに患者側がお願いしますと、保険の歯は保証できないというふうな返事が返ってくるわけでございまして、素人は、それでは差額徴収に応じなければ仕方がないと考えるのは当然だろうと思います。歯医者さんに言わせれば同意の上での治療だとおっしゃいますけれども、私どもから考えますれば強制の上の治療だというふうに考えるわけでございます。

 厚生省は、通常必要な治療は保険でできるというふうに言ってらっしゃいます。ですけれども、現在の歯医者さんは、諸悪の根源は保険制度の低医療費政策だというふうにおっしゃいまして、保険だけでは食べていけないというふうなことをおっしゃっております。私ども素人にはそのいずれが正しいのかよくわかりませんけれども、歯医者さんが言うように保険ではいい治療ができないということであれば、私どもは保険料の不払い運動をすべきだと思っております。私は、年々進歩する技術が保険に組み入れられないならば、保険制度は意味がないというふうに考えております。ですから、技術が進歩してそれが保険内治療でないならば、保険外のものが出てくるのが当然でございますから、保険で最新の医療が受けられるようにすることが必要だというふうに考えております。最新の医療とぜいたくな医療というのは当然別であろうと考えます。歯には美容的な要素もずいぶん含まれますので、そのすべてを保険でということには非常にまた問題があろうかと思います。けれども、現在国民の犠牲によって行われている医療のあり方というものは、歯科医師も厚生省も反省していただきたいと思うのです。

 また、苦情の中で、保険で治療してほしいと言いますと三カ月先に予約だというふうなことで、家へ帰ってすぐそのお医者さんに、三十万円ぐらいの予算で治療してほしいというふうに電話をしますと、じゃすぐ来てくださいというふうなことがあった、これも事実でございます。というふうに、保険の患者と自由診療の患者、いわゆるもうかる患者ともうからない患者というものが区別されている、そして差がつけられているという事実がたくさんございます。現在の歯医者さんの悪徳ぶりがあらわれているわけでございますけれども、この悪徳部分を保険制度の欠陥というふうにすりかえられるということは、私どもとしても非常に心外でございます。

 歯科医師会は現在会長問題で混乱していらっしゃるようでございますけれども、お家騒動はたっぷり時間をかけておやりになればいいと思います。ですけれども、その間私どもの歯科治療、歯科医療の問題が手をつけられずに置いておかれるということは非常に困るわけです。ですから、日本歯科医師会が歯科医療のあるべき姿というものをはっきり描いていただいて、それを中医協の席でこそお示しになるべきだと考えております。そして、一日も早く歯科医療問題が正常化されることを願っているわけでございます。

 国立大学の歯科料金が五月一日あるいは所によっては六月一日から値上がりしております。その算定基礎につきまして私どもは国立大学にお尋ねいたしましたけれども、それはお答えできないから文部省に聞いてほしいというふうな答えが返ってきております。で、私どもはその料金について疑問を持っておりますのは、三月二日に歯科医師会の近畿・北陸グループが標準料金を発表しておりますけれども、その標準料金は、子弟の教育費まで含めた、私どもとしては納得しがたい料金でございましたが、今度の国立大学の料金がなおそれを上回るものがあるということに対して、私どもは納得できないものを感じているわけでございます。歯医者さんに言わせますれば、国立大学というのは人件費あるいは税金が入っておりませんので、それが慣行料金より上回る料金であれば、歯医者さんとしてはもっと料金を上げてもいいというふうなことをおっしゃっているわけでございます。

 このような歯科医療問題はあらゆる意味で厚生省の責任が大きいと思っておりますけれども、現在の混乱の一つに金合金の問題がございます。それは、保険材料はJISによって決められておりますけれども、歯医者さんが保険材料に近いものを自分のうちで、たとえば金を五十ないし五十三プロ白金を一ないし二プロという形で入れて自家製の合金をおつくりになって、それを差額徴収の対象として一万円ないし二万円の料金を徴収していらっしゃるわけでございます。それ以外にまた、舶来の合金でそれに近いものが市販されておりますけれども、そういうものを使用してその差額徴収の対象にするということは、私どもとしては納得できないわけでございます。これは見た目にも保険材料とは変わりません。ですけれども、この辺の厚生省の見解がはっきりしておりませんために、都道府県段階においても指導が非常に混乱しておる状態でございます。これらのことにつきまして、歯科材料というのは素人の私どもにはよくわかりませんけれども、専門家の十分な御検討をお願いしたいと思うわけでございます。

 これら、ちまたにあふれております苦情をお聞きいただきまして、私どもが一日も早くよい治療を安心して受けられますような状態になりますことを願って、きょう皆様方に苦情の一部を御紹介したわけでございます。以上でございます。

○大野委員長 最後に、大熊参考人にお願いいたします。

○大熊参考人
 大熊でございます。
 私は、最近の歯科医療のこの混乱の根本的な原因は何にあるのであろうかということをいろいろ考えてみたのでございますが、その最大の一つは、国の低医療費政策にあるのではないかと思います。これは現在の診療報酬では医業経営が成り立たないということ、これは私いろいろ取材をいたしましたけれども、明らかでございます。たまたま補綴につきまして差額徴収が認められている、それで、これをうまく利用すれば医業経営がやっていけるのではないかというようなことから、次第にエスカレートして今日のような状況になったのではないかと思うのであります。ただこの差額徴収というのは一体どういうものだろうかと実は私もいろいろ考えてみたのでございますが、たとえばわれわれの常識から申しますと、保険では千円しか認めない、しかし実際にたとえば補綴物を  つくりまして三千円ぐらいかかる、その二千円があれば医業経営は何とかやっていけるだろう、ですから、私どもはこの二千円というものを差額徴収というふうに考えていたのでございますが、現在の歯科医師の多くの方のやり方を見ておりますと、この二千円の上に勝手に上乗せ、どんぶり勘定で、算定の基礎も患者に明らかにしないままに自分の思惑だけで五千円乗せ、一万円上乗せをし、次第に悪乗りし便乗して、それが五万になり十万になり、極端な場合には百万。私が調べた数字では、たとえば東京の都心あたりでは現在上下の総義歯一対で一万ドル相場、約三百万円というのはもう決して珍しくはございません。でございますから私は、これは差額徴収というのが大体おかしいのであって、むしろこれは完全な自由診療ではないか、もっと悪質だと思うのです。それはなぜかと申しますと、保険もききます、これをえさにしてつりまして、現実には差額徴収と言いながら、これはもう大変な自由診療でふっかけてきている。ですから、私などから考えますと、歯科医師会の方は一部には悪い歯科医師もいるかもしれませんがという表現をしますが、一部にはいい歯科医師がいるかもしれないがというようなのが現状ではないかと思うのであります。要するに、基本的には現在の診療報酬では医業経営が成り立たない。つまり低医療費政策に根本的な原因があったとは思うのでありますけれども、これにかなり多くの歯科医師の方が悪乗りをしたがために今日のような混乱を招いたのではないかと考えるわけでございます。

 それから、やはり混乱のもう一つの原因は、歯科医療の需要と供給のアンバランス。これは昭和三十六年に国民皆医療保険になりましたが、当然これは歯科医療についての需要が増大するということは予測されていたわけでございます。しかし、これにつきまして、果たして歯科医師の養成ということについてどれほどの努力が行われたのであろうか。この需給のアンバランス、その結果、端的にあらわれたのが予約制でございます。これは一面において非常に私は便利な制度であろうとは思うのでずが、見ようによれば、ていのいい受診抑制、診療拒否というような形になるのではないかと思うのです。現実にこの予約制の問題について見ますと、歯科医師会で私いろいろ取材してみますと、歯科医師の方は、良心的な診療ができるには一日十二、三人から限度十七、八人である。大体そのくらいの数字ではないかと思うのですが、そうなれば予約制というものもやむを得ないではあろうと思うのですが、十二、三人もしくは十七、八人くらいまででは当然医業経営が成り立たない。ここにやはり差額徴収、自由診療の発生する余地があったのではないか、こういうふうに考えるわけです。一方においては増大する患者、一方においては限られた歯科医師の数、これは当然こういう需給のアンバランスというようなことも背景にあったのではないかと思います。

 それからもう一つは、やはり医の倫理の荒廃。これは何といっても、先ほどの、たとえばどんぶり勘定によって百万、三百万を総義歯で取る、そういうようなところにもあらわれておりますけれども、基本的には、これは現在の医科大学もそうでございますけれども、歯科大学が果たしてこの医の倫理、具体的に申しますと、医学概論についての講義を行っている学校が果たしてどれだけあるだろうか、この辺も非常に大きな問題ではないかと思うわけです。大体医師もしくは歯科医師、この医という字はメディシンではなくて慰める、医師というのは慰める師である、医道というのは慰める道である、要するに、医というものはやはり愛を基調にしたものであるわけであります。なぜ愛を基調にしなければならないかといいますと、これはやはり患者と医師との間柄というのは、しょせんは強者と弱者の関係ではないか。極端なことを申しますと、たとえば医師がマージャンに興じておりまして、患者が苦しんでいて、いまにも死にそうだ、来てくれ、そのときにもしマージャンに興じていて医師が行かなければ、その患者は苦しみ、死亡するわけでございます。こういうような状況に置かれているわけですから、弱者と強者との関係、しかるがゆえに私は、そこに医のモラルとか倫理とか医道が必要なのではないかと思います。ところが、こういうような愛に根差した気持ちを現在の歯科医師の方が果たしてどのくらいお持ちであろうか、その点について私は非常に疑問に感ずるわけでございます。これは結局、歯科大学六年間のこのコースにおいて、果たしてどれだけこういうことについての情操教育が行われたのであろうか、これは一面、もう一つ、歯科大学の教員の質の低下ということとも絡み合ってくるのではないかと思うのであります。これは端的に申し上げますと、現在特に私立の歯科大学に目立つ傾向なんでありますが、多くの歯科大学において、たとえば保存でも矯正でも結構でございます、そのある科目だけについては一科目、二科目、極端に学生が落第し留年するという事実がございます。それは確かにいまのように二千万円も、最低千五百万円も出さなければ入れないような状況においては、学生の質が悪くなっているかもしれませんが、その多くの大学においても、要するにある科目だけについて極端に留年するということは、これはやはりその教授、助教授の教え方が悪いんではないだろうか、ここに私は、何か最近の歯科大学の教員の質の低下、そういうようなことも考えられるわけであります。ですから、こういう教官によって教育される学生、私は非常に憂うべきことではないかと思います。

 それからもう一つ、今日のこの混乱の一つの原因となっているのは、私は患者のサイドにもあるのではないかと思います。これはいろいろ取材してみますけれども、たとえば歯科医師会の年配の方などがおっしゃるには、昔の患者というのは、たとえば歯科治療を受けに来るときはたいてい口ぐらいゆすぎ、歯はみがいてきたものである、ところが最近は、まず五人のうちそういう人が一人いるかどうかである。極端な場合には、お母さんが子供を連れてきて、待合室で診療を受けるのを待つ間にそこでもってお菓子を食べさせている、こういうような状況も見えてきております。そうなりますと、歯科医師の方でも本当に親身な気持ちになって治療をしようという気持ちが薄れてくる、これは見逃せない事実だと思います。この際、私どももたてまえ論ばかり述べてないで、こういう機会に反省はしたいと思うのですが、要するに予防への努力ということが特に母親の間になくなってきたのではないか。一枚の健康保険証さえあれば、なに、虫歯になっても、病気になっても何とかしてくれるだろう、こういう安易な気持ちも私は問題があると思います。いろいろ問題もありましょうけれども、確かにいまの医師は薬を乱用し、歯科医師は物を乱用しというあれがありますが、患者サイドにおいても、やはり保険証を乱用しているのではないだろうか。医療保険というのはわれわれ国民の共通した貴重な財産である。これはみんなで守って育てていこう、乱受診はやめよう、そういうようなあれがあってもいいんではないか。極端に申しますと、保険というものはこれは掛け捨ての火災保険のような気持ちを持つということ、いざというときの安心料である。毎月の保険料なり保険税というものは安心料である、そういうような意識も今度の問題を通して培っていかなければならないということを私は感じたわけでございます。これは、学校なり家庭なり社会においてこういうような教育も行われなければいけない。

 でありますから、いまの、不幸なことに国民、患者との間の感情の摩擦といいますか、みぞといいますか、これを一〇〇%私は歯科医師の側にあるとも思いません。やはり国民の側においても医師をプロフェションとして尊敬し、それからみずからの健康を守ろう、そういうような努力も必要なんではないか。歯科医師会を責める――あるいは行政当局の怠慢、たとえば怠慢と申しますのは、今度一つの大きな混乱を招いたのは、厚生省は、一方において保険でも十分に義歯はできるんだ、ところが一方においては差額徴収を認める通達を出す、非常に混乱しているわけでございます。こういうような怠慢もございますけれども、やはり国民サイドにおいてもこの際反省する必要があるんではないかということを私は感じているわけでございます。終わります。

○大野委員長 以上で参考人の方々の陳述は終わりました。
    ―――――――――――――
○大野委員長 次に、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸井田三郎君。

○戸井田委員
 きょうは斉藤参考人、佐野参考人、伊吹参考人、大熊参考人それぞれお忙しいところお越しくださいまして、特に斉藤参考人のお話によれば御子息が交通事故でまだ意識が覚めていない、大変御心配だろうと思うのです。私は、時間の関係で参考人の方々にごくわずかな問題ですが、御質問させていただきたいと思います。

 私はこの公述を聞きまして大変驚いたのは、斉藤参考人が、もちろん倫理感に欠けている面もあるし、あるいはいろいろな意味でトラブルが起こった面に対する遺憾の意の表明をされておりますけれども、しかしながら、そういったものは一部であって、今度の地方選なんかを見るというと、歯科医出身の人が六十五名立って五十四名も当選しているんだというような話をされましたが、何となく私はそういうのを聞いて、いまの医療問題というものに一番中心になっている歯科医師会の中で、果たしてどういうふうにこれをとらえて、どういうふうに感じているんだろうかということを考えたときに、非常にむなしいような思いをしたのです。私はまず、こういうような国民の中で起こった大きな問題を国民的に心配して国民的に解決しようとしたならば、やはりその一方の当事者であり、一番大事な医師会というものは、もっともっと真剣にこの問題をとらえなければならないと思うのであります。

 そういう観点に立って、現在の日本歯科医師会の紛争といいますかあの混乱した状態、三月十四日からつい一昨日まで総会も開けなかった、こういうような状態、新聞報道で見るというと、私たち何かさっぱりわからない。果たしてどういったようなことが両者間で争われて、それをどういうような解決をしようという方向に向いているのか、その点についてまず第一にお聞きいたします。

○斉藤参考人
 まことに内部の問題で申しわけない次第でございます。事の起こりはいろいろあると思いますが、直接の発火点は、会長さんの失言か暴言かわかりませんが、それに近いものから発火点があったというふうに思います。たとえば普通の場合、御案内のように不信任というものが出る場合には政策から出なくちゃならないのじゃないかというふうに思っていたところが、感情の中から出たような感じがいたします。そこで不信任は、三月十四日に理由をつけずに不信任動議で通過いたしました。会長は、理由がわからない、私は政策によっての不信任ならば理解できるけれども、わからない中の不信任は承諾しかねる、それが混乱の大きくなったスタートでございます。

 その後、わが歯科医師会が国民のためにも会員のためにも仕事をしなければいけないんだという考え方を私は常々考えますし、この混乱をより以上延ばして国民に迷惑をかける、代議士の先生方も心配になっている中で何をしているんだという批判が強いのでありまして、私は立会の精神を訴えてまいったのでありますが、不信任を通過さした側にとりましてはその程度ではなかなか納得できませんで、一回流会になった次第です。

 その後会長の考え方の中でどんなことがあっても混乱を長引かしている責任は免れないんだよ、そういうことが理解されまして、会長のあいさつ状となってまいったわけであります。そのあいさつ状の中で、混乱の責任は私であり、十分に反省する、代議員会の趣旨を尊重して今後やっていきたい、いまの混乱をそのまま見るにたえないんだ、こういう訴えがあったのでありますが、やめるという問題がめどがつかない限り、それはなかなか承諾できないというようなことで長引きまして、一昨日の開会と同時に、四、五時間その問題だけに終始した次第であります。まことに申しわけございません。

○戸井田委員
 不信任という問題であれば当然政策の問題になるべきでありますが、今回のはそうではなく感情問題だという。私は大事な問題もたくさんありますから、このことで余り論争したくないのです。ただ私、余りにもその認識の点において違いがあると思うのです。ということは、政策で会長に対する不信任が出るのだったらいいけれども、感情問題、派閥問題みたいなものでなったということになると、いま国民が歯科医師会に対する問題で――差額徴収の問題とかいろいろありますが、そういう問題で非常に激高しているような状態の中で、そういうものが論じられないで単に感情的に不信任が出されたと私は思わないのです。やはり四十八年八月に会長の出されたマル秘文書、こういったものに対して歯科医師会の中で考え方の相違があるのではないか。それは、何新聞だったか知りませんが、国会図書館から出していただいた資料の中にあるのです。奥野半蔵さんという兵庫県の歯科医師会会長と松岡さんとの対談です。その中に「私たちと中原会長との違いは、中原会長は脱保険政策遂行論をいまだに改めようとしない。」いまだに改めようとしないということは、前にもそういう論争があったからだろうと思うのです。「これに対して私たちは保険重視政策です。」要するに保険重視政策と脱保険政策との争いで、マスコミでは学閥闘争だというようなことを言っているけれどもそうじゃないのだ。――まさにこれは政治的に、歯科医師会の中に保険制度を重視するものと脱保険政策でいくものと二つに分かれているのじゃないか、それが一つの発火点になって、あるいはそういったものが一つの感情問題に絡んでいるかどうか知りませんけれども、根はそこにあるのじゃないか。そうなるとすると、この問題をそういう問題にとらえずに、歯科医師会内部でもって依然として感情だなんという感じで処理していったならば、いつまでたっても国民の疑惑というものは晴れない。また現在のこの混乱を解決しようとしたならば、その解決の前進の道へ歩むことはできない、私はかように思うのです。簡単で結構ですからお答え願いたいと思います。

○斉藤参考人
 マル秘文書、脱保険の問題については、あの時点においてそういう言葉を使うことについて半年間の代議員の協議会を経ているわけです。それで、脱保険という言葉は不適当であるというので、半年後には計画診療という言葉に変わっております。その間に私たちは、各県の県歯科医師会に脱保険という言葉についての不当性を言っているわけなんです。その脱保険の問題について、各県で理事会あるいは代議員会を行ったかどうかという調査をしてまいりますと、一県も理事会、代議員会の議を経ていないということがわかったので、これは言葉が強過ぎるので計画診療という言葉に切りかえるからということにしたわけなんです。その後また、この発端と思われるというふうにお考えでしょうが、マル秘文書というものが一年ばかりたってから外に出たわけです。その中で、これは当然その時期のものだけであって消しているのだ、それが消した通知が行かないじゃないかという問題が起こってまいりました。

 そういうことで、ことしの三月六日ですか、正式に取り消し通知を出したといういままでの経過といろいろなものを大臣に提出してまいりました。そこで大臣は、これからはそのようなことのないように十分に厚生省との理解の中で進んでいってもらいたいということで一応のけりがついたと私は考えておったわけです。

○戸井田委員
 保険医療の範囲ではやっていけない、これは大熊参考人の話の中にもちょっとそういう低保険という国の政策に対する御批判のあれもありましたが、そういう意味で脱保険政策をとっている人たちの考えの中には、そんなものは安くてやれるか、こういうことをやっているのはおれたちはあたりまえなんだ、そういうようなのが何か心の中にあるのではないか。やはりいろいろな批判が起これは、批判をしている人たちはどうもわれわれの実態というものを知らないんじゃないか、こういうものでやっているから勝手な批判をしているけれども冗談じゃないというような考えが底流にあるから、やはり深刻な反省というような問題にも結びつかないのではないかと思うのです。

 そこで私は、この三月に厚生省が調べました「歯科診療等苦情・質問相談受付及び内訳表(三月分)」によっていろいろこの苦情を見ると、先ほど伊吹参考人が言われたのと大体同じような傾向が出ております。最も多いのば差額徴収に関するものであります。その中で金額が高いというのが全体の三百八十八のうち百四十一、二九・九%。その次に、保険はだめだと言われて差額徴収治療を慫慂されたということで不満を言っているのが三百八十八のうちの百四、二二・一%。ですから、この差額徴収の中で先ほど伊吹参考人が言われた幾つかの問題点と同じようなものが五二%を占めている。こういうことはやはりこの差額徴収のあり方に問題があるのではないか。それは先ほど伊吹さんがおっしゃいましたけれども、十分に患者の納得の上で行っていない。いまの社会的な治療に対する要求の度から言えば、たとえばいままでだったら痛い歯を治してもらう、抜けたからひとつそこに歯を入れようというようなものから非常に美容的な方向に進んできて、きれいな歯、だから健康な人でもこのごろは歌手とかああいう人気商売をしている人であれば、何でもないうちから歯を全部きれいにしてしまうというようなものまであります。そういうようなものと治療をまじめにやろうというものとはもちろん違うわけでありますから、その差額徴収を取るような自由診療の場合にはもっと十分な理解を得て、理解を得た上でやったならば、少なくとも高いという問題と、差額徴収治療を慫慂されたというような問題は起こらないわけです。

 そこで、この起こった問題を実際どう反省されているのかということについていま歯科医師会で論争されているわけですから、その傾向というようなものでもお示しくださったら幸いと思います。

○斉藤参考人
 私たちも各県に苦情処理の機関を設けさしております。かなりの数が昨年の場合にもありましたが、歯科医師会自体においても苦情処理の機関を設けておりまして、一課長を充てております。各県のものについてはこの前も御答弁申し上げましたが、おおむね処理されておるということでございますが、本会自体の苦情の問題を簡単に申し上げますと、本年二月苦情五十四件、相談五十一件、三月には苦情十九件、相談二十四件、四月に苦情八件、相談五件、五月に苦情六件、相談五件という形に減っていっている。私たちは規則を守りながら、どうしてもこれを中心にしてお話し合いを十分にして、納得の上でやれという指導を強くまたいたしましたので減ったとは思いますが、このような状況でございます。そしてこれからの問題については、いま不採算点数とか医療の中に格差があるとかという問題もかなり知っておりますので、この面に向かっても会員の持つ不合理性を解くためにお話し合いを厚生省としたいというふうに考えております。

○戸井田委員
 この差額徴収に対する不満というものは最近減ってきたというお話ですが、いま私が読み上げたのは三月であります。ですから、去年の五月から十月までの調査と比較すると確かに多少減ってきております。しかしながら、そういうような苦情というものの中には依然として悪質なものが残っている。このことは、医療という問題からとらえてみたならば、先ほどどなたかの参考人が言いましたように、患者と治療する医師の立場はまさに強者と弱者の立場で、君、これは保険でできるけれども、すぐ悪くなってしまうのだ、しかしこれでやったら永久に大丈夫ですよというふうに言われると、多少無理しても、借金を質に置いても、ひとつこの際だから治しちゃおうかという感じを持つのはあたりまえだと思うのですね。しかし、もし保険治療のものがそんなにすぐ悪くなるものだとしたら、それこそ大きな社会問題だと思うのです。多くの人がそれでやっていかなければならないので、ただ特殊の人だけが、見たら特別きれいに、まあ歯というものも顔の商売の一部だというような人たちが求める美術的なものとは当然違ってこなければならないので、そういう保険で大衆が求めるものが簡単にすぐだめになってしまうのだというものであるとしたならば、それこそその方がもっと大きな問題だと思うのです。私はそうじゃないと思うのです。それよりも、保険というもので患者がこのごろたくさん来るようになった、そういう条件というものを差額徴収でいこうというような、ちょっと誤ったような方向に行っているのだと私は思います。しかしそれはまた言いにくいでしょうが、そういった問題を解決していくために歯科医師会というものがやっていかなければいけない。しかしながら、その歯科医師会も三万何ぼか会員がおる中で、中原さんが不信任になったときには七十五対三十幾らとかいうようなもので、百人前後ですね。その三万何千の歯科医師の中で果たしてどういうふうなお互いの連携というものがとれているのだろうか。単なる親睦団体で、会費を納めて、何かあったら、歯科医師会に入っていればいいのだというようなものになっているのじゃないか、こういうような感じもするのですが、その点どうでしょうか。

○斉藤参考人
 最近におきましての歯科医師会の問題について、いままでは会員の関心の度合いがわりかた薄かったようですが、最近特に関心が強くなってまいりまして、こんな状態はもう御免だという考え方の先生がかなり大ぜい増加したと思います。私たちは十分反省して、これでいけるかいけないかを重大に考えなければならない時期だというふうに考えております。もうしばらく時期をおかしいただきたいと思います。

○戸井田委員
 時間がありませんから、次の問題に移ります。
 一つは医師の不足の問題であります。大変不足している。それで、先ほど先生がおっしゃいましたように、飯をかみかみ治療しているのだ、せめて人並みの八時間労働にしてもらいたいというような状態の中で治療をしている。そういうような問題の一方に、佐野参考人でしたかお話しになりましたが、老人医療というようなものが保険制度になって無料化されてきている。そのためにAの医者、Bの医者、Cの医者等にかかって、三つのところから同じ患者の歯の技工を頼まれたというようなことになっている、こういうような問題もありましたが、確かに医者不足というものはやはり大きな問題だと私は思うのです。私、調べて、きのう厚生省の方に聞いてみると、大体十万人に五十名というのが標準になっておるというわけなんですね。そうすると大阪、東京あたりはどうなんだと聞いたら、東京は十万人に六十五人だというのです。そうすると、十万人に六十五人の大都会の中で問題が起こって、十万人に恐らく十人か二十人か、お医者さんの非常に少ないところで問題が起こっていない、苦情が余り出ていない。あるいはあるのかもしれないけれども、そういう機関がないから出てこないのかもしれませんけれども、実際は十万人に対して五十人という基準をオーバーしているところに苦情が多いのは、やはりいま言ったように医師のモラルというものがはっきりしないと、その問題は単純な数では解決  つかない。私たちからするならば、僻地とかそういう医療にかかれないようなところにむしろお医者さんが行っていただくということがありがたいのですけれども、そういうようなものができないにしても、数が満たされたところで問題が多いというのは、やはり医師側に一つの問題があるのじゃないか。しかしながら、お医者さんの中でも本当にまじめにやっているお医者さんも非常に多いと思うのです。大熊参考人はむしろ一部の善良なお医者さんと言って、大部分が悪いように言っていましたけれども、私はそう思いたくない。実態はよくわかりませんけれども思いたくない。むしろ善良なお医者さんが多いと思います。しかしながら善良なお医者さんが多くても、それだけ基準を満たされて基準をオーバーしているところに不平が多いということは、単に医者不足だけでは解決がつかない、モラルの問題だということを私はひとつ指摘しておきたいのですが、いかがでしょうか。簡単にひと……。

○斉藤参考人
 私も冒頭に、医療の中の第一基調はモラル、倫理から始めなければいけないのだ――それを私たち歯科医師会は会としてもっと強調し推進しなければいけない。そのために倫理委員会においていま、診療室に張り出す、あなた方はこう考え、こう医療をしなければいけないという標示みたいなものをつくろうとして計画中であります。

○戸井田委員
 時間が参りましたので結論に移りたいのでありますが、要は、この問題を総合的にとらえれば、先ほど大熊参考人が言われたように、医師会側にももちろん言い分もあるだろうし、患者側にも言い分もある。保険側にも、また技工士さんの佐野さんも言われましたが、技工士という立場で身分が法律的にも認められているのに、しかしながら一番大事な料金の面にいくとお医者さんの中に含まれてしまって、自分の自主的な要求をすることができない、こういうような問題等たくさんあります。こういうような問題を解決しようとするならば、やはり中医協のようなところへ出てきて自分の言うべきことは言う、そしてまた医師会の中でも、いま言ったように国民から出ている大きな要望の中で医師会として解決できる問題等については積極的に対処していただく、こういうようなことをしていただかなかったならば国民の医療に対する信頼をかち取ることはできない。こういうふうに思うわけであります。そういう意味に立っていただいて、むしろ善意な大多数のお医者さんの立場を背景にしていただいて、医師会としても中医協へ来てひとつ堂々とやっていただきたいのですが、現在どういうふうなことになっておりますか、参考人の御意見、最後にそれだけ聞いて終わります。

○斉藤参考人
 いろいろのことがございましょうが、三師会の立場もありますし、私たちが委員を引き揚げましたときの声明もございまして、その声明の内容に積極的に前向きに当局が示してもらうというようなことから、私たち歯科医師だけに混乱の責任が来るような状態でなくて、まず大ぜいの方々と各機関を通して、虫歯を撲滅しなければいけないんだという姿勢を見せてもらわなければいけないと思うのです。その中に、今度の厚生省の予算を一つ見ても、歯科の問題だけについては非常に小さいのでありまして、私これを調べてがっかりしたのですが、五十年度厚生省予算は医療と年金を除くと約一兆五千億円だ、そのうち歯科関係は、歯科医師国家試験費その他の調査費を含めて二億四千万円、比率にすると一万分の一・六である。そうするとPPMにすぎないというふうな感じを持ったときに、これは歯科に対してもっと前向きに考えてもらわないと、虫歯はどんどんふえるし、患者はどんどんふえるし、たまったものじゃないという寒けがしたわけであります。この数字はけさ調べたのです。私知らなかったので申しわけございません。前向きに検討して参加いたします。

○戸井田委員 ありがとうございました。

○大野委員長 次に、枝村要作君。

○枝村委員
 参考人の方々にはお忙しいところ出席していただきまして大変御苦労さまでございます。

 私は佐野参考人にお伺いいたしたいと思いますが、ことしの二月二十二日の衆議院予算委員会の集中審議で、当時の森谷会長が参考人として意見を述べました。その後どういう理由か知りませんけれども、会長をおやめになりました。真偽のほどは不明でございますが、うわさによりますと、予算委員会における発言が原因で辞任せざるを得なくなった、こういうこと、それからまた歯科医師会の医師の圧力があったからやめなくてはならないようになった、こういうふうな取りざたがされておるのでありますが、一体どういう理由でやめたのか、その真相をおわかりになればひとつ説明していただきたいと思います。

○佐野参考人
 先生御指摘のように、本年の二月の予算委員会に当時の本会の森谷会長が参考人として出頭いたしました。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

その席で小宮先生の質疑の中で、現在歯科の金歯は七千円であるというような発言をいたしました。これは本会の実情を全く無視をした発言だということで、その直後に開かれました全国の会長会議でその発言の責任を追及をされました。森谷当時の会長は、当然その中で現在の技工士の実態を訴えるべきであるという立場にありながら全くそれを発言をせずに、非常に七千円というような架空の値段を言ったというようなことでその責任を追及されて引責辞職をしたというのが実態でございます。

 また先生御指摘のように、そういう発言を歯科医師会等が圧力をかけてやらしたというようなうわさが一部にはございましたが、実際のその真実についてば私たちとしてはわかりません。

○枝村委員
 それではその次に、引き続いて佐野参考人にお伺いしますが、今日の歯科医療に対して厳しい世論が集中しております。歯科医師会もそのことを非常に心にとめていろいろ御苦労されておるようでありますが、それともう一つは、歯科医療の混乱は、そういう意味から、いま言いましたように歯科医師会の内部の改革を含めて世間の注視の的になっております。斉藤参考人はもう少し時間をかしていただいて努力をするというようなことを言っておられましたが、このような状態に対して歯科技工士会はどういう受けとめ方をしておられるか、率直にひとつお話を願いたいと思います。

○佐野参考人
 われわれ歯科技工士会といたしましては、今日の歯科医療の混乱の大きな原因は、国の低医療政策のしわ寄せを歯科に求めたということが第一大きな問題だというように考えております。

 また二番目といたしましては、一部の歯科医師のいわゆる先ほどから問題になっております倫理の欠如、また保険制度の欠陥というのがございます。歯科医師会がよく、保険で入れれば入れるほど赤字になるということを申しますが、これは私はある面では事実であろうかと思います。現に保険点数の上がり方が、一般の治療の分野では非常にひどいものになりますと三七〇%ぐらい七年間に上がっておるのにもかからず、補綴という物を入れたりする部分が七年間に三五、六%しか上がってないというような実態がございます。そういう保険制度の欠陥と一部の医師の倫理観の不足、また国の福祉行政を進める中で、たとえば歯どめがないために老人があっちこっちへ行って自分の入れ歯を三つも四つも持っているというような面、そういう面が相まって今日の医療混乱があるというようにわれわれの会では受けとめております。

○枝村委員
 厚生省に聞きますが、いま佐野参考人からお述べになりましたように、たとえば治療技術料は三七一%も上がっている、ところが補綴技術料あたりは三五、六%しか上がらない。こういう医師そのものの行う部面については数百倍、数十倍も上がり、そして技工士の関係するそういう問題についてはわずかに抑えるというこういう不平等、差別、こういうやり方に対してどう思っておるか、関係者の答弁をお伺いしたい。

○北川政府委員
 ただいまお話のありました歯科技工関係の点数の上げ方でございますけれども、私どもといたしましては、四十二年の十二月時点には、従来からいろいろありましたものをまとめて評価をいたしておったわけであります。しかし最も最近の改定である四十九年十月の時点におきましては、こういった一連の診療行為、すなわち歯冠の形成でありますとかあるいは印象の採得でありますとかいろいろあるわけでございますけれども、そういったものについて各診療行為を個別に評価するということにいたしました。したがって、四十二年十二月時点における歯冠修復あるいは欠損の補綴というふうなものについての点数と、それから四十九年十月のそれとを単純に比較いたしますことは、現在の点数表の構成上妥当ではないと思っております。そういったものを加味をして比較をいたしますと、いまお話に出ました三六%というふうな数ではなくて、あるいは二〇〇%、あるいは百数十%といったふうなものになっておりますので、点数表の中身が変わってまいりましたから、いま提起されましたものは私は当たってないと思います。

○枝村委員
 厚生省に対する質問はこの時間ではとうていできませんので、午後からの一般質問の中で十分やりたいと思いますので、これ以上言いません。

 続いて佐野さんにまたお聞きするのですけれども、現行の保険制度の中で歯科技工士の位置づけは一体どうなっておるかということなんです。歯科医師の補助的な立場に置かれておる、手足のように働けばいい、こういう状態に置かれておって、全く一人前の資格は与えられてない、こういうふうに一般的には見ておるわけでありますが、これに対して技工士会としてはどのような考え方を持っておるか、それを直すためにどのような要求をして運動を進めておるか、この点をお伺いいたしたいと思います。

○佐野参考人
 いまの保険制度の中には、私ども歯科技工士というのは医療技術者でありながら、全くコミットをされておりません。全く位置づけが認められていないというのが実情でございます。そして、私どもがぜひ申し上げておきたいことは、いまの保険制度の中で、たとえば補綴という物を入れるものの中には、たとえば歯科医師が型をとれば、型をとった行為については点数がついておりますし、また何を入れようかという診断をすれば診断の点数もついておりますし、そしてできたものを入れれば、その入れたという点数がすべてその行為については出ているわけでございます。そしてその中に技術料というものがございます。その技術料というものは、本来ならばつくる者がもらえる点数ではないのか。たとえばわれわれ技工士がつくれば、そのつくったものについては、つくった者の点数だというように私たちは解釈をするわけであります。ただし実際問題としては、現在、それの五〇%から八〇%程度しかもらっていないわけです。われわれの立場から言えば、歯科医師は自分で型をとって、それを技工所に出すときにマージンを取るのですか、それはわれわれに全部よこさないというのはマージンなんですかという問いかけをいたしましても、余りいい返事は返ってきませんし、われわれを納得させる返事は返ってきておりません。私の手元に業界紙の日本医事新聞というのがございます。この中で、つい先日まで中医協の歯科医師会の代表であった方、また日本歯科医師会の常務理事であった方が、日本歯科医師会の役員をおり、中医協のメンバーからおりまして、その先生が、東京都の代議員会でこういうことを申しております。いまの保険点数の中で、その三分の一程度を技工士にはやればいいんだというような発言をされている、こういう記事が載っておりました。私たちは、こういう先生が中医協の中でメンバーとしていろいろと発言をしていれば、いまのように半分しか技工士には払われないというような実態が出てくるのは当然であろうというように思います。

 ちなみに先生方が一番おわかりやすい例を申し上げますと、たとえば総義歯、総入れ歯の点数が、いろいろの行為をずっとトータルをいたしていきますと千三百何点かになります。そのうちに七百点という技術料が入っております。私どもは、技工士の手によって一々全部つくられるわけなんだから、その技術料は技工士がもらってもいいんじゃないのかという主張をいたしますけれども、実態は、いまそれの全国平均を申し述べますと、われわれの調査によりますと、全国平均で総義歯の技工料として支払われておりますのが三千五百円でございます。それで、過日日本歯科医師会が予算委員会あてに資料を出しまして、東京都の技工料金表というのをつけて出しました。東京都の技工料金表というのを、これでやっているんだというように歯科医師会は出しましたけれども、われわれが実態を調査をいたしますと、東京都の技工料金表は、現実に取引をされているのはこの料金表の七〇%だというように言われております。そうしますと、七百点の総義歯が東京都でも全国平均と同じように三千五百円の工賃しかもらってないというのが実態でございます。

○枝村委員
 そういたしますと、差額徴収の一つの原因として、歯科技工士料の高騰が挙げられておるということは、全くそれは、でたらめという言葉の表現はおかしゅうございますけれども、理にかのうていない、こういうことになるわけでありますね、佐野さん。

○佐野参考人
 歯科医師会がよく差額徴収が高い原因を技工料金の高騰だということも申しますし、ある新聞によりますと、技工士トンビ論というのがありました。ある歯科医師の先生が、おれたちが幾らかせいでもみんな技工士に持っていかれるんだ、技工士は油揚げをさらっていくトンビだというようなコメントを新聞に発表したことがありました。私たちは、ここに御出席の斉藤先生にもこの問題について抗議いたしたことがございます。先生も、それは暴論だ、そういうことは日本歯科医師会としては全く考えていないというような御発言をいただいたことがありますけれども、いまの保険制度の中でやはり欠陥があることは事実だと思います。たとえば、金のパラジウムというものを材料に使いまして歯にかぶせる鋳造冠というのがございます。この鋳造冠の現在の保険の中での技術料というのは百五十点になっております。そして、私たち技工士がもらっています技術料というのは全国平均で二千円もらっております。また、東京都におきますと約三千円程度工賃をもらっております。この三千円もらい、全国平均でも二千円もらっているものが、保険点数の中では百五十点ということに位置づけをされております。これは全く保険制度の欠陥であると私たちは指摘をしたいと思います。それで、私たちがその鋳造冠というものをつくりますのに要する時間は、約二時間から二時間半ぐらいは要しております。そういうことから言えば、歯科医師が入れれば入れるほど赤字になるというコメントは当たっていると思います。ですから、これは保険制度の欠陥としてぜひ国でお考えをいただかなければならぬ問題だというように考えております。

○枝村委員
 もう時間もありませんから私の方からも言いますが、先ほど言いましたように、あなた方はどういう運動をしておるかということについて、冒頭、あなたの御意見の中では、中医協の中で技工士会の意見が十分反映されるようにいろいろ制度的に、ないしは、できるとすればそういう場で発言できるようにしてもらいたい、こういう意見が出されました。将来の問題については、保険技工士制度をつくる――これは保険技工士だけではなくして、ほかの看護婦もありましょうし、いろいろ補助的な仕事をされる方にも、そういう制度の中で、保険の中で十分活用できるようなものにしてもらいたい、そのことがあなた方のいわゆる一人前としての資格を与えることになるんだ、こういうふうにおっしゃったと思うのです。

 そこで、厚生省にひとつお伺いしたいのですが、いまそういう補助的な立場に置かれて一人前の扱いをされておられない方々、今回は歯科技工士会の人々のそういう制度を改めるために、ひとつ抜本的な考え方に立たれる、ないしは当面の問題として、中医協の中の歯科部会があるようでありますから、そういう場にその発言の機会を与える、ないしはたとえば補綴技術料などを決める場合には、いままでのように歯科医師会と厚生省の二者だけで簡単にことことと決めるようなばかげたことをしなくて、その場合にも技工士会の代表も入れてそういうものを決めていく、こういうやり方をやられないものかどうか。

○北川政府委員
 診療報酬の決め方につきましては、御承知のように、これは歯科に限らず医科につきましても、いまお話にありましたようないわゆるパラメディカルな方々の担当される分野というものも含めて現在はその仕組みができ上がっているようなわけであります。したがって、いま保険制度の問題ということがございましたけれども、確かに根本的には制度問題になるかもしれません。ただ、当面私どもは、現在のルールの運用というものをどういうふうに改善をしていくか、あるいはまた、現在のルールの中で所定の点数技術料というものをどのように改定をして、整合性のある合理性のあるものにしていくかということが喫緊の問題であろうかと思います。

 そのためには、いまお話もございましたが、やはり現在中医協に対しまして私どもは歯科診療の領域におけるいわゆる差額問題ということを諮問をしているわけでありまして、このために中医協におきましては、歯科部会をつくってすでに二回討議をされたわけでございますが、残念ながら現在中医協が中断をいたしておりますので、いまのところ中医協の場における議論は前に進んでおりません。しかし、これは一刻も早く正常化を待って、この中において、歯科医師の側からもあるいはまた患者さんのサイドからも現在の制度の運用あるいはまた広く差額の周辺の問題まで発展をするならば、そういう問題について十分な討議をしていただいて改善の方向を見出したい、このように考えておりますので、すべて私どもはいまのところ一刻も早く歯科差額部会というものが再開をされることを期待をいたしておるような実情でございます。

○枝村委員
 あともう一分くらいしかございませんから、斉藤参考人にちょっとお伺いします。
 伊吹参考人の提案のようなものがありました。それは、差額徴収のトラブルの原因は医師と患者との間の信頼感がないというところにある、これはもう斉藤参考人自身もお認めになったところであります。ですから、話し合いを十分行われるようにしなくちゃならぬという意味で、伊吹参考人が治療の部分、使用材料、治療代金及び保険の範囲内の治療か保険外かをあらかじめ明記した治療計画書というものをつくって、そして話し合うべきではないかという提案をされた。それからもう一つは、患者が請求するしないにかかわらず、領収証を発行する慣行を義務づけるようにすべきではないか。三番目には、保険での治療は悪いという印象をお医者の方から患者に与えておる、こういうことはやめる。こういう提案があったわけでありますが、斉藤参考人はこの点についてどうお考えになっておるか、簡単にお答え願いたい。

○斉藤参考人
 どの点につきましても、趣旨十分わかります。
 計画診療をしている先生もかなりふえておる、先ほどのお話の中にも領収証も出している人も出てきたというふうな風潮の中で、歯科医師会は、まず要求すべきものは要求するけれども、現在行われている規則に対しては守らなければいけないし、そして守り切れない不採算点数というものの中では十分にお話し合いして納得の中で進めろ、こういう指導は怠っておりません。

○葉梨委員長代理 関連質問を許します。和田貞夫君。

○和田(貞)委員
 私はまず斉藤参考人にお尋ねしたいのですが、私はやはり日本歯科医師会の認識の問題、先ほど斉藤参考人が一つの例として地方選挙の問題を言われた。まだ歯科医師会の信頼が地に落ちておらないというような発言があったわけなんですが、私はこれは非常に遺憾だと思うのです。今日歯科医療問題を混乱に導いたというのは、何といいましてもやはり歯科医師会に責任があると私は思うのです。全部だとは言いません、もちろん行政にもあると思います。先ほどより伊吹参考人からの一、二の例、あるいは佐野参考人の方から――歯科医の裏方なんです、陰の努力者なんです、そういう下積みになった技工士会の意見なりあるいは技工士の皆さんの努力というものをもう少しやはり組み入れて、国民医療という立場に立って、日本歯科医師会が国民に背を向けるんじゃなくて、前向きになってこの問題の解決を図っていく、あるいは保険制度の中で、先ほどからいろいろと欠陥を指摘されておるのですが、欠陥があるとするならば、やはり中医協にも出席するとかあるいはあなた方の立場から国民の皆さんに訴えるというようなことをして、保険制度の欠陥を国民の協力のもとになくしていく、そういう前向きの姿がなくてはならないのですね。先ほどの発言をお聞きして、非常にそういう認識というものについて私は遺憾の意を表するのですが、これらについてあなた方の方の決意のほどをひとつお聞かせ願いたいと思います。

 それから時間がありませんので文部省の方に、先ほど伊吹参考人が指摘されたわけでありますが、一月十一日の文部省通達によって国立の大学の付属病院に対してかくあるべきだという診療料金の通達をしておる。これは四月一日実施だという。四月一日実施だといって通達を出しておるにもかかわらず、一月もたたない間に五月一日から、あるいは六月一日から再値上げだ。その値上げが、まるで文部省通達が出したその料金を基準にして近畿あるいは北陸の医師の皆さん方が慣行料金、差額料金の標準ですね、料金制度をつくられた。それを上回るというようなやり方、当初の文部省通達の料金の三倍というようなばかげた通達ですね。一体どこからの圧力があったのか、歯科医師会からの圧力があったのか、厚生省からの圧力があったのか、そういう三倍までつり上げた算定の基準というものをこの機会に明らかにしてもらいたいと思う。

 それから厚生省にお尋ねしたいのですが、これも伊吹参考人から指摘された内容の一つでありますが、金合金の問題です。これは金合金の基準というものが非常にあいまいである。あいまいであるために、地方に行きましても地方行政機関が指導することができないのです。医師によってばらばらである。厚生省の技官もばらばらな考え方である。一体何を基準にするのか、こういうことでありますから、金合金というものはかくあるべきだというその基準を統一した見解として厚生省が通達を出していく、それによって地方行政機関の方で指導していく、こういうやり方をすべきであると思いますが、これらの考え方について厚生省としてひとつお答え願いたいと思うのであります。

 それからもう一つは文部省の方に、これも伊吹参考人なりあるいは大熊参考人の方から述べられたわけでありますが、予防への努力が欠如している。学校では児童に対しまして検診制度というものがあるけれども、治療制度というものが保障されておらない、治療体制というのは全くない。虫歯があるということを言われても虫歯を治療するところがなくて困っておる、こういう実情の訴えもあったわけでありますが、これらの治療体制の欠陥を補いあるいは予防への努力を積み重ねていくためには、伊吹参考人あるいは大熊参考人の方から、どういうような措置を行政当局にやらした方がいいかということをお二人からお答え願いたいと思います。

 以上です。

○斉藤参考人
 世論の厳しい批判の中で少し甘いじゃないかというおしかりがございます。私はもっともっと深刻に考えているつもりですが、表現がまずかったかもしれません。

 まず私たち自身の内部の安定が欠けているんだ、スクラムを組んで国民医療の向上のためにはもっともっと内部安定を第一義的に図らなければいけないんだということにかなりの精力を使いまして、これはもったいない、国民に対して申しわけない私たちの実態だと反省しております。この点についても早く安定の道を探りたいというふうに思っております。

 なお、国民向けのPRについては精いっぱい努力しておりますが、執行部の不信というものはその効果を半減するに違いないと思うので、この点まずみずからのえりを正したいと思っております。よろしく御指導願います。

○三角説明員
 国立大学の付属病院の料金の問題でございますが、付属病院で診療いたしました場合の診療料金の額等につきましては、国立の学校における授業料その他の費用に関する省令というのがございまして、この第十条の規定によりまして、文部大臣の承認を得てそれぞれの国立大学の長が定めることになっております。文部省では、この金額につきまして各大学ごとにある程度統一されておることが望ましいということで、昭和三十七年に国立大学附属病院諸料金規程準則というものを作成いたしまして、各大学に通知いたしております。各大学では、これを参考にして諸料金規程を制定しておったわけでございます。この各大学で定めます料金は、保険点数に定めのあります診療項目につきましてはこの点数による額といたしまして、他方保険給付の対象外のものにつきましては、所要経費でございますとか、それぞれの大学の置かれております地域の事情等を考慮に入れて算定した額としておったわけでございます。この場合、歯科領域の保険給付外の歯科矯正料でございますとか、保険で差額徴収を認められております補綴等の料金につきましては、所要経費の算定に当たっていろいろ複雑高度な専門性を要することなどもありまして、従来はそれぞれの大学におきまして、料金の定め方、額はまちまちといいますか、検討いたしましてやっておりました関係で、必ずしも最近の情勢から見て適切でないという面が見受けられたわけでございます。このために、四十九年度に文部省にございます大学病院運営改善調査会というもので専門家の御意見をいろいろとお聞きいたしまして、当面の参考となる額の検討を始めたわけでございます。

 他方、病院の発行いたします文書料の問題でございますとか差額病床等の料金の問題につきまして、会計検査院から保険給付外料金の適正化について示唆もございましたようなこともございまして、専門家の意見によります検討の結果を準則及びその解説の一部改正という形で、本年一月の十一日にこれを大学に通知したわけでございます。四月一日に実施ということではございません。それで、各大学におきましては、旧料金は大体八年から十年据え置きになっていたものでもございましたので、それぞれ慎重に検討いたしまして、大学によりまして五月一日施行あるいは六月一日あるいは七月一日施行予定ということで、目下諸料金の規程の改正が進められているというのがこれまでの経緯でございます。

 でございますから、四月一日にあれをして六月に再値上げということではないわけでございますし、それから三倍と申しますのも、これまで八年ないし十年据え置きでございましたために、いろいろな材料費あるいは光熱水道費あるいは給与の値上がり等、それぞれ勘案いたしまして、専門家によって検討を経た結果出ました金額でございます。それで、特段のどちらかからの圧力云々というようなことはないわけでございますので、ひとつ御説明いたしておきたいと思います。

 なお、その余の文部省の問題につきましては、後刻学校保健課長から御説明いたしたいと思います。

○北川政府委員
 金合金の基準の問題でございますが、保険の方では御承知のように十四カラットということでやっておりまして、差額については申し上げますまでもなくこれよりも高単位のものでございますから、現在でも十八カラットないし二十二カラットということを基準にして指導もいたしております。指導の不十分な点があればなお今後十分周知いたさせるように努力したいと思います。

○伊吹参考人
 ただいまの金合金の問題でございますけれども、私どもが受けました苦情の中で、保険材料と全くと言っていいほど変わらないものが差額徴収の対象として一万五千円ないし二万円徴収されているわけでございます。保険材料と変わらないのになぜこれが差額徴収の対象になるのかということを聞きますと、お医者さんの方は自家製で金を五〇ないし五三プロ、白金を一ないし二プロ入れているから差額徴収の対象になるのだというふうな発言なんですけれども、その辺のところは中医協の席上で、ある厚生省の技官が五八・三三%というふうな線を出されたとかというふうなことも聞いておりますけれども、全くはっきりしておりませんために非常な混乱が起きておると思うわけです。

○大熊参考人
 先生、それは予防の件でございますか。――私はこう考えるのでございます。歯科医というのはいままでのように、おまえたちの方から出向いてこいというような立場ではなくて、今後市民の間に入っていくべきではないかと思うのでございます。それで、罪滅ぼしという言葉は適切ではないと思うのでございますけれども、差額徴収でこれだけもうけている歯科医師の方も大分おるわけでございますから、その地域の歯科医師会がイニシアチブをとりまして、当番制で、学校医だけに任せないで、たとえば学校を巡回して直接そういうふうな指導に当たるとか、最近ではいろいろな婦人団体、市民団体もあるわけでございますから、やはり当番制でそういう歯科医の方が現実にそういうところに出向いて、いろいろ歯のみがき方であるとか、甘いものはこういうふうにしてとらなければいけない、これ以上とってはいけない、そういうようなことに入っていくべきではないか。そうしますと、やはり市民との間にヒューマンリレーションズが芽生えてきて、医療というものも非常にしっくりいくのではないか。ところが常に、知らしむべからず、よらしむべしというのがいまの歯科医師会の姿勢でございまして、そういうようなことが予防の問題にもずいぶん――この問題は要するに厚生省がやることだ、あるいは地方自治団体がやることだというようなことで、大体それも一つの広報活動の中に入るのではないかと思うのですけれども、私は歯科医師会の広報活動というのは余り信用しておりません。今度の問題におきましても、いろいろと私テレビに出ましたり座談会に出ますけれども、一片の資料も、私などの必要とする資料などは、その席に出た歯科医師会の幹部は、それでは必ず今後はこういう資料を用意します、御意見を聞かせていただきますと言うけれども、一度も来ていないということも、この際申し上げておきたいと思います。

○枝村委員
 これで終わります。が、山下厚生政務次官、お聞きになったと思うのですが、抜本的には制度の中の改善あるいはやりかえということもありますが、しかし、歯科医師会の内部の改革は当面一番急がれなければならぬと同時に、行政の面でもう少ししっかりすれば、いまのような参考人の御意見や提案なんというものもできると思うのですよ。そういう意味で、よく聞いていただいたと思いますから、厚生省としては力を入れていただくようにお願いいたしまして、終わります。

○山下(徳)政府委員
 ただいまの御意見、大変結構なことだと思いますし、その趣旨を十分尊重してまいりたいと思います。

○葉梨委員長代理 次に、小宮武喜君。
 時間の制約がございますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

○小宮委員
 私は、二月二十二日に予算委員会の集中審議で、日本歯科医師会また技工士会に来ていただいていろいろ質問しておりますので、きょうは主として厚生省の歯科行政に対して質問したいと思います。

 しかしその前に、せっかく斉藤参考人も来ておられますので端的な質問をしますけれども、いま言う四十八年の八月二十七日「自由診療実施について」といういわゆるマル秘通達を、これだけ世間の批判を浴びておるわけですから、歯科医師会として撤回する意思があるかどうか。撤回すべきだという考え方をしておりますが、その点についてどうかということと、もう一つは、予算委員会において歯科医師会、技工士会は国民の納得するような資料提出を約束したわけですが、技工士会はここでもらったということになりますけれども、歯科医師会としては資料提出を斉藤参考人自身が予算委員会で約束しておるわけですが、その資料提出はいつ出すのか、現在どうなっておるのか、その点をまずお聞きしてから厚生省にお伺いします。

○斉藤参考人
 マル秘文書につきましては先ほど申し上げましたから、簡単ということで、一応マル秘文書の問題については三月六日に厚生大臣と中原会長との間に了解がとれまして、しかも三月十五日に、これは撤回という言葉も出した方がよろしいというので、改めて全国の歯科医師会に撤回の文書を出しております。

 それから資料の問題でございます。あれから直ちに帰りまして、歯科医師会の各機関の中で、集めてみろという指令を全国に出したところが、やはり三月に入りますとあのような状態で御迷惑をかけまして、なかなか集まり切れません。そして私自身がつくったものは鹿島さんに参考として渡してあります。必要ならば小宮先生に渡してくださいということで、渡しております。まだ行っておりませんか。鹿島先生自身に渡して、まだ全国的な慣行料金表は集まり切っておりません。
 以上でございます。

○小宮委員
 これは私が資料提出を要求して予算委員会で決定されたわけですから、私に資料を提出せずに鹿島さんに資料を提出したということは……。

○斉藤参考人 持っていっていただきたいということをお願いしたわけであります。

○小宮委員
 その問題、時間がないので次に譲ります。
 そこで厚生省、このマル秘文書について、大臣ば健康保険法違反の疑いがあるとして告発をするということまで言われておったのですが、その後大体音もさたもなくなってしまったのだが、どのようになっておるのか、その点政務次官、ひとつ答弁してください。

○山下(徳)政府委員
 処分につきましては、一応いわゆる口頭による厳重注意をもって一つの段階を経ているわけでございます。公益法人に対する監督官庁としての権限としましては、民法によって法人の認可に対する取り消しというものもございます。したがって、今回の処分決定に至るまでは、厚生省内においてもこの取り消しまで含めていろいろ検討したわけでございますけれども、現在における歯科医療の国民の間における重要性にかんがみて、そこまでするのはどうかという判断に立って、厳重注意をいたしたのでございますけれども、この厳重注意自体が過去に例のないきわめて異例のことで、私ども決して軽い処分だとは考えておりません。

○小宮委員
 違法性の問題についてはどうですか。これは後で保険局長にはまた質問しなければいかぬし、あなた自身が渦中にあると思いますから、あなたから答弁してもらうことを私は遠慮してもらいたい。政務次官、どうですか。

○山下(徳)政府委員
 厚生省としては違法性ははっきり認めております。したがって、違法性を認めてそういう処分に踏み切ったということでございます。

○小宮委員
 あれだけ厚生省は国民が納得する線で解決するということを内外に示しておるわけですよ。ところが、いま言われるように歯科医師会長を呼んで厳重注意するということで一件落着ということになっておるわけですが、厳重注意というのが国民の納得する線だと思いますか、政務次官。

○山下(徳)政府委員
 先ほど答弁いたしましたように、厳重注意というのは取り消しの次に重い処分でございます。そういうことになって、その中間というのはないのですから、二番目に重い処罰だというふうに考えております。

○小宮委員
 四月二十五日付の日本歯科医師会発行の日歯公報によりますと、厚生省はこの問題について文書で決着をつけようとしておりましたので、歯科議員懇談会の人々並びに歯議懇のメンバー以外の有力議員の協力を得て会長が大臣とお会いをしたわけでございます、こう言っておるわけです。そこで私が推察するところ、この問題についてはかなりの政治的圧力が加わったのではないかというふうに考えますが、政務次官、いかがですか。

○山下(徳)政府委員
 そういうことはございません。

○小宮委員
 多分そう言うだろうということは考えておったわけです。厚生省はこの問題について全然知らなかったと言われておりますけれども、日本歯科医師会の四十八年度の会務報告、ここにありますよ。会務報告の中にもこのマル秘文書の配付は記載をされております。また、この中に厚生大臣に対する申し入れ書の写しもあるのです。そういうようなことで、厚生省は知らなかったということ自体がおかしな話で、これはここまで社会問題になると知っていても、知らぬ存ぜぬということで逃げていることだろうと思いますけれども、それにしても、またさらに歯科医師会の幹部は、マル秘文書を渡すことは一昨年の八月、事前に厚生省の北川保険局長にも通告してある、よって厚生省は知っていたはずである。さらに日本歯科医師会が三月八日厚生省に提出したマル秘文書発翰経緯報告書の中にもこのことが記されてあるわけです。厚生大臣あて申し入れ書がみんなずっとこの中にありますよ。だから、そういうような中で厚生省が知らなかったということ自体を全くわれわれは納得しないのです。

 また、具体的に申し上げますと、四十八年の八月、厚生省と日本歯科医師会との共催で開催された東海、近畿、北陸地区の社会保険指導者講習会のときもこの問題に触れられているわけです。また昨年八月三十日、北海道札幌で開催された社会保険指導者研修会でもこのことが言われておるわけです。だから厚生省が知らなかったということは、これはもうどうしてもわれわれ納得しないのです。しかし、それを言うても知らぬ存ぜぬでまた逃げるかもしれません。そういうことで時間をとりたくございませんけれども、それにしても、このマル秘通達を、いわゆるこの四十八年度の会務報告書を見落とした、これの中に記載されておる差額診療の問題を見落としたということで、そこにおられますけれども、医務局の局長、次長、課長がそれぞれ訓告、注意処分を受けているのです。これは医務局は、これだけ膨大な厚さでしょう、この中を見落としたということだけなんです。ところが実際の保険行政は保険局なんですよ。直接の指導監督権は保険局なんですよ。それが、片一方ではマル秘通達を見落としたというだけで局長、次長、課長が訓戒、注意処分を受ける、当の保険局は何らこの問題について――かも私に言わしめれば当然事前に知っておったはずだ。知っておったことは間違いないにもかかわらず、当の保険局は不問に付されて、注意処分が非常に厳重な処罰というのであれば、全然されてないのですね。だからこの問題についても、私は大臣がおれば大臣を呼びたいと思いましたけれども、大臣がおりませんので、当の北川保険局長に質問するわけにいきませんので政務次官に来てもらったわけですが、この問題についてはどうお考えですか。

○北川政府委員
 政務次官からお答えをいたします前に、当然知っておったはずだというお話がございましたので、その点について冒頭申し上げておきます。

 結論から申し上げますと、全く知りませんでした。それは、四十八年当時は御承知のように医療費改定がおくれまして、それから中医協が中断いたしておりまして、医科歯科を問わず相当医療費引き上げの要求が強かったときであります。その中で、歯科医師会の方におかれましては、診療報酬改定以外に歯科材料費の引き上げということも要求してこられました。後段の材料費の改定は八月一日でやりました。しかし、診療報酬の改定は中医協中断のためにずれ込んでおりました。そういう状態でございますから、私どもは一刻も早く診療報酬改定の場ができること、またその場において改定が行われること、そういうことを切望はいたしておりました。しかし、そうだからといって、いろいろ要望はありましたけれども、その要望の中で、いわゆるマル秘文書で出すというようなことはわれわれの方は全く知りませんでしたし、またその後もそういったことは全く存じておりません。それだけを私どもとして申し上げておきます。

○小宮委員
 この分厚いものの中にも、自由診療実施という字句があちらこちらに出てくるのですよ。大体そういうような会議には、あなたが出なくても、厚生省のだれか審議官あたりは出席しているはずですよ。そればかりではありません。ここでそこまで言いますと、昭和四十八年七月十九日に声明書が出ておりますね、日本歯科医師会の中原会長の名前で。それからさらには申し入れ書がありますね、これも昭和四十八年七月十九日、厚生大臣齋藤邦吉あてに。こんなことがはっきりここに出ておるのを厚生省が知らぬということになると、これはもう行政怠慢ですよ。時間がございませんから、この問題はまた別途の機会にやりますけれども、そういったことを私は当然局長も――どうせ知らぬ存ぜぬで答弁するであろうと思っておりましたけれども、やはりこういうことははっきり声明書なり申し入れ書に出ておるわけだから、その意味では厚生省は知らなかったとは言えないし、またそうでなくても、あらゆる会議には厚生省の審議官は出席しておるはずです、また現に出席しておりますから。それでは審議官と局長の間の連絡が悪かったのか知りませんが、いずれにしても、この問題は非常に大きな問題だと思います。そういうようなことから国民の疑惑というものが起きてきている。そして、こういった社会的に大きな問題になると、知らぬ存ぜぬの一点張りで逃げようとしている。だから、こういった問題について国民が納得するような方向でこの問題が解決されなければ、国民の疑惑は依然として残ると思いますよ。この問題は私も非常に責任というか、集中審議で私の質問が発端になって技工士会長がやめたり、歯科医師会が内紛を起こしたりしたのですから責任を感じますけれども、しかしながら、この問題についてはやはり大多数の国民が解明をしてもらいたいという声が非常に大きいわけですから、そういうような意味であえてこの問題を出したわけでございますが、政務次官、こればかりではございませんよ。たとえば歯科医師会と厚生省の保険局の癒着の問題もありますよ。この問題を出せば、二十分どころか一時間も二時間もかかりますので申し上げませんけれども、これは厚生省の名誉のためにも私は申し上げませんけれども、政務次官として、厚生省の歯科行政に対する今後の基本姿勢についてお聞きしたいと思うのです。

○山下(徳)政府委員
 残念ながら、当時の事情については私も熟知しておりませんけれども、ただいまの厚生省に対する御発言は、謙虚に私どもも反省しなければならないと考えております。ただその処分につきましては、これは大臣の権限で、今回の医務局長以下の処分につきましてば実は私も相談にあずかっておりません。いま保険局長自身が弁明申し上げましたようにやはり全く知らなかったというところで、あのような一方的と思われるかもしれませんが、そういう処分になったと思います。要するに、今後は歯科行政につきましてはもっと私どもも十分注意しながら、こういう知らなかったということがないように努めてまいりたいと考えております。

○葉梨委員長代理
 小宮君に申し上げますが、せっかくの機会でございますから、参考人に対して御質問をお願いいたします。

○小宮委員
 いや、参考人というよりは、もう時間が来ましたので、これで質問を終わります。

○葉梨委員長代理 次に、寺前巖君。

○寺前委員
 私はいま厚生省の答弁を聞いておって、驚くべきことを聞いたと思うのです。知らなかったという話である心こうなると、恐らく歯科医師会の代表の方にしても言い分があるだろうと思うのですね。

 そこで、私は最初に歯科医師会の代表の方にお聞きしたいと思うのです。明治以来、日本の歯科医療を育て支えてきた歯科開業医の皆さんにとって、今日の医療保険制度の問題についてはいろいろ意見をお持ちだと思うのです。先ほども話がありましたが、この間あなたたちの会長さんが厚生大臣から呼ばれて厳重注意をされたという話があった。一体何を厳重に注意されたのか。先ほどから聞いていたら、どうもマル秘という文書が出たことがいかぬ、そういうことなんでしょうか。文書がなければ、口頭であったらいいということであったのか。一体何に対して厳重に注意をされたのか、あるいは受けられたのか、まずお聞きしたいと思います。

○斉藤参考人
 マル秘文書が公に出た関係上、これは違法性があるのではないかということに対して、それはよくない、これから注意を厳重にしなさい、こういうふうに受け取ってまいった次第であります。

○寺前委員
 日歯公報の五月十五日号、おたくの方で出している新聞です。この二面に東京新聞の写しが載っているのです。この内容を見ると「厳重注意は形式だけ」と書いてあるのです。これじゃ何を怒られているのかさっぱりわからぬ。形式だけで中身はない。その中身を読んでみたら「厚生大臣が「国会で厳重な措置をとると答弁したので、そうしたと国会に報告せざるを得ない」っていうんで、ここでもみ合うのはやめて手を打ちましょうということになった。従って別にあやまりもしませんでしたよ。」と書いてある。これはあなた方一体何を注意されたのです。謝ることもないような注意だったのですか。どういうことだったのですか。

○斉藤参考人
 その内容につきましては、直接触れておりません。そのように話があったということだけでございます。私は直接その場に参加しておりませんので詳しく存じておりませんので、ひとつそのように御理解を願うほか仕方がないのではないかと思います。

○寺前委員
 山下政務次官、日歯公報にこうやって公然と書いてあるのです。「別にあやまりもしません」というのだ。あなたの方は第二番目の処置をやったというのだ。ここに代表としてお見えになった副会長は、私はおらぬさかい知らぬと言う。全然ピントが外れてしまった。これはどういうことになりますの。

○山下(徳)政府委員
 厳重注意という処分につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、それを歯科医師会の方でどうおとりになるか。しかしながら、少なくともこれをいまの新聞のように、かすり傷程度におとりになっているとすれば、これは私は大変な受け取り方の誤りであると思います。その中には、自由診療という通達は不法であるということははっきり私の方は申し上げております。その不法行為に対して、ここに一つの公益団体が不法不当な行為をしたということははっきり厚生省としては指摘をして、その会長を呼んで、これは不法不当行為である、さらにそのほかに、日本歯科医師会の各会員が秩序ある社会保険診療を行うよう指導しなさいということまで付言しているわけでございますから、私の方では、別にかすり傷ということではなくて、厳重に注意した、その言葉のとおりでありますから、そのように受け取ってもらいたいと思います。

○寺前委員
 相手がそう受け取っていないとした場合に、それではこれをどのようにされるつもりなのか、まず第一点、それをお聞きしたい。

 第二番目に、あなたのところが三月十九日に事務次官の名前で歯科医師会長に、差額徴収の取り扱いについての報告をしてもらいたいというのを出されました。この報告書、回答が四月七日付で来ております。この回答に基づいてやったのかどうか知りませんが、四月八日付でもって厳重注意がされているわけでしょう。ですから、厳重注意以前に回答が来ているわけです。この回答を読むと、明確に先ほどの質問と同じ内容が出てきます。すなわち「厚生省当局より認め難いという言葉がなかった状況の中で昭和四十八年八月二十七日付、日歯発第六〇六号「九月五日からの自由診療実施について」の文書が発翰されたことを御認識いただきたいと存じます。」ちゃんと出てくるわけです。そしてその中には「北川保険局長並びに稲葉歯科管理官を通じて」云々という言葉が再三にわたって出てきます。そのことは、同じくいま私が読み上げました五月十五日の日歯公報の「五月十四日の理事会で承認」の中においても、厚生省に対して事前に話し合ってきているという内容を指摘しております。

 また、先ほどもここで披露されておりましたが、四十八年七月十九日の厚生省に対する申し入れ書を読んだら、その申し入れ書の最後の方に「来る九月一日より患者の希望による自由診療を対話と了解のもとにおいて実施することを宣する」ということが書いてある。この申し入れどおりを文書にしたのが、いわゆるマル秘通達というものじゃないですか。とすると、これははっきりと文書にも出されている。また、四月七日付の歯科医師会の報告書の中にも出てくる。それにもかかわらず、知らなかったという言い分というのは、だれが考えても不思議だなと言わざるを得ないわけです。本当に厚生省はこの回答書を読んでこの措置をとられたのか。少なくとも、これをながめ見しただけでも保険局の名前が出てくる以上、内部の調査をしなければいかぬじゃないですか。内部として保険医に話し合いで自由診療をやりなさいという指導を行っていた疑いが出てくる文書が回答書として来た以上は、これに対して、けしからぬことを歯科医師会は言うということで、厚生省怒るのか怒らないのか。あるいはそれ以前にこういう文書が申し入れ書として来ておって、それはちゃんと保険局長に渡してあると言っているんだ。そうしたらその段階で、これは違法行為であって断じてできません、九月一日付でもってやるんだという宣告に対しては許しませんということを、なぜそのときに明らかにしなかったのか。文書で出た以上は口頭で言うだけじゃないでしょう。マル秘の通達が出ておったかどうかは知らないけれども、中身は知っておったと言われても仕方がないじゃありませんか。先ほどのここの質問では、医務局の監督不十分の指摘はあった、保険局に対する指摘はないが一体どうなんだ、それはこの文書を読んでおったらそうなりますよ、私だって。だから第二番目に政務次官に聞きたい。先ほど、知らないとここでみえを切った。この文書を読んでおったら知らないとは言えない。この問題についてどうしますか、お聞きしたいと思います。

○山下(徳)政府委員
 第一点の厳重注意は、厚生省が言っているようなふうに歯科医師会の方で受け取っていない、軽く受け取っておることに対してどうするのだという御質問でございますが、これについては先ほどからるる御説明申し上げましたように、不法不当行為をはっきり指摘して、厚生大臣が公益法人の歯科医師会の会長を呼んで厳重注意ということを申しました、この中身というのは重大だと私は受け取っています。しかしそれをそう受け取っていないからどうするかとおっしゃっても、私は厚生政務次官としてどうするということは申し上げられませんが、ひとつ大臣ともよく話し合ってまいりたいと思います。

 それから第二の問題につきましては、ここで本人がとにかく知らなかったということを、私がそれを知っていたと言うわけにもまいりませんし、文書のいろいろいま御説明がございました中身について、なおいまの御質問のほかにお答えすべき点があるならば、これは直接保険局長からお答えしたいと思います。

○寺前委員
 保険局長は知らなかったとここで言い切ったから私はあなたに聞いているんだ。あれ以上のことは私は聞かぬ、局長がそう言い切ったんだから。ところが言い切れない文書が公式にあなたのところに出ているじゃないか。この回答書を読み直してごらんなさい、また申し入れ書を見てごらんなさいと言うのだ。そうしたら、保険局長は知らないと言えない。保険局長が会ったときに、九月一日からこうすると書かれているのだから、書かれている以上、文書のマル秘は知らないかもしらないけれども、九月一日から実施するというその中身については知っておったということじゃないですか。中身について知っておったら、医務局長が責任を問われておるけれども、保険局長が知っておった問題についてはどうなるんだ。今日違法行為だと言い切っているのでしょう。言い切っている内容について、保険局長はそのときの行政措置の問題についてどうだったんだ、この疑問は残るじゃないですか。そうでしょう、政務次官。これは直ちに調査してこの委員会に報告をしますか。関係の局長は疑問を持たれてしまった以上は答弁に値しないんだから。いいですか、政務次官に第一点。よく聞いていなさい。疑いはいろいろな形でそこから出始めたんだよ。この文書の中にもあるけれども、緊急避難ということで措置することができるじゃないか、そのことを教えられたのは兵庫県でしたか、何かのときに云々ということが、この歯科医師会の議事録の中にも出てきます。それだけじゃないのです。もうこれは天下に回っているんじゃないでしょうか。歯科マル秘文書の内幕、歯科材料メーカー官僚と平日ゴルフ、厚生官僚脱税、こういう資料が関係方面やいろいろなところに送られていますよ。私は、この中身についていまここでとやかく言うことはできません。またここには個人の名前が出てきますから、名誉にもかかわる問題ですから、ここでは読み上げません。だけれども、かなり関係者の間の疑惑がこういう形で出ていることは事実ですよ。それだけに私は、この問題は公式文書を通じただけても疑問か出る内容だから――政務次官、よろしいか、局長以下の名前が出るんだから、厚生省として十分に対応する調査をやるのかやらないのか、ここではっきりしてもらいたい。これが第一点、これは政務次官に要求します。

 それから次に、斉藤参考人、あなたのところが二月二十六日に会員各位に送ったはがきがあります。このはがきを見ると、最後にこう書かれています。「当面次のような対策を急遽諸機関の決定を経て実施する考えであります。」と書いてある。その第一番目は「差額徴収を中止して自由診療に切りかえる。」この態度をあなたのところの会はとるんですか、どうですか。

 政務次官から答えてください。

○山下(徳)政府委員
 第一点の、保険局長が知っておったかどうかという問題、これは本人から答えた方が一番いいと思いますから、本人から答弁いたします。

 第二番目の、いまの何か不正があったという御指摘の点、これは中身は別として、そういう疑惑を招いただけでも大変に遺憾とするところでございますから、これはひとつまた私の方でも調査をして御報告申し上げたいと思います。

○北川政府委員
 知らなかったということは先ほど申し上げたとおりでございまして、時間もございませんから簡単につけ加えて申し上げておきます。

 いまのお話の中で、歯科医師会からの報告書の中にいろんな記載があります。しかしそれは、たまたま私なら私が歯科医師会の方が来られたときにこう言ったということが書いてありますけれども、私が別に代議員会に出席して発言したわけでもございませんし、そのまま正確な記述であるということは私は考えておりません。

 それから、この申し入れ書の件は私も知っております。その申し入れ書の件に関する限りはマル秘文書とは全く違った性格のものでございますので、申し入れについては少なくとも違法性はありません。そのものとマル秘文書とは、適法、違法という面から見ますと全く性格が違います。

 以上のことをつけ加えて申し上げます。

○斉藤参考人
 はがきのようでございますが、はがきの内容の第一の中で、補綴診療はと書いてあると思うのですが、それは会員の強い要望もありまして、一応機関に図らなければやれないけれども、そのような考えも一応持ちながら協議を図りたいと、しかしこれは今日の時点においてはそうたやすく移行できるものではないという含みを持っておったわけです。

(「そんなこと書いてない」と呼ぶ者あり)いや、それは協議をしなければいけない。補綴でこんなに問題を大きくしていてはしようがないという会員の声を反映した一つのあらわれだというふうに私はとっております。

○寺前委員
 ともかく歯科医師会、「差額徴収を中止して自由診療に切りかえる。」というのが一番であります。そうすると、自由診療にいくんだというんだったら保険医として差額徴収をやるということはやめるんだから保険医じゃなくなりますね。そうすると、皆保険のもとにおいて歯科医師会が全体の歯科のお医者さんに保険医をやめなさいという指導をやったのに等しいじゃありませんか。この態度を今後も続けるのかどうか、私はこれは非常に重大な問題だと思うのです。

 しかもその次に補綴の問題が出てきます。補綴を健康保険で外してしまう方向を打ち出してごらんなさい、歯医者さんは一体何のために存在するのかということを言われざるを得なくなるんじゃないでしょうか。抜くのが歯医者の仕事でしょう。抜くことは補綴とは関係ないでしょう。補綴という部分は国民が歯医者さんに対する期待の面ではやはり大きな位置じゃないでしょうか。その位置を健康保険から外してしまうということになったら、これは大変なことで、むしろこれの改善を診療報酬の方に求めていかなければならないんじゃないでしょうか。私はこれは考え方として重大だと思うのです。これについて厚生省の見解を聞きたいというのが第一点。

 それから第二番目に、こういうふうにして、先ほど大熊参考人からお話がありましたが、差額を導入することを通じて今日の問題に波及してしまった。この差額導入に一番の問題がある。この御指摘に対して厚生省はどう思うのか。

 第三番目に、老人とか子供さんとか、あるいはまた障害者とか、さらに言うならば生活保護者、これが歯医者さんへ行って診てもらえないという問題が、伊吹参考人じゃございませんけれども、やはり問題の大きな位置を占めていると思うのです。これに対して一体厚生省としてどうしようというのか。私は差額制度を設けている以上は、これらのところに対して特別なめんどうを見る措置をとらなかったならば、特別加算でもしなかったならば救われないという問題が現実に生まれているんじゃないだろうかと思うのです。一体どういうふうにしてこの解決を図ろうとおっしゃるのか。

 それだけお聞きして、もう時間のようでございますので、やめたいと思います。

○北川政府委員
 補綴を保険の給付外にする問題につきましては、いまお話しのとおり、私どもは補綴は歯の治療の上から見て必要不可欠な分野であるという意味でそういう考えは持っておりません。

 それから差額制度の導入は、御承知のとおり三十年からの問題でございますけれども、やはりいろいろな経緯があって歯科診療分野における特殊な性格に着目をした制度でございますから、その後もこの制度は改善もいたしております。したがって今後の問題は、先ほども申し上げましたけれども、差額制度というものを存置をしながらそれをどのように改善していくか、これが中医協の方に諮問いたしておりますから、中医協の場で十分な御審議と改善の方策を検討してもらう、こういうことでございます。

○滝沢政府委員
 小児あるいは生保の問題、老人問題というような、もちろん保険とは関連ございますけれども、医療確保の観点がございますので、私からお答えいたしたいと思うわけでございます。

 小児医療につきましては、一点には治療の面で非常にいろいろの意味の困難性がございますが、これをやはり保険で賄ってまいるということでございますれば、われわれ医療を供給する側から申しますならば、小児の医療の保険点数というものに対して、そのような小児医療独特の観点からの技術面あるいは取り扱いの面を含めた評価、時間を要すあるいは非常にめんどうであるというような面の評価を導入していただくことを検討していただきたいと思うわけでございます。

 そのほか、わが国の制度の中で生活保護制度等について歯科の医療機関が、これを指定されておりながらやらない、あるいはこれを積極的に指定を受けないような方向であるということについては、公益団体としての歯科医師会のあり方としてもまことに遺憾でございますから、このような問題に対する動きがむしろ積極的に出るような場面がございますれば、これは公益法人としての歯科医師会に対する厳重な指導をしてまいりたいというふうに考えております。

 なお小児の歯科については、大学の講座には必須のものとなっておりますし、五十一年以降の国家試験に小児歯科医療の科目を取り入れる等、これらに対応する対策も各般にわたってやってまいりたいというふうに考えております。

○寺前委員 終わります。

○大野委員長 次に、大橋敏雄君。

○大橋(敏)委員
 短い、限られた時間でございますので、答弁の方は要領よくお願いしたいと思います。  参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございました。歯の医療の問題が大きな社会問題になってもう久しいわけでございますけれども、国民のほとんどの者は現在の歯科医療について大変な不満、厳しい批判を持っていることは御承知のとおりでございます。そこでこれは大きな政治問題であるということから、きょうのこうした参考人招致の委員会になったわけでございます。参考人の四人の方々はそれぞれ利害が相反しているといいますか、そういう立場の方でありますけれども、四人とも共通した御意見は、現在の歯科医療に対するこの混乱の大もとは、政府、厚生省のいわゆる低診療報酬にある、また歯科医療の行政指導の怠慢にあるのだということが述べられたわけでございますが、私もこれが基本的な問題だろうと思いますので、まず最初に厚生省の政務次官にそれを素直に認めるかどうか、簡単で結構です。

○北川政府委員
 歯科関連の医療費が非常に低いというお話でございますけれども、およそ診療報酬は、やはり国民の経済力というものを勘案しながら、日進月歩の医学の進歩を取り入れる、あるいはまた社会経済の変動に対応してという形でやっていくわけでございますので、そういう中で私どもといたしましては、少なくとも現在までそういう条件に見合うような診療報酬の改定をやってまいったわけでございます。なお、今後も引き続いてそういう見地から改定を進めたい、また内容についても中医協等の意見を聞きながら十分合理化を図ってまいりたい、このように考えております。

○大橋(敏)委員
 まずこのことを素直に厚生省が認識してそれを認めて、それからでないとこの歯科医療の混乱あるいは問題点は根本的な解決はないということであります。

 そこで斉藤参考人にお尋ねいたしますが、政府の低診療報酬のもとでは医療経営は困難である、これは私もその点数表を見ましてなるほどという感じを受けるわけでございますが、その医療経営が困難であるという問題を、つまり先ほどの言葉ではないけれども脱保険あるいは自由診療という方向に流れていった。歯科医師の立場から見れば、要するに保険診療の改善、その是正ということの努力をむしろ意図的に抑えて、その脱保険あるいは自由診療の方向に走っていった、こう私は見るわけでございますし、またこれが問題になってきているわけです。先ほどのお話では、脱保険という言葉は計画診療という言葉に変えたということでございますが、内容は同じだと私は思いますが、今後ともこのような考えを踏襲されるのかどうか。また国民のほとんどはいわゆる保険による診療、保険ですべてが一応できるというのを希望いたしているわけでございますが、その点についての歯科医師会の考え方を聞かしていただきたいと思います。

○斉藤参考人
 私たちも国民とともに歩みたいということは同じことでございます。過去何回、現在に至っても、中医協に諮られましても、私たちは考えているものに何回となく努力しながらいけない、しかもこの中だけでは大変だということで、いま世界の保険の中で補綴の問題を調べてみたところが、ソビエトでもイギリスでも西ドイツでも、補綴だけは別にしないとやっていけないというようなことを考えますと、しかも歯科医師会ではいま三万五千の会員のアンケートをとっておりますが、補綴は別に考えろという人は七八%になっております。この辺のことについて厚生省とも十分に考え合わせなければならないというふうに思うわけです。

○大橋(敏)委員
 大熊参考人にお尋ねしますが、いま歯科医師会の代表の方は、補綴の部分についてむしろ保険から外せという意見がある、これは慎重に検討していくということがありましたけれども、われわれ国民の立場から考えた場合は、あくまでも保険でできる治療というものを希望しているし、そうあってほしいと考えるわけでございますが、先生の立場からの御見解を伺いたいと思います。

○大熊参考人
 簡単に申し上げますと、私はこう考えます。

 腕のいい、しかも良心的な歯科医であったならば、そういうような莫大な差額徴収がなくても、言葉をかえますと安い材料でも私は十分な補綴物はできるというふうに考えます。それで先生の御指摘のように、もし仮に補綴だけが保険の枠外に置かれるようなことになりましたら、現にやはり進行しておりますが、この補綴において差額徴収が認められている、現実は自由診療でございますけれども、この面からわれわれが戦後三十年間営々と――これは国会の先生方も含めてでございますが、営々と築き上げてきた社会保障というものはこの一角から崩れていく可能性が非常に大きい、その点を私は懸念いたします。

○大橋(敏)委員
 私もいまの参考人のお気持ちと同じ意見を持っております。あくまでも歯の治療も保険で済む、一般的な治療はすべて保険で済むというその基本的な考えに立っていただきたい。そうしてぜいたくなものは別です。これは自由診療で結構でしょう。そこのところを十分わきまえた上での今後の考え方を決めていただきたい、医師会の方には強く要求しておきます。

 非常に時間に制限がありますので、次に移らさせていただきますが、先ほど歯科技工士会の代表の方の参考意見によりますと、今後の歯科医療の適正化のかぎは技工士の位置づけと、それから保険制度の中における技工料の明確化にあるのではないか、こういう御意見が出ていたようでございますが、私も聞いていまして、なるほど問題点というものはこういうところにもあったのかとつくづくと感じた次第でございます。建築のたとえにたとえますと、設計図を示すのが歯科医師の立場、そしてそれを建築工事にしていくのが技工士の立場になるであろう。ということは、おのずとその分野というものはけじめがつけられてしかるべきである。しかし先ほどの佐野参考人のお話では、歯科医師の医療経済の中にもう抱き込まれてしまっていて、つまり技工士の内容というものは、いわゆる生殺与奪というものは歯科医師に握られてしまって、がんじがらめに縛られているのだというような感じを受けたのでございますが、私は先ほどおっしゃったように、やはりこれは技工料というものをこの機会にはっきりと明確化していく必要があろうと思います。これについての見解を厚生省と大熊先生に聞いておきたいと思います。

○北川政府委員
 技工料の別建てという御意見だと思いますけれども、現在の点数表は御承知のとおり、医科の場合も歯科の場合も、医師あるいは歯科医師がみずからもろもろの診療行為等を行うことを前提にしているのでございます。

 技工の面で申し上げますと、技工の委託の態様もいろいろばらつきがあるわけでございます。みずからやっている場合もあれば、全部委託している場合もあれば、あるいは部分的に出している場合もあれば、相当態様は多岐にわたっております。そういう意味合いで、私どもは、現在の段階においてこの部分についてだけ直ちに現在の診療報酬点数表の体系からいわゆる委託技工料というふうなものを抜き出して設定するという考えは持っておりません。

 その理由は、いまも申し上げましたが、やはり診療報酬点数表の全体の整合性ということもございますし、それ以外に、医科の部面におきましても検査でございますとかいろいろな問題があるわけでございます。そういうわけでございますから、この面についていますぐにと言われますとなかなかこれは困難な問題であって、適切ではないのじゃないか、このように考えております。

○大熊参考人
 いまの技工士が受け取っている技工料というのは、私などの感じで受けとめますと、全く歯科医師からおぼしめしでちょうだいしているというような状況ではないかと思います。それから、これは技工士の方に聞いてみますと、やはり注文が来るためには多少のリベートとか貢ぎ物、そういうものを要求されているという傾向にあります。

 こういうようなことですと、大体技工士に優秀なる人材が集まっていかなくなるのではないか。たとえばそのほかのもう一つの問題としまして、いまのように技工士の養成所、学校というものが、学校教育法によらない養成所になっております。こういうようなもの、それからそういう報酬の面、このために、せっかくいまの医療というものがチーム医療の時代になっているのにパラメディカル領域の、特に補綴の一番中心になる技工士に優秀な人材が集まらなくなってくる、これを一番恐れるわけであります。

○大橋(敏)委員
 いまの大熊参考人の意見を十分拝聴した上で、厚生省は今後の技工科についての問題の取り組みの参考にしてもらいたい、強く要求しておきます。これはやはりきょうの技工士会の代表の方の切実なる訴えそのものだと思いますし、その解決がそのまま今日の歯科医療の是正、改善に直ちにつながっていく問題であろう、私はこのように考えます。

 それから、いまの参考人の御答弁の中には、先ほどの技工士会の方がおっしゃった歯科技工大学の設置の運動については恐らく賛成の考えのように承ったわけでございますけれども、これも大変な運動が起きているのですが、厚生省も今日まで余り積極的な返事をしておりませんし、この点についてもどういう考えであるのか、これは斉藤参考人と大熊参考人にお尋ねします。簡単で結構です。

○斉藤参考人
 技工士大学の問題については、技工士の質的向上というものに対して心から話し合いながら、ここに佐野君がおりますが、私と直接に話していることが数回ございまして、決して歯科医師会がこれを阻止したりすることはございません。もちろん技術の向上については賛成でありますし、しかもそういうことが医療内容の向上につながる。ただしがあるのですが、これが歯科領域の実際の診療の中に食い込まないようにしてくれ、こういうことは条件でつけております。

○大熊参考人
 私はやはり技工士の大学は必要だと思います。それは先ほども申し上げましたように格づけ、資格、そういうようなものがあることが、まずパラメディカル領域あるいは病院の管理事務部門に優秀なる人材を集める一番大事な方途になるものだと思いますので、これは私は賛成いたします。

○大橋(敏)委員
 先ほどの佐野参考人のお話の中に、技工士の免許制についても、県知事免許から大臣免許に切りかえてほしいというきわめて強い要求がなされていたようでありますけれども、確かに歯科技工法の制定当時は、養成所に入るいわゆる入学資格というものは中学卒程度であったと思うのでございます。したがって、これは県知事免許といいますか、これが四十五年の法改正で高卒程度ということに改められているはずでございますので、私は、佐野参考人がおっしゃっていたように、これは大臣免許に切りかえるべきだと思うのでありますが、この点について厚生省の見解を聞いておきたいと思います。

○山下(徳)政府委員
 いま御指摘のとおり、現在は知事の免許になっておりますけれども、一たん取得した以上は全国共通であることも御承知のとおりでございます。

 そこで、いま御指摘の点も今後考慮する一つの問題と存じますけれども、現在この知事免許には、歯科衛生士、診療エックス線技師等、医療従事者の中でもいろいろ知事の免許に属するものがございますので、それらのものとの関連等も考慮しながら、今後検討を加えていきたいと思います。

○大橋(敏)委員
 いまおっしゃったような内容は全部知事から大臣に切りかわっておりますから、当然こちらも切りかえるべきだ、こういうことを言っているわけです。

 そこで、佐野参考人にお尋ねしますが、先ほどの技工士大学の問題で、斉藤参考人は、職域拡大がなければ結構なんだ、そういうことについて反対しているんじゃない、こういう話であったのだけれども、佐野参考人は、この大学のいわゆる改革の問題について職域拡大をねらっているのかどうか、その点についてお尋ねします。

○佐野参考人
 私どもはただ純粋に、ひたむきに自分みずからの技術を高め、それをもって国民の歯科医療に貢献をしたいのだ、業務の拡張とか何かというようなことは全く意図いたしておりません。

○大橋(敏)委員
 先ほど歯科医療の実態は医師不足である、大変な患者がいるために診療拒否等が起こっている、あるいは子供は診ない、いろいろな問題があるのですけれども、私もこれは大きな問題だと思うのですね。医者不足も重要な問題でありますけれども、大人も子供もいまは同じ点数内容ですね。そうなってくると、手のかかる子供、あるいは特にそうした手をとられる、煩わしい関係者についてはなるたけ避けて手っ取り早い患者を診ていく、こういうことになろうかと思うのでございますが、抜本的な改善が行われる段階においては当然これは改められると思いますけれども、子供と大人の点数が同じであることについて私は疑問を持っておりますけれども、これについての見解を斉藤参考人と厚生省にお尋ねをいたします。

○斉藤参考人
 御承知と思います。子供さんの取り扱いにはてこずっている人もたくさんいると思いますが、その前提には子供を哀れむという愛情が必ず医療担当者には生まれております。しかし、たくさんの時間がかかってたった十五点というような考えも少しはわいてくるんじゃないか。そのようなことで、ぜひ改善策をひとつ願わなければならない、診療意欲を低下させないようにしていただきたいと私は思っております。

○北川政府委員
 子供さんの関係については、御承知と思いますけれども、乳幼児加算という仕組みが現在すでにあるわけであります。しかし、これだけでもって十分であるかどうか、そういった問題はやはり医療費あるいはまた診療報酬の仕組みを決める中医協で議論すべき問題でありますから、その辺の意見を十分聞いた上で、今後検討を続けたいと思っております。

○大橋(敏)委員 これは市販されている本なんですけれども、「虫歯の告発」というのがあるのです。これは大阪府の歯科医師会公衆衛生理事という立場であった方が書かれた本なんですけれども、これは「歯科医師による内部告発」なんだという立場で、「なぜだろう?診療拒否された。莫大な差額料金を要求された。子どもの虫歯を診てくれなかった。痛くてしかたがないのに診てくれない――患者不在の計画診療。」というのが見出しで出ているわけです。私はこれをずっと読んでみましたら本当に大変なものだと、きょうは時間がないので一々中身を紹介するわけにはいきませんけれども、これは大いに今後の改善のための参考意見になるなという気がしてならないのであります。この中にもいまのそういう問題もちゃんと載っておりますので、むしろ勉強していただきたい、こう思います。

 それから、現在、歯科技工士の技工法によれば、診療補助行為というものは禁止されているわけでございますが、いま医者不足、それから患者が多い、いわゆる需給のアンバランスを解消する意味においては、技工士もある程度歯の型をとったり何かするようないわゆる診療の補助行為を許すべきではないかという意見がかなり出てきているわけでございますが、これについての意見を、大熊参考人がいいと思いますし、また厚生省の立場をお尋ねしたいと思います。

○大熊参考人
 先生がおっしゃいましたように、最初の型どり、それから製作、それから型合わせをよく何回かやりますが、こういうような場合に、患者の立場から申しますと、歯科医師だけより、むしろそういう方が立ち会ってそういうような行為をしてもらった方が一貫作業というような感じで、信頼感も生まれますし、それから歯科医師の労働時間の軽減というようなことにもつながりますので、私はそれはいいことだというふうに考えます。

○滝沢政府委員
 歯科医師の診療行為への拡大問題、先ほどの観点からの議論では、技工士会もその方向は考えていない。ただ、先生のただいまの御質問は、歯科医療のこのような状態のときに、もっと、また大熊参考人の御意見のように、直接それにタッチすることによるところの医療のむしろ適正な実施の上で考えたらどうかという御意見でございますが、この点につきましては、ただいま保険局の方からも、技工士の業態の多様にわたっていることも含まれておりまして、現状のような状態の中で、直ちに診療行為の補助業務として技工士の業務の拡大を、限定した範囲でも考えることについては、よほど慎重な配慮を必要とすると思いますので、この点については各般の医療関係技術者の中の問題でもあるわけでございますので、この点についてはきわめて慎重な考慮を必要とするというふうな段階でお答えしておきます。

○大橋(敏)委員
 もちろん歯科医師の指導のもとにという前提条件であることは私も同じことでございますが、やはりそうした需給バランスの解消と、いわゆる歯科医師の労働条件を改善していく意味においてもこれは有効なことであろうと思うから申し上げた次第であります。  それから、最後にあと二点お尋ねしたいわけでございますが、これは何も歯科医師だけじゃないのですが、三時間待たせられて三分診療なんと言われている今日でございますが、諸外国においては助診士の制度というものが真剣に考えられ採用されつつあるということを聞くわけでございますが、厚生省の考え、それを聞かしていただきたいということと、それから佐野参考人にお尋ねしたいことは、最近医療技術者団体が結集しまして何か行事をなされたと聞いておるわけでございますが、その規模と目的について説明を願いたいと思います。最初に厚生省の方から。

○滝沢政府委員
 先生の助診士という言葉は初めて聞くわけですが、概念はよくわかります。この考え方は諸外国におきましても、医療のチーム的な、医療というものは医師だけではいよいよ困難になってまいるということから、いわゆるパラメディカルという言葉すらむしろ批判を受けておりまして、一つのチームとしての医療技術者でやっていく、そのときに、いまの団体との関連も出てくると思いますが、したがって、この医療従事者の全体の素質と技術内容を高める必要がある、こういう意味で、現在ございますところの各般の医療従事者の身分制度について向上を図れという趣旨はわかりますけれども、この助診士という概念そのものが、あるいは沖縄にございます医介輔のような、かなり医師に近いものを想定するならば、わが国の歴史的な観点から見ましても、また将来の観点から見ましてもこの点はきわめて困難だと思いますし、全体に助診士という概念、外国にある概念を受け入れて全体のレベルを高める方向で考えろということは、まさにその方向が今後の重要な課題であるというふうに思っております。

○佐野参考人
 いま大橋先生の御指摘のように、私ども昨年の十一月に医療関係の技術者が、看護婦を初め九団体が結集をいたしまして現在協議会を設立をいたしました。その目的といたしましては、先ほどからいろいろお話が出ておりますとおり、チーム医僚ということが叫ばれながら、現在の医療の実態からいきますと、いわゆるわれわれ医療技術者をアシスタントというような位置づけにされております。これをやはりパートナーというような位置づけの中でわれわれもいまの医療制度の改革をし、また真に国民のための医療の確立のために声を上げていきたいということで設立をいたしました。総数といたしますと二十五、六万になるだろうというように予定されております。

○大橋(敏)委員 終わります。

○大野委員長 以上で参考人の方々に対する質疑は終わりました。
 参考人の方々には貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 この際、休憩いたします。
 本会議散会後、直ちに再開することといたします。
    午後一時五分休憩


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Last-modified: 2008-03-29 (土) 14:01:34 (3374d)