Top / 歯科診療と特定療養費制度についての国会質疑




安い診療報酬、特定療養費制度、自由診療と保険診療との線引き、窓口徴収事務、医療費の適正化などについて質疑がなされています。


第101回国会 社会労働委員会 第19号
昭和五十九年六月二十八日(木曜日)



第101回国会 社会労働委員会 第19号
昭和五十九年六月二十八日(木曜日)

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/101/0200/10106280200019a.html

(略)

○網岡委員

 ぜひやってください。次に、今度は医療問題の中でもう一つのあれがあるのでございますが、一つは、薬に重点が置かれているために診療報酬が実態に合わない安い評価になっている。私は、これも日本の医療体制の大きな問題の一つだと思うのでございます。

 具体的なことを申し上げますが、例えば入院料は三千百円です。これは非常に安いですね。例えば国民宿舎の宿泊料、四千八百円です。これと比較をいたしますと、三食で看護婦さんがついて、そして三千百円というのはちょっと安過ぎはしないかということを感じます。

 それから二つ目は往診料、これは昼間二千円、夜間四千円、JAFのロードサービスは昼間三千円で夜四千円、こういうことでございますから、これから比較をいたしましてもこれは問題にならぬ、非常に安い診療報酬じゃないかと思います。

 それから次に、全身マッサージですが、これは三百円ということになっております。普通のマッサージでいきますとこれは安いと思うのですが、普通は二千五百円から三千五百円ということでございますから、全身マッサージで三百円というのは、医療とはいえいかにも安いのではないかと思います。どうでしょうか。

 それから、初診料が千三百五十円、今は映画を見れば二千円です。ということですからこれまた安いのじゃないか。

 それから、胃の洗浄は三十分間かかるそうでございますが、それで千百円、こういうことでございます。車の洗車はわずか三分で二千五百円、こういうことでございますから、その実態からいって、これは局長、大変安過ぎはしないかという気がするわけでございます。

 それから、今日の医療がいかに薬に重点を置いているかということの端的なあらわれですけれども、例えば傷をして、傷を手当てをしたと仮定をいたしますと、お医者さんの話を聞きますと、傷口の手当てをして包帯を巻くと処置料百二十円、診察料三百八十円、締めて五百円。そして二つ目のケースは、手当てをして塗り薬を渡すと、これは処置料百二十円、診察料三百八十円、そして若干の調剤料が加わって五百七十円。それから傷口を見るだけですと、不思議な話ですが六百五十円もらえる。これは内科加算ということで、加算がついてそういうことになるようでございます。それから、薬を渡すと今度は内科加算された上に調剤料が加わって七百二十円ということになって、薬が伴った方がやはり高い、こういうことになりまして、実際の診療報酬というものが、先ほど例を挙げたように非常に安いということは問題ではないかというふうに思います。

 六月十五日に、厚生省が、技術診療についてこれは見直す、予防とか指導料について技術料を加味する、こういうことを考えられているようでございますが、歯科医の方のことも言わないとちょっと片手落ちになるといけませんので言っておきますが、金銀パラジウム合金の場合は、これはやはり物に傾いているということでございますが、大臣の御専門ですけれども、技術料がだんだんだんだん五面に包んでいくほど安くなるということなどから見まして、大きな問題があるのではないかと私は思うのでございますが、この点についてどういう処置を今後されようとしているのかという点について、御答弁をいただきましょう。

○吉村政府委員

 確かに先生御指摘になりましたような点、個々の技術料をとりますと非常に安い、こういうことに相なって、これが現在の診療報酬についての一つの批判される点でございます。

 しかし、私どもが非常に悩みますところは、全体としての医療費というものが非常に高い。確かに医師の収入から考えましても、また所得から申しましても、これはかなり高い水準にございます。国際的に言っても高い水準にある。しかし、今申されましたように、個々の初診料あるいは往診料あるいは歯科の技術の点数、それから入院料等比べますと、確かに日本の場合が低い。そこで、その間にどういうつながりがあるかと聞きますと、個々の点数と全体の医師の収入、あるいは医療機関の収入の高さ、個々の診療行為の評価の低さとの間にどういうつながりがあるのかということを考えますと、それはやはり非常に量をたくさんこなすということが一つと、先ほどから御指摘になっております薬づけ医療みたいなところで、技術料の不足というものをカバーをしておる、この二つではないか、私どもはそう思うわけでございまして、少なくとも今後、現在の点数表を直していく場合には、薬を使えば総体の収入が上がる、そして余り親切な診療をしなくても、患者の数さえこなせば収入が上がる、こういうようなことは少なくとも是正をしていくべきだ、こういうことで、そういう観点から技術料の重視を志向した診療報酬の改正というものを考えていきたい、私どもはそう思っておりますし、現在の中医協におきましてもそういうことを頭に描きながら審議が行われておる状況でございます。私どもそういう方向でひとつ努力をしてみたい、こう思っております。

(略)

○大橋委員 それでは、時間の関係で次に移ります。

 今から申し上げる問題は、多少技術的な問題も入りますので必ずしも大臣でなくても結構です。

 高度先端医療に関しまして、療養費支給制度の改正が今度図られようとしているわけですけれども、現在は、診療の中に健康保険の適用になっていない部分が含まれますと原則として診療費全体が自己負担となるわけですね。このような状態の中で、最先端の高度医療技術等が開発されましても、その医療が保険の適用にならない限りは診療費全体が全額自己負担ということになるわけでございまして、医療費が高額になり過ぎるということから経済的に恵まれた人たちのみが受けられるという受療に制限がかかるという傾向になる、こういう点を、厚生省も、少しでも解消したいということで出されてきた今回の高度先端医療にかかわる療養費支給制度の改正であろうかと思うわけであります。一見、現行制度の隘路をカバーする合理的、漸進的改善策に見えるわけでございますが、国民の中には大変疑問を抱いている者が少なくございません。

 と申しますのは、従来例外的に認められてまいりました入院などの保険外負担、これがもたらしたさまざまな弊害を経験した多くの国民は、今回の措置は、従来の保険外負担の弊害をさらに助長し、自由診療、差額徴収の拡大となるんではないか、健康保険制度の目的を大きく変質させていくのみならず、国民や患者の財力の差によって医療機会の格差を生ずることにならないか、こういう不安を抱いているわけでございますが、まずそれに対する御見解を承っておきたいと思います。

○吉村政府委員

 私ども、今回提案を申し上げております特定療養費制度は、先生御指摘のように新しい医療技術の出現、これは今後相当出てくると思われるわけでありますが、そういう新しい高度医療とそれから保険診療との調和を図ろう、こういうことでございまして、これをやることによって、現在保険の中に取り入れられております必要にして適正な医療というものの幅を縮小していこうというものではございません。私どもは今後とも、保険診療としては必要にして適正な医療というものを保険の中に取り入れていく、そして国民に必要な医療は必ず保険で給付をする、こういう基本的な扱いは従来と同じであります。

 ただし、今までは、先生御指摘のように、何かちょっと保険で認められないものが入っておると全額自費になる。そこのところを全額自費にしないで、保険診療で見られる部分は保険診療で見る。そして保険診療に取り入れられていない部分だけを自己負担にしようということでございますので、今よりはるかに前進をするんではないか、こう思っております。

○大橋委員

 今の説明を聞いてまいりますと、高度先端医療そのものはこれは保険がきかない状態にあるけれども、そのほかの部分はできるだけ保険がきくようにするんだ、厚生省の資料を見れば「基礎部分」という言葉が出ているんですけれども、今言いましたように、一口に言えば先端医療技術そのものはだめです、しかしほかは全部保険がきくんだ、こういうふうに理解してよろしいんですか。

○吉村政府委員

 そのとおりでございます。

 それで、具体的に申し上げますと、今回例えばがんの場合の温熱療法みたいなものを高度先端技術として指定しよう、こう考えておるんですが、その温熱療法をやる場合に必要なものとしては診察料、レントゲン診断、それから検査、処置、手術、入院、それから投薬等が必要で、その上に温熱療法をやる。従来はその費用が全部保険外自己負担になっておったんですが、今回の改正から診察料、レントゲン診断、検査、処置、手術、入院料、薬剤料、これは保険で給付をいたします。ただ、がんの温熱療法の部分だけは自己負担になります。したがって国民のためになる、私はこう思います。

○大橋委員

 高度先端医療の承認基準、あるいは差額徴収については中医協の意見を聞いて決定するということになっているようでございますが、「高度医療特別サービス」ということが表現されているんですけれども、具体的にはこれはどんなものを指しているんだろうか。実は先般、私は歯医者のお医者さんとしばらく懇談をしたわけですが、ああいう専門家の方でさえも大変な疑問を抱いておられました。そういうことで、今から何点か歯医者さんの疑問として私は聞きますので、そのつもりで答えていただきたいと思います。

 その第一は、歯科医療に関しまして、高度先端医療というものをどのように位置づけられようとしているのかという問題でございます。それから、歯科医療技術は日進月歩である、一般的な施療、診療そのものが高度な医療技術と思っている。したがって、今回厚生省が措置しようとする高度先端医療というものは一体どういうものを指しているんだろうか、そういう疑問でございました。どうでしょうか。

○吉村政府委員

 歯科の場合で申し上げますと、例えばレーザー光線による 蝕の治療だとかセラミック等でできております人工歯根、そういうものを頭の中に描いております。具体的に何と何を先端技術にするか、これは私どもやはり中医協でもって具体的に決めていこうと思いますが、私どもの頭の中に今あるのはそういうものでございます。

○大橋委員

 私は素人なものだから、歯医者さんとお話ししていてもわからぬことだらけだったわけでございますけれども、歯医者さんが言わんとするのは、我々が今やっている診療というものは非常に高度な技術を要しておるんですよ。また日進月歩、次から次と新しいそういう問題が出てきております。そういうことになれば、高度先端医療というものはまさに歯科医師界の医療ではないだろうか、そういうふうに我々は自負しているんだけれども、今回の厚生省が示そうとしている問題を基礎に置けば、現在自分らがやっている高度医療は言うならば低度医療ということになるんでしょうかね、こういう話があったんです。私はもう返事に困りましてね。これはどういうことになるんですか。

○吉村政府委員

 私も余り説得力のある説明ができるかどうか自信がないのでありますが、現在の保健の歯科医師というのが、先生が今おっしゃいましたように、非常に低い部分、本当に現在行われておる歯科医療のうちの一部しか保険に取り入れてないのだ、そうは思いません。ただ、歯科の場合には、材料を貴金属を使う部分がかなりございまして、貴金属を使うような分野につきましては保険給付外にしている部分がございます。これは、私は、一種の保険における歯科診療でございますので、そういうぜいたくなもの、あるいは審美性、美しくあることを目的とするような診療、そういうものはやはり保険診療から除いてもいいんではないか。そこら辺は少し医科の場合と違うところはあろうかと思いますが、現在の保険に取り入れられている医療が、近代的な歯科医療というものを全く排除して、前近代的な医療だというようには思いません。

○大橋委員

 それでは、特定の医療機関は都道府県の承認だ、こういうふうになっていると思うんですけれども、この承認の基準設定というものは一体どういうものなんだろうか、全然わかりませんねという疑問が出ておりました。その点と、承認とは、申請すれば即認定というふうに理解していいのかという問題でございました。その点についてお願いします。

○吉村政府委員

 特定承認医療機関の承認要件につきましては、これは中医協で御審議を願いたいと思っておりますが、私どもは、施設それから陣容、あるいは技術についての実績等の要件を具体的に決めまして、承認基準をつくりたいと思っております。そして申請をして、その条件に該当するならば承認をいたします。

○大橋委員

 要するに、今さっき話しましたように、歯科医の皆さんは大変な高度な医療をやっているんだ。それにまたさらに高度先端技術医療かんという言葉が出てきた。どこでどういうふうに区切られるのかなというのが、やはり正直な疑問でございました。これは専門的な問題ですから私がここで幾ら論議しても結論に至らないと思いますけれども、そういう医者の疑問点だけはしっかり知っておっていただきたいと思います。

 そこで、先ほどの申請すればそのまま認定されるというふうに理解していいのかという点ですけれども、これをお願いします。

○吉村政府委員

 もちろん審査をいたしまして、承認の要件に合致すればこれは承認いたします。

○大橋委員

 ということですから、その承認の認定基準というものをやはり早い時期にしっかり公表していただきたいということです。

 それから、とにかく国民は自由に医療機関を選ぶ権利があるのだ、特定されるということは選択の自由を阻害して医療機関格差を生じていく原因になるんではないかな、こういうふうな不安が大変に出ておりましたが、この点についていかがですか。

○吉村政府委員

 私は、医療機関を選択する自由というのは全く変わらないと思います。従来でも差額徴収というものがございましたし、また、従来は何か保険外の診療をやっておれば全体が実診療になっておったわけでありまして、そういう時代でも患者の医療機関を選ぶ自由というものは確保されておったわけでございますので、今回の改正によってその自由が制限されるとか縮小されるとかということは全くないというように思います。

○大橋委員

 そこで、お医者さんの疑問は、今回言われている特定医療機関の対象の中に歯科診療も含まれるのだろうか、これは単純な質問でございましたけれども、私は、それは含まれるのじゃないですかと言ってしまったわけですよ。そこで医者が言われたことは、商科医の大多数は民間の診療所です、それが特定されるということになると、その地域に幾らもある歯科医の中に格差が出てくるような感じになる、これは地域医療機関の存立を混乱させることになるのじゃないか、また健全な推進を阻むことになるのじゃないか、こういうお話しがあったのですけれども、これはどのように理解したらいいですか。

○吉村政府委員

 承認の仕方にもよるのかもわかりませんが、私は、今回の高度先端医療の方は、例えば大学病院だとかあるいはそれに近いような方の病院というものが指定されるようになるだろう。それからもう一つ、特定のサービスあるいは特定の金属の使用等についての差額徴収というのは、これはもう全医療機関がほとんどできる、こういうことになるわけでありますので、歯科診療の場合にある特定の地域において非常に格差ができて、A医療機関は特定承認機関、B医療機関はそうではないというのがある町にたくさんできる、そういうようなことは余り予想をしておりません。高度先端技術の方の承認医療機関は極めて少数になるのではないか、こういうように思います。それから、金属の差額徴収をするとかあるいは特別の治療材料みたいなものについての差額徴収をする医療機関というのは、これは地域においてもたくさん生ずる、こういうことになるのだと思います。

○大橋委員

 もう一つ非常に重要な疑問だと思うのですけれども、承認基準あるいは差額徴収等、中医協の意見を聞いてお決めになるということでございますが、これは歯科医療における材料差額に相当するのではないか、こういうふうに言っておりました。

 そこで聞きたい問題点というのは、自由診療にかかわる部分まで中医協が審議をするということになると思うわけでございますが、要するにそういうことになれば、従来の中医協のあり方を見直すということになるのですかねと、こういうことなんですよ。というのは、中医協というものは医療保険にかかわる部分を審議するものでありまして、自粛診療部分についてまで踏み込むということはまさに越権的な審議ではないか、今度は中医協のあり方が変わるのですかねという重要な疑問が出ておりました。この点はどうですか。

○吉村政府委員

 中医協の所掌事務を追加しておるという意味におきましては、従来の中医協よりも権限が拡大をされておる、これは事実でございます。

 ただ、保険給付といい、自由診療、保険外診療の部分給付といい、裏腹の関係になるわけですね。同じ医療でここまでは保険医療だ、ここからは保険給付外だというわけですから、そこは裏腹の関係になるわけでありますので、中医協でそこは議論をしていただいても一向に差し支えないのではないか。それから、現に差額ベッドあるいは金属の差額徴収等については全く保険給付とは関係ない部分ですが、これは現実に中医協でもっていろいろな議論が出て、中医協の議論を通じて私どもは対処をしておるわけでございまして、そういう意味からいいましても、別に唐突に中医協の権限を広げ、そして本来中医協で扱うべきものでないものを中医協で扱ってもらう、こういうことにはならないというように考えております。

○大橋委員

 ということは、結局自由診療と保険診療との線引きをやるということに理解していいのですね。

 それじゃ次に移りますが、歯科医療に関しまして最後になるのですけれども、厚生省は、保険診療にかかわる給付につきましては通常必要とする

診療という指導をとってきておるおけてございますけれども、歯科医療の医学医術の進歩というものは大変目覚ましいものだ、通常必要と思われる診療がかなりあるわけだけれども、保険に導入されてないというのがたくさんある。普通の医科といいますか、それと歯科とはそういう意味でも大変な開きがあるのだ。一般の医科の方は保険給付が相当に進んでいる。歯科の方は保険給付が非常に限られておる。まさに、今回の高度先端医療技術云々というような制度は、医科と歯科の格差をいよいよ開いていくようにしていくんじゃないか、こういう疑問でございましたが、いかがですか。

○吉村政府委員

 たびたび申し上げましたように、保険診療と保険外診療との調整を図ろうといつ制度でございますので、今おっしゃられるように医科の場合はその両者の開きが少ないけれども、歯科の場合はその両者の差が広いから、これを認めればますます歯科においては保険診療部分というのが狭くなっていくんではないかという危惧は私は当たらないと思います。私ども繰り返し言いますように、保険診療として必要でありかつ適切な診療につきましては、保険に取り入れていくという姿勢は従来と同じように崩しておりませんので、それはどんどん取り入れていく。しかし、どうしても取り入れ切れないようなものについて、これは差額徴収あるいは特定療養費制度を利用してその部分だけを患者負担にしていただこうというわけですから、格差が広がるというようには思えません。それからまた、格差が広がるようですと、中医協でもってひとつそれは議論をしていただければ、そういう不公平がもし生ずるとしましても十分是正の機会はある、私はこういうように考えております。

○大橋委員

 もう時間が目前に迫りましたので、最後的になるのですが、実は医療費の適正化、合理化問題があらゆる立場から今日まで論議されてきたわけですね。合理化あるいはむだの排除、これは非常に重要な問題でございますが、一体何がむだなのかということは、医学的見地に立った場合と保険経済の立場から見た場合は必ずしも一致しないというのですよね。私はこれは非常に大事な意見だと思って聞いてきたわけでございますが、保険財政の立場からのみ合理化を強行していく余り、肝心な重要な医療サービス面までに悪影響を及ぼすようなことになっては大変だと、私は特段の配慮を要請するところでございますけれども、例えば医療保険制度の改革が、仮に今度一部負担等が導入されたと仮定しましょう。そうしますと、当然医療機関の窓口というものは徴収事務等が複雑化、煩雑化してくるわけですね。そのために大事なお医者さんの手がとられたり、あるいは計算ミスがあってみたりというような問題が生じてくるのではないか。したがいまして、一面ではそういう合理化を図っていかなきゃなりませんか、むだを排除していかねばなりませんけれども、そういう肝心な医療サービス面にそのしわ寄せがいかないように、その窓口徴収事務等についても私は特段の工夫、配慮が必要じゃないか、こう思うのですけれども、いかがですか。

○吉村政府委員

 おっしゃるとおりでございまして、医療機関の事務の軽減にはいろいろな配慮をする必要があろうかと思います。ただ、事務量の負担の軽減の基礎は、やはり現在の診療報酬の点数表にあるのだろうというように私は思っております。したがって、診療報酬の合理化ということもあわせてやっていく必要があるというように考えております。単に窓口の事務だけをどうする、こうするというような問題のほかに、今申し上げましたようなことも考えていかなきゃならぬ。また、今後コンピューターの導入というようなことも考えていく必要があろうかと思います。

○大橋委員

 いずれにいたしましても、肝心の医者の手がそういうことに煩わされて、患者に対するサービスが低下しないように、その点は篤と要望をいたしておきます。

 そこで、よく濃厚診療だとかあるいは計算ミスというのが指摘をされまして、つまり患者に払い戻しをしなきゃならぬにもかかわらずそれができていないという問題が、ついこの前の新聞でも報処されました。たまたま私が見ましたその記事は、国民健康保険ですけれども、本人・家族とも七割給付である、三割を負担させられている、そういうことで、病院の診療所の窓口では自己負担分を請求されれば請求されたとおりに支払ってくる。ところが、その後国保連合会などでそれを審査したところが、これは間違いがある、濃厚診療だ、あるいは計算ミスだ、こういうことで減額査定されて、患者の負担金が当然減少されねばならないというにもかかわらずそれが放置されているという問題ですね。これは私は許されないと思うのですよ。今度窓口事務が非常に煩雑になることも予想されますので、こういう問題が起きた場合はこうするんだという明確なルールを確立していただきたい、こう思うのですけれども、最後に、大臣のお気持ちを聞かしていただきたいと思います。

○渡部国務大臣

 考え方は先生と全く同様でございます。今回の改正案を成立させていただくことによって、直接患者を診ておる医師の皆さん方の事務量が煩雑になって、患者のサービスが少なくなるというようなことのないような配慮は、あとう限り努めてまいりたいと思います。

 また、二番目の問題について、これも全く先生のお説のとおりなのでございますが、事務的にまた現実的にこれは可能なもの、またやらなければならないもの、この程度なら許しておいていただいていいではないかというような点がありますので、今後検討を続けてまいりたいと思います。

○大橋委員

 私は、もう時間があと五分かと思っておったら、五時まではいいのだと書いてある。まだ十五分ほどあるようですから、済みませんがもう少し続けさしていただきます。

 高齢化社会あるいは疾病構造の変化、医療技術の前進等々によりまして医療費の増高というものが、ある程度の増高というものは当然だと思いますが、医療費規模が国民の負担能力を上回って増加し続けるという我が国の医療費のあり方は、これはもう異常と言わなければなりません。私も国民所得の範囲内にとどめるべき努力あるいは対策が必要だ、こう思うわけでございますが、お聞きしたいことは、国民医療費の伸び、保険給付と国民所得のギャップ、これをどの程度を認められるのか、言うならば国民の負担の限界といいますか、これをどう考えておられるのか、この辺をお聞きしたいと思います。

○吉村政府委員

 私ども、医療費の伸びというものを国民所得の伸び程度にとどめたい、こういう気持ちを持っております。それは、毎年度必ず国民所得の伸び以下でないといかない、こういうことを毎年毎年きっちりとするということを考えておるわけではございません。また、それもできることではございません。自由診療のもと、あるいは現物給付のもと、そして出来高払い方式でございますので、そうきっちりできるはずはない。ある場合には国民所得の伸びを上回る場合もあるでしょうし、低まるときもあるでしょう。だけれども、中長期的に見まして国民所得の伸びというようなものの程度にとどめたい、こういうことでございます。

 それはどういうことかといいますと、結局国民所得の中で医療に対する保険料率というものをこれ以上上げたくない、こういうことでございまして、現在国民所得に対して租税、それから社会保障負担率というのは三五%、それを中身を分けてみますと、二五%が租税負担率、そして五%がざっと医療に関する負担率、それから五%が年金の負担率、ざっと言いますとそういうことでございます。その三五が幾らぐらいになるか、こういいますと、年金だけを取り上げてみましても現在の二倍半ぐらいにはなる、こういうことでございますので、年金の負担率というものは国民所得に対して、今の五の二倍半ぐらいですから一二、三ぐらいにはなるであろう。そういたしますと、租税の二五、医療の五をこのままにしておきましても、全体の租税、社会保障負担率というのは四二、三になるだろう。臨調の答申では、諸外国のように、西欧先進国のようにこの租税並びに社会保障負担率というのが五〇になっちゃいけないんだ、これは社会の活力を失うから、まあせいぜい四五あるいは四二、三のところが適当なんではないかというような、臨調の委員の先生方の考え方としてはそういうところが頭の中にある。そういたしますと、先ほどの例で言いますと、もう医療保険についての保険料を上げる余地はない、今のままで五でいっても、年金の保険料を上げて全体としては四二、三になっちゃう、こういうことでございますので、私どもは、国民所得の伸びの範囲内に医療費を抑えるならば、医療費に対する保険料の負担も国民所得の伸びの範囲内におさまる、そうすれば医療に関する社会保障負担率というものを上げる必要はない、したがって全体的にうまくいくんではないか、こういう大ざっぱな考え方でございます。

○大橋委員

 今の御説明によりますと、いわゆる租税がもう二五だ、現在年金は五だけれども、将来見通していくと一二ないしは一三になる。そうすると、現在の医療の五は大体現状程度でいかない限りは、合わせた負担というものは大変な率になるというようなお話したと思うわけでございますが、そうして見ますと、先般厚生省が提出されておりました資料の中に、「無理のない国民負担」ということで、現在国民一人当たりの医療費というものは昭和五十八年度で十二万余円である。あるいは夫婦子供二人の平均家庭では約五十万になっている。それを率で見ていくと、労使の保険料が五四%、いわゆる税金が国と地方を合わせて三五%、自己負担が一一%、このようになっている、こういう状況の中であって、現在が精いっぱいではないかというふうな内容で示されているわけでございますが、そうなってきた場合に、じゃどこをどう省いていけばいいのかということになっていくわけですね。その点についてはどうお考えですか。

○吉村政府委員

 まず、医療費の中のむだな部分というのはこれは徹底的に排除する必要があろう、こう思います。それから、医療費を投入いたしましても余り日本人の健康の水準を上げることにならないような、そういう部門に幾ら投入しても私はこれはむだだというように思います。それから、むしろ将来の健康の水準を引き上げるようなものについては、これは若干の投入をしたからといって、将来の効果というものがあらわれるわけですから、そういうものは投入すべきだろうというように思います。

 私ども、今回の提案をいたしまして、医療費の適正化については徹底的にこれは今後も進めてまいります。けさからの話しにもございましたような、先ほどからのお話にありましたような薬価基準の適正化、それから薬剤使用の適正化、こういうようなものもどんどん進めていく、そして本当に技術が報われるような医療費の構成にしていく、こういうことでひとつ診療報酬なり薬価基準の適正化の路線というものを進めてまいります。また、指導監査というようなものを通じまして、本当に濃厚診療だとかむだな診療だとかいうものはこれはやはりなくしていく必要がある、そうして審査等につきましても厳正に対処をする、こういうことで医療費の適正化を図りたいと思いますし、また、定率の一部負担をやることがひとつ医療費についてのコスト意識も持たせますし、自分の健康についての自覚も高めますし、それから医療費が幾らかかったかということがわかるということを通じまして、医療費についての透明度みたいなものを高める。そして効率化される。私は本当にそういう効果があるというように信じておるわけであります。

 したがって、この定率一部負担をやることによって医療費の適正化、そして、先ほど申し上げましたような医療費の伸びを国民所得の伸びの程度にとどめる一つの有力な手段になるのではないか、こういうように考えておるわけであります。

○大橋委員

 厚生省は初め、医療政策の中長期ビジョン等も示さないまま、被用者本人の給付を削減するということを全面的に打ち出してきましたね。そういうことで、医療費の抑制手段というものを国民あるいは患者の方に求めてきた。そこに実は大きな問題があったわけです。

 今もお話しがあっておりますように、一割を負担させることによっていろいろな効果が出てくるのではないかということですけれども、要するに一割負担をさせることによる受診抑制といいますか、こういうねらいがあるのではないかと思うわけでございますが、私がそのことをやっぱり心配しまして、いろいろと調査をしてみたんですが、昭和二十九年度から昭和五十八年度の約三十年間ですけれども、これにおける医療費の伸びを見てみますと実に六十倍でございました。国民所得の伸びは三十倍。これに比べまして受診率はわずか三・四倍なんですよね。ということは、一割負担による受診抑制をねらったというそのねらいがあったということであるならば、私はこれは的外れだ、こういうふうに思うのでございますが、どうなんですか。

○吉村政府委員

 私どもは、一部負担を課することによって受診率が大きく影響を受ける、こういうことはないというように思っておりますし、一部負担、小さな一部負担で影響を受けるような受診率なら、まあ若干受けたからといって健康や生命に影響するものではないというように私は思うのでありますが、したがって受診率には影響はない。ただ、投薬や注射等につきましてはその量というようなものが縮小をされる、こういうように思います。ですから、医療費全体の量は私は減ると思いますが、受診率に影響があるというようには考えていないわけです。

○大橋委員

 じゃ、もう最後になりますので大臣にお尋ねしますが、今、局長は、受診率云々という問題ではないと言うからには、じゃ一割負担をさした場合に社会全体に対するメリットというものはどういうものか、こういうようなものをもっとはっきりさせてもらいたいですね。これが出てこない限りは国民は納得せぬですよ。大変に失礼な言い方になるかもしれませんが、今回の改革案というものは、最初に申し上げました医療保険制度の抜本的改革という立場からは極めてあいまいな内容での提案であった、こういうことを強く指摘をして、私の質問を終わります。

 最後に、大臣から一言。

○渡部国務大臣

 今お話しがありましたように、この一割負担をお願いすることによって必要な受診は妨げるようなことはない。ただ、今まで過剰診療であるとか薬づけであるとか検査づけであるとか濃厚診療とか、いろいろ言われてまいりましたが、やはり患者の皆さんがそれぞれ健康の自己管理に努力され、医療費というものが明らかになり、医療費の適正化ということには非常に役に立つものだと考えております。

 また、大きな意味で、このことによって国民全体でどういうふうに役に立つんだというお話してありますが、これは、この一割負担を通していただくことによって、二十一世紀の将来にまで、被用者保険加入者の皆さん方の保険料率をこれ以上上げないで済む、これは非常に大事なことでありますが、租税負担、また社会保障負担、これは積極政治が行われることによって、積極行政が行われることによってどんどんふえていくのはやむを得ないのでありますが、これが五〇%を超えるというようなことになったのでは、働く人たちの生きがい、働くことによっての活性化ということを考えますと、やはり租税負担にもあるいは社会保障負担にもおのずから限界がある。二十一世紀の将来にわたって高齢化社会が行われる中で、しかも医療保険というものの制度を持続しながらなおかつ社会の活性化を保っていく、大きな意味では国民の皆さん全体にとっての負担をできるだけ軽くする、これによって患者の皆さん方に一部御負担はお願いするけれども、保険料率は上げないし、また、同じ国民の租税負担によって行われるところの国からの財政をどんどんどんどん入れていくというようなこともなくて済むようにということでございますので、一部御負担をいただく患者の皆さん方には大変恐縮でございますが、全体としては、被用者保険加入者の皆さん方にも国民全体にとってもこれは必ず役に立っていくということを、私ども確信をいたしておりますので、先生にも御賛同をお願いしたいと思います。

○大橋委員 終わります。


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Last-modified: 2008-05-08 (木) 07:45:44 (3393d)