Top / 歯科補綴物の点数が上がらない理由






歯科補綴(ホテツ)物の点数が上がらないのはなぜか?


歯科補綴物の点数が上がらないのはなぜか?
この疑問にひとつの答えを出した論文が存在します。

昭和と平成の勝ち組の論理と心理−昭和63年大臣告示の解釈
http://blog.goo.ne.jp/akisigi/e/836b5409f19b3145676f21a507368ac7


これは2003年に出されたいわゆる7:3問題に対する論文です。
通称「岩澤論文」と呼ばれるこの論文が今、
みな歯科メーリングリストで大きな波紋を呼んでいます。
ぜひお読みになって見てください。


以下は岩澤論文についてのみな歯科MLでの議論のダイジェストです。
(このやり取りは、2008/09/22ころから行われたものです)
岩澤論文の内容がちょっと難しいとお感じの方もこの議論を読めば 理解が深まると思います。


                 最後に印刷用のPDFファイルを置いています。

                                   2008/10/15




この論文の意味するところは

「歯科技工料は自由競争である。しかしながら実勢価格が上がらない限り、補てつ点数は上がらない。」
ここに現行制度の肝があるということです。

市場で低価格で購入できるものに、高い公的価格を設定する国民合意は得られません。
パラ価格・薬価と同様です。
「補てつ点数の増点が無く、歯科技工士に対する手当てが無い」論は逆立ちしています。
つまり歯科医師は技工代を安く抑えようとする→実勢価格が下がる→概ね7:3を基準に 点数を決定→補てつ物の点数は上がらない。

非常に単純でわかりやすい構造です。

つまりは 勝ったのは、63年大臣告示当時の厚生省(現厚生労働省とその後ろの大蔵・財務) の官僚ではないでしょうか。
当時の日本歯科医師会指導部は、短期的には会員の要望に沿った行動をし、成果を挙げた様に見えます。
しかし、長期的には現在の低点数が示すとおりに誤った選択をしたと思います。

技工料金の値上げは良質な補てつ物が作成され、患者さんの為になるだけでなく 実は歯科医師の経済的な向上にも繋がるのです。
歯科医師、技工士、患者さんが共闘できるはずなのです。


今までの7:3論についてもその根拠、論理が不足していることも 事実です。

「保険技工においては7:3の配分であるという大臣告示」
「技工物の歯科医院と歯科技工所の配分は7:3」
このような既に崩れた幻想の再生産、 あたかも論拠であるような論説の欠陥を指摘しているわけです。

という点で、この論文に目からウロコが落ちた次第です。


「補てつ点数が低いと主張しても、 実際に購入している額に見合った 点数を「7:3」を使っている算出している」
・・・この部分が肝です。確かにそうだと私は納得しました。


そもそも現在の点数の根拠は何なんでしょう?
こちらのデータも大事でしょうけど、それを歯科医師会なりで確認したことはあるのでょうか?

診療部分の技術料があやふやなのはともかく、技工物製作の部分に関しては物が ある以上何らかの根拠の元、原点数で採算が合うと判断されて決められてるわけ ですよね?
今まで聞いたこと無いのが自分でもうかつでしたが、現在の技工部分の点数の根 拠、知ってる人いますか?


私の理解している範囲ではですが。。。

技工部分の点数の根拠は、パラや他の材料と同じです。
つまり、実勢価格がその根拠となっています。

その実勢価格は、2年に一度、厚労省が技工料金実態調査を行った 結果が参照されています。
(結果は非公表です。)

その、算定ルールを示しているのが、いわゆる「昭和63 年「7:3」大臣告示」の法的意味です。



そもそも現在の点数の根拠は何なんでしょう?

ありません。
先日「歯保連」構想の会議に出席しましたが 少なくとも大久保執行部以前の時代には、全く根拠が無かったと 分かり、(分かってはいたものの)愕然としました。

技工部分の点数根拠については、岩澤論文、Aさんのレスの通り 技工料の市場価格がその根拠です。
まさに犯人は歯科医師と技工士なのです。残念ですが。


岩澤論文の該当箇所をだしますと

告示第165 号以降の社会診療報酬制度下の歯冠修復及び欠損補綴料 の点数改定に際しては、歯科医療経済の実態調査に基づき歯科技工 料の実勢価格が、歯冠修復及び欠損補綴料改定の基礎資料となるこ とがここではじめて健康保険制度内のルール・通則として明確にさ れたのです。即ち歯科技工料の実勢価格が、点数改定時の政策当局 の政策目的・政策目標を加味し歯冠修復及び欠損補綴料に反映されるシステムの宣言であり、この意味で厚労省・中医協が、告示第 165 号に法的に拘束されるのです。

ということです。


厚労省の調査では、おそらく高めに出てくるでしょう。
技工所としてはあまり低すぎる価格は出したがらないので。
(たしかそうですよね?技工士さんたち)

でもって、厚労省としてはその調査結果にさらにプラス色をつけて いるのですから、厚労省としてはこれ以上の歯科医師への譲歩はない はずだと自負しているでしょうね。

薬剤の場合、この原理で薬価が下がっても新薬が次々と出てくるので あまり困らない。
ところが技工物の場合は・・・


自己レスすみません。

さて、厚労省は、調査でどのような結果を得ているのでしょうか?

・・・・こりゃ、結果を公表できないでしょね。。。

公式には、公表できない理由は

第154回国会厚生労働委員会(第9号 平成14年4月17日)での金田 誠一会議員

金田(誠)委

私どもが聞かされている実態とかなりこれは違うのかなという印象 を受けます。

ついては、その平成十一年の調査でございますけれども、その調査 の集計表といいますか、恐らく地域格差だとか、あるいは補綴にし ても、部分によってこの六六・六のところもあれば、もっと低いと ころもあれば、いろいろあるんだと思いますが、その辺も調査され ているのかどうかも含めまして、調査結果表というんでしょうか、 調査表というんでしょうか、それについて、資料として後ほど御提 示いただけますでしょうか。

大塚政府参考人

これは、診療報酬の審議をいたします中医協での必要に応じて御提 示する資料という性格のものであることが一点。それからもう一点 は、なかなか難しい点が一点ございますので御了解を賜りたいんで ございますが、実際上、それぞれの取引は、自由といいましょうか 、当事者の合意で取引されるわけでございますが、そうした点に直 接的な影響を与えるというのも避けなければならないという要素が ございます。

ただ、調査をいたしているわけでございますから、少し精査をいた しまして、整理をいたしまして、お示しできるものについてはお示 しをいたしたいと考えております。



先日「歯保連」構想の会議に出席しましたが

少なくとも大久保執行部以前の時代には、全く根拠が無かったと

分かり、(分かってはいたものの)愕然としました。

ないんですか??

いくら何でも行政が民間に「赤字でやれ!」とはいえないだろうから、何らかの 理由で採算性を確認してると思ってたのですが……そうですか。



技工士会が中心になってやった実態調査とは違うやつですよね。

あれは公開されてますしね。

ひょっとして前に歯科医師側への技工料金の調査があるとか言ってたやつですかね?

厚労省が行っている調査です。
全国の中から抽出され、技工士さんにアンケート用紙が送られてい るはずです。
(非公開なので、詳細は不明です。) 以下のサイトを参考にしてください。

http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/youran/data13/furoku2.htm
供仝生統計調査一覧
保  険  局 医療課~ 歯科技工料金調査

http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/bukyoku/toukei/yosan.html
このページの下ほど
2 平成17年度厚生労働省統計調査関係予算案(厚生関係)一覧表
【保険局】
歯科技工料金調査

あるいは

http://2008setagaya.seesaa.net/article/103555965.html
歯科技工料金調査費(S54〜)
歯冠修復および欠損補綴物の各診療行為別の託技工料金の実態を把 握し、診療報酬点数算定の基礎資料を得る。
2年に1回の調査。
20年度予算額0千円 21年度要求額6838千円 対前年度6838千円


この、岩澤論文、非常に重要だと思います。

歯科医師も歯科技工士も、特に歯科医師はよく読んで、自分で自分 の首を絞めていることを理解しておく必要があると思います。


歯科医は技工製作してないのに差益を得 てる形な訳ですが、この部分については実働ゼロなわけですから、不足の補填を してる本人達にはそうでなくてもはたからみると支出のない純粋な利益になるわ けですから、行政は「歯科医はちゃんと利益を得ている」とみるし、歯科医師会 が「自由経済下で技工士が勝手に安くしてることだから問題ない」と言う限りは 技工料金の低下=差益の増加=歯科医の収入増、で「歯科はまだまだしぼれる」 となるわけです。

自分でもなんで7:3を総括してほしかったのか忘れかけてました。
歯科医に現料金形態の不当性を認めてもらうことで、歯科医の利益の根拠の一つ を崩してほしかったんでした。
そういう意味で法的根拠とかどーでも良いって思ってたんでした。
途中から7:3派の先輩達の話してるうちにごちゃごちゃになってました。


保険局の調査って……裁判で技工は保険医療の範疇にあらずって答弁してのに??


なんだか目から鱗の論文ですね・・・
保険技工のデフレスパイラルがその段階で仕組まれていたような気がしてきました。

本当の実勢価格より多少高く設定しているところで巧妙に歯科医師会等からの 圧力を吸収している肝じゃないですかね。

今まで語られていたそもそも論がひっくり返ったような論でいまだに消化できませんが どうも不透明で違和感を感じていた事がすっきりと説明が付く内容だと感じました。


医療としては認められてないけど、支出としてはちゃっかり組み込まれてるわけ ですね。
うまく使い分けてるなぁ。



どうも不透明で違和感を感じていた事がすっきりと説明が付く無いようだと感じました。

そうなんです。
この論文だけで結論を言うつもりはありませんが 何故かすっきりしますよね。霧が晴れたような。
でもって怒りもハッキリしてきますが^^;



歯科医は技工製作してないのに差益を得てる形な訳ですが、

この部分については実働ゼロなわけですから、

不足の補填をしてる本人達にはそうでなくても

はたからみると支出のない純粋な利益になるわけですから、

行政は「歯科医はちゃんと利益を得ている」とみるし

ですね。
以前、Bさんと議論しましたが 私は本来10:0でも良いと思うんです。
製作管理料って何それ?
形成、印象、バイト、装着料、装着材料料があるのですから 歯科医師が主張するべきは、例えば装着料を上げろなんですよね。
技術料として主張するならば。
株じゃないけど不労所得を狙う・・・本末転倒。



製作管理料って何それ?

考えられるのは、技工指示書製作代
でも、院内技工の場合は技工指示書必要ないよね。
どうなる???


補綴物に対する全責任という風に理解していたのですが・・・

10:0なら当然補綴物に起因する(判断が難しいですが)トラブルや 訴訟リスクは技工士が負わなければならないと思います。

この責任、補管だけでは足りませんよ。


形成料もらってるんだから、形成が悪ければ・・・
印象料もらってるんだから・・・
バイト・・・
あっ石膏代か???(爆

で、装着料もらってるんだから。

どこに技工士の責任があるんだろう???

トラブルや訴訟リスクって言うなら、
衛生士は80点でそのリスクを負っている?・・・安すぎ!

補綴物だけ特別リスクが高いわけでもないでしょ。
かえって外科系の方がリスクあるわけだし。


「装着料」がセメント合着に対する技術評価のみ だと仮定すれば、補綴物の調整に関わるコストを 評価している点数はないと考えて良いのでしょうか?


ま、考え方なのでしょうが 装着するための一連の行為が含まれているはずですから 調整も装着料に含まれると思います。
単に合着するだけの技術料ってアリ?

脱離補綴物の装着料も同じ点数ですから 調整なども含まれているはずだと思います。



でもって、厚労省としてはその調査結果にさらにプラス色をつけて

いるのですから、厚労省としてはこれ以上の歯科医師への譲歩はない

はずだと自負しているでしょうね。

実勢価格を根拠にしている!
さすが巧いですねえ。
でも、確かに広く理解させうる切り口でしょうね。

薬剤の場合、この原理で薬価が下がっても新薬が次々と出てくるので

あまり困らない。

ところが技工物の場合は・・・

新薬が出てくるように、次々と歯科技工の新しい潮流を保険導入すれば 医科のようにちょびちょびでも総枠の蓋を表面張力の力で持ち上げられたんですかね? MB,金属床デンチャーなどなど・・・
  (それを自費にとどめ、保険へ出し渋った結果が・・・)

保険導入を広げた上で、薬価差益ならぬ「技工差益」を診断料などとして配分???
これもちと無理があるかもしれない・・・

しかし、製薬会社と違うので、技工所としたら、 今度の中国技工裁判でも明らかなように そもそも保険技工物だって、「保険制度」の外へ外注された技工の位置づけだといわれてるわけですから、 保険点数に縛られた価格設定ではなく、あえて無視して!(笑)

独自に計算されたコストに見合う技工料を請求する方向に持っていってもらい、 その結果において補綴の点数改正の根拠にしていく方向が 一番官僚側にとっても国民にとっても理解される方向性だとはっきりしたんじゃあないでしょうか。

それが、一時的に短期的に歯科医院の首を絞める結果になっても、 身から出た錆と、踏みとどまる努力なしに、 歯科技工崩壊からの歯科医療崩壊への負の連鎖を食い止める術はないかなあと考えております。


 保険医療費に占める歯科の割合が年々減少しつつあります。

かつ、従来型の本当は、ええかげん正当な診療報酬を付与しての保険導入 されて当然の贅沢でも、新技術でもない、評価の定まった金属床やメタルボ ンドなどの自費も国民の経済的困窮が原因か以前ほど需要がなく、 自費診療でも評価の定まっているとは言い難く、やりようによっては取り返し のつかなくなるインプラント技術のみが安易に増加しているようにも思われま す。秋山の三段紅葉は、山頂部が雪、中腹が紅葉、山麓は緑と綺麗ですが、 三色構成のインプラントは悲惨です。歯冠部は、メタルボンドの白、歯頸部は、 歯肉退縮によるインプラント露出による金属色、歯肉はピンク。そしてやがて は、インプラントの落葉。

 ある先生曰く、「どうしても、インプラントしていただきたいという患者さんで、 インプラントの耐用年数には、かなりばらつきがあるという事で了承していた だいた方にのみ行う」と。まあ、とりあっかっていない限り、予後の事で文句言 われる筋合いでないから、関わらない方が、収入は少ないが、ストレスも少な いというもの。とは、あまりにも独断的か?

 とにかく、評価の定まった、新技術でもない項目は、正当な評価で保険導入 いただきたいものだ。

 その為には、医療費全体を引き上げ、かつ歯科の占める割合を高めるしか ない。その為の日本歯科医師会だろう。


7:3は当時の技工料と差益の実勢を反映したものです。
実際にそういうデーターがあったので、歯科医師も技工士 も受け入れざるを得なかったのです。

もし実勢が5:5ならばそうなっていたかもしれません。
兎に角これを自分の取り分の分配と考えた技工士と、 取られてなるものかと恐れた歯科医師が見当違いな 議論をはじめたわけです。

本来は歯科医師・歯科技工士が、仕組みを理解し良識を働かせれば、 点数増加の武器にも出来たわけです。

そして官僚はその「兄弟喧嘩」を上から見下ろしながら、 淡々と仕事をしていたわけです。

つまり、「技工料の適正価格の確定」が実は歯科医師にも 技工士にも最も重要なものだということです。









印刷用PDFです。







添付ファイル: file岩澤論文.pdf 2033件 [詳細] file岩澤論文みな歯科議論.pdf 2337件 [詳細]

リロード   新規 編集 凍結解除 差分 添付 複製 名前変更   トップ 一覧 単語検索 最終更新 BACKUP リンク元   ヘルプ  
Last-modified: 2008-10-16 (木) 08:00:07 (3348d)