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鋳造用ニッケルクロム合金導入についての国会質疑

第112回国会 社会労働委員会 第3号

昭和六十三年三月二十四日(木曜日)

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/112/0200/11203240200003c.html


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○稲垣委員長

 薮仲義彦君。

○薮仲委員

 本日は、我が党の社労部会の先生、そして当委員会の委員長初め委員の皆様の御了承をいただきまして、厚生大臣に質問をする機会をつくっていただきましたこと、厚く御礼申し上げます。

 私は、当選させていただいて以来、亡くなられた園田大臣から歴代の大臣にずっと質問を続けてまいりました。それは歯科の問題に限って五回にわたって歴代の大臣に質問してきたわけでございますけれども、本日も大臣に歯科の問題について何点か質問をさせていただきたい。もう一点は劇薬の問題について質問させていただきたいと思うわけでございます。

 私が質問したいのは、私はこの質問を通じまして、歯科材料の安全性、そして導入のあり方について再三にわたってずっと質問をしてまいりました。今回保険導入されました、歯科材料の床用材料としてポリサルホンの導入があるわけでございますが、この導入に関連して補綴学会の専門の先生あるいは臨床の先生からいろいろと問題の提起がございました。私は昭和五十六年以来この質問をしてまいりましたけれども、鋳造用ニッケルクロム合金の冠用についても、その導入のあり方についてはいかがなものかということを質問してまいったわけでございますが、厚生省は歯科材料の保険導入についてどう考えておるのか。特に歯科材料というのは口の中に直接入ります。国民の健康と生命にもろにかかわっておることなのでございまして、私は何回かこの導入は慎重かつ安全には細心の注意を払ってほしいということを提言してまいりました。しかし、その点に関して厚生省の考え方がもう一つはっきりしないといいますか、国民に対して責任ある行政であるのかなと考えられる節が何点かございますので、きょうはその問題を中心に質問したいわけでございます。  最初に、厚生大臣にお伺いしたいと思いますが、厚生省としての歯科材料を保険に導入する際の基本的な考え方を聞きたいわけでございます。やはり口腔内に入りますと、これは完全なる人工臓器です。総義歯にいたしましても、欠損補綴の鋳造冠にしましても、完全なる人工臓器として人体の一部になるわけでございます。そうしますと、これが直接内臓へかかわってくるわけでございますから、安全性は大丈夫なのか、あるいは口腔内において加工性あるいは人工臓器としての機能性、こういう問題について厚生省は確かな見識を持って導入しているかどうか、大臣にまずお伺いしたいと思います。

○藤本国務大臣

 確かに御指摘のように、歯科材料の保険導入につきましては、何よりもその安全性、これが大事でございまして、薬事法に基づいて確認がなされること、また承認が行われるということが大前提であろうと思います。保険診療上の有用性につきましては、専門学会の意見を踏まえまして、中医協で御審議をいただいた上で保険導入を図っていく必要があるものと考えておるわけでございます。今後ともこの方針に沿いまして、慎重に対応してまいりたいと考えております。

○薮仲委員

 今大臣の御答弁の中にあったわけでございますが、確認のためにもう一度質問させていただきますけれども、今大臣は専門学会の意見聴取してとございました。これはもう大臣も御承知のように、我々の口腔内にいわゆる歯科材材を装入するときに、材料の安全性は理工学会が主たる専門学会でございます。またその材質が臨床の先生が加工しやすいかあるいは臨床の先生が通法として、通法というのは、もう術式が決まっておりまして、患者さんに適正な治療行為ができるという術法が決まっていることで、その術法やそのほかの治療行為を歯科の先生に専門的な見地から指導しているのが補綴学会でございます。理工学会と補綴学会、これは非常に大事な学会でありますし、ただ単に学会で専門的に研究したといっても、これは我々一般国民に生かされるわけではございません。必要なのは、臨床の歯科の先生が導入された材料であるとかあるいはその術式、術法について果たして練達し、あるいは知識を十分に持っているかということが国民にとって非常に重要でございます。いわゆる専門学会というお話がございましたけれども、専門学会と臨床の先生の意見については、大臣、どうお考えですか。

○下村政府委員

 具体的な手続といたしましては、日本歯科医師会を通じて学会の意見を聞く、こういう形をとっておるわけでございます。これは歯学会というのがございますが、これは医科の方も同じような組織になっておりますけれども、日本歯科医師会の中に歯学会がありまして、その歯学会の中で幾つかの専門分科会に分かれる、こういうふうな構成になっております。したがって、歯科医師会を通じまして、そういう専門学術的な見地と、それから臨床医家の集まりとしての歯科医師会の意見も聞く。なお、中医協で審議をする際には、当然歯科診療を代表する委員も含まれておりますので、そういった面からの御意見もいろいろその段階でも出てまいる、こういう形になっております。

○薮仲委員

 局長にはきちんと聞きますけれども、一番いけないのは、すぐ日歯を通じてというあなたの言い方なのですよ。歴代の保険局長も私にそうやって答えてきた。私は本当にそうかと思って理工学会の先生に会ってきた。歴代の補綴学会の学会長にお会いして意見を聴取してまいりました。しかし、日歯も保険局もほとんど聞いていない。これは日歯の中で理工学会や補綴学会の専門学会の意見を聞かなかったなんというそんな内部事情ではないのです。我々は患者なんです。大臣も患者です。患者が直接かかわる問題に対して、日歯から聞いておりますと言って、我々だって専門学会の学会長に聞けるのです。当時の学会長は三谷さんです。今は津留さんです。局長なら当然知っているし、私だって直接御意見を聞けるのです。日歯を通じてなどとそんなことを言ってないで、国民の生命、健康にかかわる問題だったら専門学会の意見をきちっと聞くのが保険局長の立場です。また大臣の姿勢であっていいと私は思うのです。私はずっとこの問題をやっているのですから、細かいことは結構ですから、ニッケルクロム保険導入の経緯を、いわゆる大臣も今承認とおっしゃいましたけれども、薬務局の立場、それから保険導入の日時、保険局の立場、簡単に日時を追ってこうこうこうと言っていただけば結構です。細かいことはわかっていますから、時間がありませんから。

○坂本(龍)政府委員

 歯科鋳造用ニッケルクロム合金につきまして、薬事法の承認をいたしました経緯について申し上げます。

 このような合金が最初に日本で承認されましたのは昭和四十五年の三月二十日でございます。この歯科鋳造用ニッケルクロム合金が承認されました当時は、それ以前に歯科用ニッケルクロム合金線と歯科用ニッケルクロム合金板というものがございまして、既にJIS規格が定められ承認を受けていたものでございます。この新しい歯科鋳造用ニッケルクロム合金につきましては、今申し上げましたJIS規格が定められているものと成分及び組成が類似していると認められたためにこれを承認いたした次第でございます。当時既にそのような歯科材料がございましたので、問題なしという考え方で承認をいたしたものでございます。

 なお、今日までこの歯科鋳造用ニッケルクロム合金での有害作用というのは、私どものところには報告は参っておらないわけでございます。しかし、さらに安全性確保のために、例えばベリリウムを検出してはならないという安全基準を盛り込みまして、新たな承認基準を昭和六十年三月三十日付で制定いたしまして、現在はそれによって承認を行っているというのが実情でございます。

○下村政府委員

 ニッケルクロム合金が薬事法上承認されたのは、ただいまお話に出てまいりましたように、昭和四十五年の三月でございます。以来、実際上保険診療以外の歯科診療では使われてきたということではないかと思いますが、保険に導入いたしましたのは五十八年の三月でございます。この間相当の時間がございますが、実際上の経緯といたしましては、ニッケルクロム合金が薬事法上承認されたけれども、直ちに一般に保険診療として導入するには材質の点でいろいろ難しいというふうなこともございまして、相当内容が改善されてきたということで五十八年の二月に歯科材料価格基準に収載した、こういう経緯になっております。保険導入に当たりましては、歯科医師会を通じて補綴学会、歯科理工学会等の関係者の意見を聴取したというふうに聞いております。

○薮仲委員

 厚生省は、今の薬務局長の御答弁にもございましたけれども、六十年に初めてニッケルクロムの承認基準を決めたわけでございます。ニッケルクロム鋳造用の冠は承認の品物でございます。JIS規格に合っておるのは、昭和三十一年あるいは四十五年当時はそうであったのです。しかし、保険局長よく聞いておいてくださいよ。そのときニッケルクロムを初めて薬務局が承認したのは、いわゆるニッケルクロム、軟質なんですね。三金工業、サンコリウムというニッケルクロムを初めて承認したのでございますけれども、当時のニッケルクロムは、六十年に承認基準が決まるまで、ニッケルの含有量は三〇%から多いのは九〇%まであるのです。きょうは時間がありませんから申し上げませんけれども、それほどばらつきがひどくて、これを即そのまま使うようなわけにはいかなかったわけでございます。このことを指摘しまして、厚生省薬務局は五十五年に「医療用具の製造又は輸入の承認申請に際し添付すべき資料について」という薬務局長通達を都道府県知事に出されたわけです。これは一体どういう趣旨で出されたのか。これが一つ。

 それからもう一点は、五十五年以前は今保険局長も言いましたけれどもJISです。これは工業標準化法によって決められているのです。これは製造する工場、人的マンパワー、あるいは設備というのが整って一定の品物さえできればいいということであって、安全性について、毒性であるとか催奇性、変性毒性とかそういうことについては必ずしもきちんとした、安定した材料を承認したことにはなっていないのです。今の点、薬務局長ちょっとお伺いしたいのです。五十五年の通達の趣旨と、以前と以後の材料についての考え方を、要点だけ簡潔にお答えください。

○坂本(龍)政府委員

 最初に昭和五十五年六月三十日付の通知でございますが、医薬品、医療用具の安全性を確保するために昭和五十四年に薬事法改正がございました。この薬事法改正の施行に際してこの通知が出されたわけでございます。その内容といたしましては、医療用具の承認申請に際して提出すべき資料の範囲を明らかにいたしまして、これによって厳格な承認審査を行い、医療用具の安全性、有効性の一層の確保を図ろうといたしたものでございます。例えば申請に際し添付すべき資料といたしまして、「起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」でございますとか「物理的、化学的性質並びに規格及び試験方法等に関する資料」「安定性に関する資料」、その他数項目にわたりまして資料の提出を要求することにいたしたわけでございます。

 それから、従来の審査につきましては、最初にも申し上げましたように、JIS規格というものを一つの基準にしていた時代があったことは事実でございます。このJIS規格につきましては、当時としてはこういった金属等の製品についての一つのよりどころと申しますか、そういったものについての成分、組成、形状といったところで、やはり一つのスタンダードなものという認識があったために、これによって実際に使用するに適しているであろうという判断をいたしたものであろうと考ええておるわけでございます。

○薮仲委員

 もう少し簡潔に要点だけお答えいただきたいですね。もう時間がないですから、次に進みます。

 保険局長、今御答弁の中で、大臣の中にもあったのですが、専門的になりますから局長で結構ですけれども、保険局としては、鋳造用ニッケルクロム合金に対して補綴学会は賛成であった、学会の意見も聴取してよかろうということであったということでございますが、今でも同じ認識ですか。

○下村政府委員

 その当時の意見は、保険導入に反対するものではないという意見であったというふうに聞いているわけでございます。その後私どもの方では公式にこういうニッケルクロム合金について意見を変えたというふうな話は聞いておりませんので、私どもとしてはまだそのままその意見を受けとめているところでございます。

○薮仲委員

 それでは、その辺の経緯をちょっと。

 これは保険局長御存じですね、補綴学会の専門雑誌です。これは大臣も御承知と思いますが、日本補綴歯科学会のきちんとした専門雑誌でございます。この中で、クラウン・ブリッジ用材料に対する考え方でございますけれども、この中にニッケルクロム合金の問題について書いてございます。ここをちょっと読みますと、「昭和五十七年十二月末、全く突然にニッケル・クロム合金を鋳造歯冠修復用材料として保険診療に採用することが中央社会保険医療協議会において決定された、後に述べるごとく、鋳造修復用合金としては種々問題が指摘されていた金属であるだけに、高度に専門的な判断を要するニッケル・クロム合金の採用については、専門学会である補綴学会に事前に諮問があって然るべきであると考えるが、実際には中医協での決定の直前に保険導入に同意して欲しい旨の電話が日本歯科医師会から学会長宛にあったとのことである。しかも即答を求められるという慌しさであったので、三谷学会長は取敢えず常務理事の範囲内で意見をとりまとめ、」ここからが大事ですよ、「ニッケル・クロム合金の保険採用には同意できない」とはっきり言っているのですよ。これは専門誌の公表された資料です。あなたのおっしゃっているような根拠のない話は全く当を得ないと思うのです。

 しかも、明けて昭和五十八年一月二十一日の常務理事会において三谷学会長から報告が行われ、この事態を非常に重要視して常務理事会として学会見解を表明した。「ニッケル・クロム合金の保険導入について学会の意見は、適合性、硬さ、生体反応、高温鋳造、口腔内操作性、その他の問題があるので、なお検討を要する。したがって金銀パラジウム合金に準ずるものとしての保険導入の時期に至っていない」こういう判断をきちっと補綴学会が出しているのですよ。これを保険局長は御存じないのですか。知っているか知らないか、簡単に答えてください。

○下村政府委員

 その当時の経過は私ども必ずしもつまびらかではございませんが、当然歯科医師会等に事実は確認してあるというふうに考えております。したがって、そういうふうなことが学会の公式見解ということであれば、さきの意見を撤回するなり変えるというふうな話が私どもに参ってしかるべきではないかと思っております。

○薮仲委員

 では局長、確認しておきますけれども、学会としてニッケルクロムは使うべきでないという公式見解が出たらば、厚生省は変えるのですね。

○下村政府委員

 私どもとしては、診療報酬に現在取り入れている話でございますので、学会の意見がありましたら、その学会の意見を踏まえて中医協で審議をお願いするという手順を踏むことになると思います。

○薮仲委員

 では、厚生省の今の考えをちょっとお伺いしたいのですが、厚生省は今の時点でもニッケルクロム合金というものは金銀パラジウム合金に準ずると考えているのですか。ここには当時の読売新聞もあるのですよ。五十七年の十二月二十日、これはニッケルクロムの不正事件のときです。このときにばたばたと保険に導入されて、世間を騒がせたのです。この記事の中に、天下の読売さんの記事をそのとおり読みますが、このとき大分の歯科医師会長、この方は日歯の専務理事ですけれども、毛利さんはこう言っているのですよ。これについても見解をちょっと聞きたいのです。「ニッケルクロムは金銀パラジウムに劣らず、」これは「劣らず」になっているのですよ。「あるいはより優れた性質を持った材料。そのニッケルクロムで治療した以上、医療の質は保たれていると考えている」これは日歯の専務理事の意見なんです。今の厚生省のお考え、金銀パラジウムに準ずる材料とニッケルクロムを考えておられるのか、率直に答えてください。

○下村政府委員

 ニッケルクロム合金と金銀パラジウムというのは、これは物が違うわけですから、加工性でありますとか、使用した面で差が出てくるということは当然あると思います。しかし、当時の認識としては、また今も私どもとしてはそのように考えているわけでございますが、ニッケルクロム合金は保険診療の上で使って十分実用にたえるものだ、こういうふうに考えております。

○薮仲委員

 そこで、学会と言いますから、学会長の意見を権威のためにお話ししておきます。時間がないから結論だけ申し上げますと、薬務局がニッケルクロムの基準化について理工学会と補綴学会に意見を求めたのです。当時の歯科理工学会の会長は山根先生です。補綴歯科学会は平沼先生です。文章を読んでみます。これは薬務局に来ているのですから、知らないはずはないと思いますよ、隣の局なんですから。「全部鋳造冠としてのニッケルクロム合金は適合性、硬さ、生体反応、口腔内操作性などの点で、未だ適切な組成のものはみられないので、臨床応用の段階に至っていない。」これは五十九年一月三十一日、日本補綴歯科学会会長平沼謙二先生の厚生省薬務局審査課長あてのきちんとした公式の答弁ですよ。この中でも、ニッケルクロムは臨床応用の段階には至っておらぬ。「専門学会において金属学的および生物学的にみた前臨床試験によってまず基礎的な安全基準を設定すべきである。」こうやって、学会ではきちんと薬務局に来ているじゃないですか。

 しかも、これも保険局長、よく聞いておいてください。これはあなたが中医協へ保険導入をやったときに日歯がどういう会員指導書を出したか読みますから。なぜこんな指導書を出したのですか。会員指導書の全文ですからね。「歯科用鋳造用ニッケルクロム合金として薬務局に認可を受け、市販されている商品全部が対象となっているが、規格が全く定められていないため、現状では、口くう内での安全性を得るようなクロム量を含有しているものを使用すべきである。」一番ですよ。二番が、「どの商品を選ぶかは、会員の判断するところであるが、」お医者さん一人一人が勝手に判断しなさいと言うのですよ、基準がないから。「操作性に問題があるので製作行程の各ステップをより正確に能書の指示どうりに行うよう心がけなければならない。」三番目に、「完成した製作物は、この合金の持つ物性の為、歯牙の高径、」高さの調整です。「接触点の回復が非常に困難であるので、装着時の調整にあたり十分な配慮が必要である。」さらに四番目には、「鋳造、研磨、調整にあたり、粉塵による人体への影響が有るので十分注意すべきである。」これは薬務局がその後ベリリウムの検出についてゼロでなければならないと言っておるのです。  なぜこんな――保険局長はいい材料があったとおっしゃるなら、そのときの商品名を一つ言ってください。このニッケルクロムというのはみんな融点が高いのです。千三百度前後なんです。厚生省の薬務局の方は千度前後のものがあると言ったけれども、そんなものは当時で一つしかなかったはずです。私は全部調べてみた。あなたはその商品名を何とおっしゃるのか。そしてなぜ日歯がみずから導入しておいてこんな会員指導書を出すのですか。こんな悪い材料。こんな物性が固くて、高径の調整ができない、粉じんに注意しなさい、こんな危ないものを人間の健康にかかわる厚生省の保険局が承認したのですか。この見解、きちっとお答えください。

○下村政府委員

 保険局といたしましては、歯科材料として薬事法上の承認が得られているということで安全性については一応大丈夫、こういう判断をしたわけでございます。商品名については、私ども特定の商品を対象にして指定したということでございませんので、その当時どの商品がどうだというふうな個別の商品についての判定をしたということはございませんので、これは私も特に商品名を挙げてどうこうということは申し上げることはできません。

 それから、後の硬度でありますとか安全性についていろいろ出ている問題につきましては、そのニッケルクロムを導入したときに、会員の中でいろいろそういう点について危惧の念が表明されたということがあったのではないかと覚えております。したがって、会員の間でいろいろそれについての疑問が提出されたので、それについて答えるという形で日歯はそういうふうな指導通知を出した、たしかそのような経緯であったと記憶いたしております。

○薮仲委員

 薬務局長、あなたはしっかり答えなさい。私への答弁にあなたはさっき正確じゃないけれども、もっとずばっと言いなさい。

 五十五年以前は、JIS規格だけで安全性については入っていないのですよ。標準化法だけですよ。五十五年に初めて安全性の添付資料をつけなさいと言ったのです、あなたのところで。このニッケルクロムの基準が決まったのは六十年三月ですよ。今保険局長は薬事法と言ったけれども、薬事法上の承認はないはずなんだ。中央薬事審議会の議を経ていませんよ、三十一年も四十五年も。四十五年のものは、ただ三十一年の板と線ということだけで、薬事法の審査を受けていないのですよ。きちんとお答えください。時間がないから結論だけでいい、もうわかっているのだから。

○坂本(龍)政府委員

 当時JIS規格が定められておりましたので、この歯科用ニッケルクロム合金線及び歯科用ニッケルクロム合金板とその成分及び組成が類似しているという観点に立って承認をしたわけでございます。したがいまして、当時といたしましては、このJIS規格に基づいて、現実にそれまで使用されていたものと同じものという判断をしたわけでございます。

○薮仲委員

 薬務局長、今度もう少しその辺の経緯を改めてきちんとあなたと懇談しましょう。時間がないから、きょうは大事な話をちょっとしますけれども、これはやはり補綴学会の雑誌にこういうことが載っているのです。

 「”歯科用金属の規格並びに銅合金に関する見解”の公表にあたって」――これはどういうために書かれたかというと、前の補綴学会の会長の平沼謙二先生がこの前文に書かれておるのです。ここでは、「本報告書は昭和四十年五月三十日に日本補綴歯科学会歯科用金属規格委員会が提出した報告書案を一部修正し、報告書とした」。これはなぜやったかというと、ニッケルクロムを導入したときに、これを学会として出したのです。その趣旨が書いてあるのです。この本は、「各種歯科用合金の適否について検討し、歯科医療向上に対しての学会の立場を明らかにし、世に問う」という趣旨なんです。それで、「学会の歩みの中で、本報告書は貴重な業績であり、歴史的にも重要なものであると考えている。新しい歯科用合金の出現とその利用についてはその時々に補綴臨床を混乱させてきたが、この特集号”補綴用材料”と本報告書は学会としての姿勢、あり方に対する指針として多くの事項が述べられているものと考える。また、学会としてはこの態度を引続き尊重していくべきものと確信している。」この中に、歯科用材料の安全性についてすべてワークショップをおやりになって、一つずつ検討されているのです。時間がないからニッケルクロムのところだけ私が抜粋して読みます。

 「ニッケル・クロム合金」について「金属冠の場合には帯環に対する加工性が劣るため不適合金属冠の原因となり易く、我国補綴臨床の大きな欠陥となったことは周知の事実である。したがってニッケル・クロム合金の」ここですよ。「冠用としての使用は当然中止されるべきである。」この考えは今でも変わってない、補綴の御専門の先生がはっきり私に申しておりますよ。しかも「帯環材料として加工性の劣った」――「加工性の劣った」ですよ。「ニッケル・クロム合金の使用は望ましくないことは明らかで、少なくとも金・銀・パラジウム合金以上を使用すべきである。」金、銀、パラジウム以上を使いなさい。これは国民のために私は使ってほしい。後で時間があればやりたかったのですけれども、全くこの導入はなってないのですよ。「以上により本委員会はニッケル・クロム合金冠が金・銀・パラジウム合金以上の材料による鋳造冠によっておきかえられるように切望する。」

 学会の意見はきちんとここに表明されているのじゃないですか。あなたがこれを読んでいないと言ったら不勉強過ぎますよ。私はそこにいらっしゃる佐治さんなどの歯科の勉強をした博士でもなければ専門家でもない。しかし、一人の国民としてまじめに歯科材料の安全性を考え、国民の健康を考えたら、このニッケルクロムに対するまじめな専門の先生、臨床の先生の意見をあなたが知らんぷりをしているということは、ある意味では国民に対して全く無責任であり、薬務局長だってこれは許されないことだと私は思うのです。本当にこの専門の先生の意見を一回読んでいただきたい。私は専門家じゃないけれども、専門の先生のところにも行ってきた。皆さんの意見は本当にまじめだった。

 さらに、もう一つあるのです。これも読んでおきたい。ニッケルクロムの毒性について毒性学の専門の佐藤温重先生、私はお会いしました。東京医科歯科の佐藤温重先生、厚生省のいろいろな規格の検討委員会に入っていらっしゃる。でも、この先生がニッケルクロムについて何とおっしゃっているか。これを読みます。「変異原性」――変異原性というのは発がん性です。「ニッケル・クロム合金の成分金属のうち動物実験で発癌性が証明されている金属は、ベリリウム、コバルト、クロム、銅、マンガン、モリブデン、ニッケル、亜鉛などであり、また疫学的にヒトでの発癌性が明らかになっているものに、ベリリウム、ニッケル、クロムなどがある。これらの金属は、細胞の腫瘍化を開始する作用と、腫瘍を増強化する作用とがある。」これは「ニッケル、クロム」ですよ。しかも、この先生は、さらに最後にニッケルクロムの結びで「溶出金属量は微量であり」、これは規格もそうなっている。「体内に吸収される金属量は少ないので、ニッケル・クロム合金は安全であるという考えがある。」ここから大事なんです。「しかし、毒性は濃度の関数であるばかりでなく時間の関数であり、ニッケル・クロム合金の慢性毒性試験を実施し、微量長期摂取の安全性を確認した上で結論を導くべきである。ニッケル・クロム合金のみならず、歯科材料は前臨床試験により安全性が保証されたものについて、小規模の臨床試験を行い、既存の歯科材料と比較し優れた材料を選別し、一般臨床に使用することが、医の倫理からして必要であろう。既存の補綴材料と比較しニッケル・クロム合金は安全性の優れた材料とはいえない。」毒性の専門家の佐藤温重先生もこうおっしゃっておるのです。これを保険局長が知らないと言うのだったら、余りにも無責任であり不勉強である。私は学会の先生の名誉のためにきょうははっきりしておきますけれども、これだけ言われても、まだニッケルクロムがすぐれていると――私はきょうも電話で確認しました。補綴学会はこの考えは今でも変わっておりません。保険局長の御答弁を求めます。

○下村政府委員

 私どもとしては、薬務局で承認された歯科材料のうちで、歯科については保険診療の上ではいろいろな制約がございますので、薬務局で承認された歯科材料について保険診療の上で十分実用にたえるものという材料については、これは大体においてすべて保険の方で収載をしていく。これが基本方針でございます。あと実際にどういう材料を使うかというのは、これは歯医者さんの選択という問題になってまいります。

 問題のニッケルクロムにつきましては、導入に際して、私どもとしては学会の意見を歯科医師会を通じて聞いた。これも間違いのない事実でございます。そういう手続を踏んで歯科材料の収載をやっておるということは、これは学会の方も十分御承知のことでございまして、それだけ自信を持ってニッケルクロムを使うべきでない、あるいは使わせることが適当でないと言うならば、当然そういうルールがあるわけですから、歯科医師会を通じて厚生省に前の意見が間違っていた、あるいは手違いがあったとしかるべき訂正をされるのが筋道ではないか。私どもは残念ながらまだそういう手続を踏んでの御意見を承っておりませんので、歯科の問題を議論する際に改めてその点については確認をしてみたいと思いますが、学会の方でそれだけの自信を持ってこう言っておられるということであれば、しかるべき手続を踏んでルールどおりにやっていただきたいということをお願いいたしたいと思います。

○薮仲委員

 あなたはそうおっしゃっておるから、では今の手続どおりにやりましょう。

 きょうはできなかったのですけれども、ポリサルホンの導入もおかしいのです。エーテルサルホンの導入もおかしいのです。薬務局長、今度は腹を据えてお答えをいただきたいけれども、このポリサルホンとポリエーテルサルホン、これも補綴学会の先生の御意見は、金属床にかわり得ないときちんと学会の方針を出していらっしゃるのです。それをあなたが知らないはずはないと思うのです。

 ほかの問題に入ります。


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Last-modified: 2008-04-09 (水) 08:21:48 (3364d)