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不採算な総義歯についての国会質疑


不採算な総義歯についてや、再診時基本診療料について、歯周疾患の治療計画書について、ニッケルクロム合金の安全性について質疑されています。



第102回国会 予算委員会第四分科会 第2号
昭和六十年三月八日(金曜日)

次に、薮仲義彦君。

○薮仲分科員

 私は本日、厚生大臣に歯科の問題に限って質問をさせていただきたいと思います。

 私も当選してから今日まで、歴代の大臣にずっと歯科の問題を質問してまいりました。きょうも大臣にお伺いをするわけでございますが、その前に大臣に一言伺っておきたいのは、昨日新聞で報道されたことは大臣としても非常に遺憾なことと思っていらっしゃる。我々国民の側からいたしますと、いわゆる医療に対する信頼をある意味では裏切る、そういう行為が、国民の信頼の中に行われていかなければならないのに不心得な一部の医師によって脱税がなされる、大事な医療費というものがそういうふうに不正に行使されるということについては非常に問題であろうと思います。

 私は、そういう意味で、私の周りには医科の先生にしても歯科の先生にしても国民の健康増進のために非常にまじめな先生を多く知っているし、現に私がきょう大臣に質問するのも、まじめな医師が国民の健康を真剣に考えている立場で質問するわけで、ああいう事態は私にとって非常に残念な事柄でございまして、この件に関して大臣が今どのようにお考えか、一言お答えいただいてから質問に入りたいと思います。

○増岡国務大臣

 きのうの新聞記事のことについてお尋ねがありましたときに申し上げましたように、私はほとんど大部分の先生は国民の生命と健康のために一生懸命頑張っておられるのでありまして、したがって、ああいう記事が出ましてもその根幹は揺るがないものと信じております。

○薮仲分科員

 国民の今の医療行政あるいは医師に対しての大事な信頼関係がなければ成り立ちませんので、この点はどうか十分今後行政の中で、下手に弱い者いじめするとか意地悪するということではなくて、健全な医療というものが育つような方向で指導をしていただきたいと願っておきます。

 きょうは歯科の問題でございますが、特に日本の国は高齢化へのテンポが非常に急速であることは大臣も御承知のとおりでございます。厚生省の人口問題研究所の日本の将来の推計人口、これによりましても昭和七十五年、十五歳以上の人口に占める五十五歳以上の人口の比率が三四・二%、六十五歳以上が千九百九十四万人、一八・九%、ざっと五人に一人のお年寄りということになるわけでございます。こういう高齢化社会を迎えまして、どうしても歯科診療の中でも高齢化に対する対策というのは非常に大事だと思うのです。

 その前にまず確認しておきたいことは、ただいまの問題もそうでございますけれども、国民に対して、歯科であるならばよりよい歯科診療、歯科医療というものを提供する、これは歯科医師の当然の使命であり、国民のひとしく願っているところであろうと思います。また、厚生省は、我々国民に対して、通常必要とする歯科診療というものは保険でできますよ、こういうようなスタンスにあると思うのでございますが、この点はいかがでございますか。

○幸田政府委員

 御指摘のとおりでございまして、通常必要とする歯科診療は保険診療として採用し、実施をしているところでございます。

○薮仲分科員

 中でも先年をとられてまいりますと、これは厚生省でも資料をお持ちのように、今度の点数改正の中でも――統計の中でも言われております残存歯数が、大体五十歳を境として五十五歳になってきますと非常に少なくなってまいります。そうなると、やがては総義歯という課題になってくるわけでございますが、お年をとられた方も、人生の中でどうしても入れ歯に頼らなければならないときが来ると思います。総義歯も保険で安心してつくれますよ、こう国民に言っていいことだと思うのでございますが、その辺の厚生省の見解は。

○水田政府委員

 御指摘のとおりでございまして、特に老人の残存歯数というのは非常に急激に減ってまいるわけで、義歯に依存する点が多くなってまいるわけでございます。特に老人保健法ができましたときの附帯決議で、老人の心身の特性に見合った診療報酬体系をつくるようにという御指摘もございまして、有床義歯指導料というものを特に老人の場合設けまして、いわゆる有床義歯がうまく歯に適合するような的確な指導ができるようにいたしているところでございます。

○薮仲分科員

 これは大臣によく御理解いただきたいのですが、我々人間にとって、人間の本能といえば食と性、食べるということは人生にとっては非常に大切なことであることは論をまちません。また衣食住という、食べるということは人間の生活の中で欠くことはできないのです。

 ここに幾つかの文書がありますので、ちょっと読んでみます。「長寿とは老いてもなお健康であることである。食物の摂取は生命保持に不可欠であり、老人にとって食事が最大の楽しみであるとするならば、歯科医の老人医療にはたす分野は大きく大切である。」こういう点がございます。また、こういうことも書かれています。あるお年寄りです。「噛んで痛くないところを探してそっと噛む。翌日はそこが痛くなるから別の場所を探して噛む。」これもお年寄りの生活の一部なんです。

 また、こういうことが書いてあります。「肉体的には何の欠陥もないのに、ただ食事ができない理由のみで家にこもりがちになり、性格も暗くなってしまう。それだけに、これらの人々が再び咀嚼機能を回復したときの喜びは大きく、青春が甦り、外貌の変化と共に人格まで変わる。中には、二十年以上も諦めの人生を送り、たまたま知り合った歯科医に調和のとれた機能のよい義歯を入れてもらい、七十歳にして念願のカトマンズに登山に出かけた人もいる。」また、あるお年寄りは「数軒の歯科医を訪れた末に完全な歯科医師不信に陥り、義歯は痛いもの噛めないものと決めつけ、あきらめている人々が意外に多い。」

 この総義歯は、やがて大臣もお年をとられればそういうお世話にならなければならないわけです。大臣が今しっかりやっておくことは決して人のためではなく、大臣もいずれは総義歯にお世話になるときに、あああのとき言われたことは本当だったなと思うときが来ると思います。

 そこで、私は今までのことを前提にして、これは大臣に聞くのは大変失礼であって、大臣がおわかりにならなければ担当の局長にお伺いしたい。

 歯科疾患の治療の総件数の中で何%くらい総義歯というのが保険の中で診療されているか、おわかりですか。

○増岡国務大臣

 そのことにつきましては前に何度か聞いたことがありましたけれども、今失念いたしておりますので、政府委員から答弁させていただきます。

○幸田政府委員

 正確な数字は今持ち合わせておりませんが、歯冠修復、欠損補綴含めまして大体四割程度と考えております。

○薮仲分科員

 私は総義歯と申し上げたのです。欠損補綴だとか鋳造冠とか、そういうことを言わなくていいのです。私はもう何回も厚生省とやり合っているのですから、この資料は厚生省のです。厚生省からいただいた資料ですから、診療総数をちょっと言ってください。時間がないですから、数をぱんぱんと言ってください。

○幸田政府委員

 大変申しわけございませんが、ただいま手元に資料を持ち合わせておりません。

○薮仲分科員

 厚生省のかわりに言いますから、数字が間違ったら言ってください。総数が四千六百十三万一千八百四十三回、間違いないでしょう、管理官からいただいた資料ですから、間違いない。その中で総義歯の数四万五百九十なのです。これはパーセントで出しますと〇・八%です。一%いってないのです。四千六百万回あって四万回しか保険請求の中に載ってきてないのです。

 冒頭に保険で総義歯ができるとおっしゃったのですけれども、現状においてはそれができないのですよ。では、総義歯の修理は一体どのくらいか。九千五百四十回、こういう回数なのです。これはパーセントでいきますと〇・〇二%なのです。入れ歯のぐあいが悪いな、歯医者さんに行こう。点数に換算されてない、点数に掲上してないということもあるかもしれません。私が今まで毎回総義歯の問題をいろいろ資料を集めてやると、いつも厚生省は納得しませんから、今度は厚生省からいただいた資料で、いかに歯科医師が〇・八%しか診療しないか、なぜこういう事態になったかをお話ししておきたいと思うのです。

 大臣、これは知っておいていただきたいのですよ。これは歴代の大臣に言っているのです。渡辺大臣にも言いましたし、亡くなられた園田大臣にも言いました。園田先生は歯科の出身ですからよくわかってくださった。でも、まだまだ改善されておらないのです。私は改善していかなければならないと思うから申し上げるのですが、厚生省の資料が大臣と局長には渡っているそうですから、局長、ちょっと答えてください。数だけで結構ですから。これは簡単に数字でやるものですから。金額だけ言いますと、個人の歯科診療所の年間の平均収入は大体幾らですか。

○幸田政府委員

 昭和五十六年十月の医療経済実態調査によりますと、個人立の歯科診療所の平均収入は四千九百八十五万円でございます。

○薮仲分科員

 あと、まとめて言いますが、間違っているか間違ってないかだけ言ってください。厚生省の資料おありでしょうからおわかりだと思います。

 経費率と申告所得を足しますと九四・一%、それから一年間の実働日数二百七十五日、これは間違いございませんね。

○幸田政府委員

 経費率と申告所得を足しまして九四・一%、それから年間の実働日数、いずれもそのとおりでございます。

○薮仲分科員

 上下の入れ歯に要する時間、これも医科歯科大学、日本歯科大学、東京歯科大学でやった平均時間が出ています。二百十五分。それから材料代、保険点数でできるのが四百八十六点、これも間違いがないと思いますので、時間がないので、厚生省資料がいっているから、これはこのままでよろしいと思いますので、やらしてください。

 この割り算も、大臣、そこに載っていると思います。今申し上げた四千九百八十五万という収入の中の経費率と申告所得の合算でいきますと九四・一になるわけです。それを掛けまして、お医者さんの収入がそれだけですよということですね。それを一年間、御指摘のように二百七十五日で割りますと、一日当たりの金額が出てくるわけです。一日八時間労働として八で割りますと、一時間当たりが出てきます。それを一分当たりに直すために六十で割ります。そうすると、一分当たり大体三百五十五円三十七銭、こうなりますけれども、この金額はよろしいですか、局長さん。

○幸田政府委員

 お話しのとおりでございます。

○薮仲分科員

 これに大臣、所要時間の二百十五分を掛けるわけです。そうすると、七万六千四百四円という金額が出るわけです。

 この点、局長、間違いございませんか。

○幸田政府委員

 先生の前提に立ちまして計算いたしますと、そのとおりでございます。

○薮仲分科員

 今、総義歯の保険で請求できます最高金額は幾らでしょう。最も難しいと言われるものは幾らになりますか。

○幸田政府委員

 四千七百十六点、一点十円でございますから、四万七千百六十円でございます。

○薮仲分科員

 今ざっと計算しますと、七万六千円、保険点数が四万七千何がしですね。ここだけでももう二万以上赤字になっているわけです。私の手元にある資料等でやりましても、大体保険診療というのは七万円、八万円、九万円とかかるわけです。

 アメリカ、西ドイツ等々における総義歯のいわゆる保険点数はどのくらいかかっているか、これはおわかりだと思いますけれども、局長は資料をお持ちですか。

○幸田政府委員

 アメリカで申し上げますと、日本円に直しまして片側だけで八万六千二百五十円でございますから、両方、二倍をいたしますと十七万円余になります。西ドイツの場合は片側で五万六千百八十五円、これの二倍ということになるわけでございます。

○薮仲分科員

 今、総義歯の海外の例とそれからいま一つの数式を出しますと、海外では十六万、十万。ざっと歯科医師がどれくらいかなという単純計算でいつでも七万六千円、八万近く入れ歯はかかるのに、実際の保険点数では四万七千円何がしかしかもらえない。こうなりますと、今現場の臨床の先生方が一番問題にしていらっしゃるのは、私の医院ではあの先生は総入れ歯がうまいですよと言われることについてはじくじたるものがございます、入れてあげたい、治してあげたい、でも大変な不採算になるので、どうしても保険ではできませんと言わざるを得ない部分がございます。今、保険でできる件数をお示ししましたように、総義歯のパーセントは〇・八%、それが今保険の現状でございます。私は、保険医全体の診療報酬の中で勘案すればいいことだということは十分承知の上で申し上げているわけでございますが、実際これから高齢化社会になっていって、このような状態で推移するということは非常に問題ではなかろうかと思うわけです。

 それと、大臣、この際ですからもう一点御指摘申し上げますと、大臣のお口の中にも鋳造冠といって冠がかぶっていると思います。全部鋳造冠というのがあるのですね。がしゃんと全部大臼歯なんかにかけるわけでございますけれども、これも今と同じような数値で計算をした資料が大臣のお手元にあろうかと思います。これで計算しましても、鋳造冠も同じように保険点数では赤字になります。今と同じようにこれを計算するとどうなるか。簡単に言いますと、分当たりの三百五十五円三十七銭掛ける全部鋳造冠は時間が百分でございますから、三万五千五百三十七円かかるということになっています。

 これは保険で請求できるのは幾らでしょう。大臼歯全部鋳造冠です。

○幸田政府委員

 およその数字でございますが、八千円程度でございます。

○薮仲分科員

 資料がなくてお困りでしょう。もうちょっと高いと思いますけれども、いずれにしても似たような金額でございまして、全部鋳造冠を歯にかぶせるということで金銀パラジウムを使った場合に、やはり歯科医師にとっては心の痛む問題で、不採算の大きな課題でございます。どうか大臣が厚生大臣であるときに歯科診療全体のあり方の中で総義歯、そして鋳造冠のあり方に心を置いて今後解決策を図っていただきたい、これはお願いいたしておきます。

 それから、時間がないので駆け足で行かざるを得ないのですが、今度の点数改正について私はある面では評価もし、ある面ではいろいろと申し上げたいこともございますが、きょうはそれをやめておきます。

 ただ、私はこの点は非常に大事だと思いますので申し上げておきますけれども、まじめな先生が今度の点数改正で一番困ったのは、二十六年間にわたって厚生省の指導の中で保険医療というものが確立してまいりまして、その中で、再診時基本診療料という項目を入れるために幾つかの項目が丸められるという形になりました。大臣も御承知のように、歯科治療の中で大きなものは四つ言われております。口唇、口腔粘膜疾患の処置、齲蝕疾患、いわゆる虫歯の治療があります。それから歯周疾患、歯茎の治療がございます。顎骨疾患、いわゆる骨の病気があります。これが四大疾患といいますか、処置、手術を要する場合もございますし、重要な処置でございます。この中で、今度再診時基本診療料というものがセットされることによって口唇、口腔粘膜疾患というものが丸められました。項目の削除ということで消えたわけでございますけれども、この件について私は希望しておきます。

 確かに再診時基本診療料を医科の中表に並べるようにするということでこの再診時基本診療料の考え方を置かれたことはわかりますけれども、大臣も御承知のWHO、世界保健機関の国際疾病分類、ここの中ではっきりこの口唇、口腔粘膜疾患というものが疾病として取り上げられております。また「歯科臨床概論」という本を見ましても、口唇、口腔粘膜疾患というのは一つの病気として挙げられております。歯科衛生士が衛生士としての勉強をする教本の中にも重要な項目として載っておるわけでございます。ですから、項目の削除になっておりますけれども、今後国民がこういう治療を受けられるためにもやはり重要な処置として、悪いことを言えば点数に入ってないからやらないよということは絶対許されない行為でございますが、我々国民の側、患者の側からいいますと、重要な処置は初診時も再診時もきちっとやっていただくというようなことをこの青本の改定のときには載せていただきたい、こう思いますが、局長、簡単にお答えください。

○幸田政府委員

 今回の再診時基本診療料の新設に伴いまして口腔単位の処置等は包括をするということで今御指摘のようなことをやったわけでございますが、お話しのありました点については今後十分に検討をいたしたいと思います。

○薮仲分科員

 どうか国民の歯科疾患を健全にするために誤りないようお願いいたしておきます。

 それから、今度の点数改正の中で歯周病を入れられた。これは私は非常に喜ばしいと思います。というのは、亡くなられた木下四郎先生、東京医科歯科大学の教授でございましたし、日本歯周病学会の専務理事でございましたが、私はこの先生からお手紙をいただきました。私が国会で質問したときの、こういう手紙です。

  私は東京医科歯科大学歯学部にて歯周病学を担当し、あわせて日本歯周病学会の専務理事を昭和五十五年来つとめております。

 かねがね、健康保険制度との関連のうえで、国民の健康の維持、口腔保健の増進および口腔の諸疾病の適正処置等につき、大学教授としてあるいは専門学会として種々考慮してまいりました。しかしながら医科・歯科のいずれの領域を問わず現実には、制度や財政にしぼられ、日進月歩の学問の進歩に実地医療が遅れがちでありますことは、先生におかれましてもすでに御承知のことと思います。

 昨年、日本歯周病学会の委員ともども「歯周疾患治療指針」をまとめましたことも、このような現実の姿に対する我々の焦慮の現われてもありますとともに、国民の誰もが他の物にはかえ難い自分自身の歯を生涯機能させて、健康な生活を維持できることを衷心より望むからであります。これは教授の名誉のためにちょっと読ませていただきましたけれども、この木下先生の保険診療の中に歯周疾患を入れてほしいという念願がどうやら今度は採用されたようで、亡くなられた先生も非常に喜んでいらっしゃるんじゃないか、こう思うわけでございます。

 ところが、この中で、きょうは時間がないので確認の点だけちょっとお答えいただきたいのですが、この歯周疾患の治療の仕方に治療計画書をつくった場合と治療計画のない場合がございまして、特に治療計画のない場合の治療の中で、手術をするまでに三カ月間様子を見なさいという部分がございますが、三カ月間を経ないで手術することも今後出てくるんじゃないかということが考慮されます。また、この従来のやり方が、点数改正の中で逆に点数が少なくなって治療しにくいということがあってはいけないと思いますが、この点もごく簡単にお答えください。

○幸田政府委員

 ただいま御指摘のとおり、今回の医療費改定で歯周疾患につきまして新たに治療計画という考え方を導入いたしたわけでございますけれども、この治療計画書に基づく治療ということを重視するという考え方を今回初めて導入したばかりでございますので、この実績なり実情というものをもう少し見極めました上で先生御指摘の問題については対処してまいりたいと考えております。

○薮仲分科員

 今、総義歯と歯周病をやったのですが、大臣に一つだけお答えいただきたいのは、この総義歯の不採算です。やはり重要な課題だと思いますので、今後高齢化社会に向かって厚生省として対策を考えていただきたいと思いますけれども、大臣のお答えをここでお伺いしておきたい。

○増岡国務大臣

 先ほど先生がおっしゃいましたような、人間が健康を維持し、しかもその人生の喜びの大半を歯が持っておるわけでございますから、今度の診療報酬改定に当たりましてもできるだけ医療機関の健全な経営をもとにして良質な医療を確保するという観点から考えたわけでございます。

 個々の問題につきまして、採算性の非常に悪い部分があるという御指摘でございましたけれども、これは一応中医協において合意の形でなされたわけでございますので、今後とも技術料の適正評価等については検討してまいりたいと思います。

○薮仲分科員

 では最後に、歯科材料の安全性について質問しておきたいと思います。

 歯科材料の中で私は特にニッケルクロムを取り上げて、これがJIS規格の中での物性検査だけで歯科材料として導入されるようなことは危険である、やはり物性のほかに毒性等の専門家も交えて、JISの専門委員の中にもそういうグループをつくりなさいということを指摘しましたし、現在導入されておりますニッケルクロムの鋳造冠の品質基準というものは明確でございません。品質基準をきちんとしませんと、これは特にベリリウムによって発がん性の問題が指摘されておりますので、安全基準について厚生省はどういう結論を出されたか、それをお伺いしたい。

 それから、歯科材料全般にわたって安全性を確保する意味で、歯科材料研究所のようなものをつくったらどうかということを指摘しておきましたけれども、これにどう対応なさったか。

 それから、最近特に新素材が出てまいります。歯科材料としていわゆる人工歯根等が出てまいります。こういうものに対しての厚生省の考え方。また、医療の安全の確保のために、医療用具のモニター制度を確保してはどうかということもお話ししました。以上の点について、簡単で結構ですからお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

○小林(功)政府委員

 既に、先生からたびたびこの問題について御指摘をいただいておるのは承知しております。

 まず、鋳造用ニッケルクロム合金の安全性の問題でございますが、既に薬事審議会に諮りまして、溶出試験法を初めとする承認基準の作成作業を進めております。これは近々結論が出る予定であります。

 それから、JISの関係でございますが、確かに安全性を一層高める必要がございますので、昨年新たに、歯科材料のJIS専門委員会のメンバーに安全性評価の専門家を加えましてJIS規格の充実を図ることにしております。

 それから研究機関につきましては、率直に申しまして、現在の財政事晴や行政簡素化の波ということで新しい機関をつくることは極めて困難でございます。ただ、そうはいいましても、この点につきましては大変重要な問題でございますので、私どもといたしましては国立衛生試験所の療品部と安全性生物試験研究センター毒性部がタイアップして研究を進めるということをやっておりますし、また、あわせまして厚生省所管の財団法人であります食品薬品安全センターというのがございますが、この協力を得て研究を進めることにしております。

 それからさらに、新しい材料の問題でございます。歯科の歯根のような新しい材料につきましては確かに問題がございますが、これは既に先生御指摘のようなことをやっております。安全性確保の観点から、動物試験と臨床データ等を添付しまして中央薬事審議会で慎重に審議しております。つまり医薬品の場合に準じて取り扱っているということでございます。

 それから、副作用のモニターでございますが、これは五十四年の薬事法改正で、製造業者等に重篤または未知の副作用情報があった場合には報告しろということを義務づけております。これは先生御承知のとおりでございます。さらに、昨年十一月から全国の大学附属病院それから国立病院をモニター施設とする医療用モニター制度を新たに発足させました。これによりまして歯科材料等に係る副作用情報の収集に努めて今後の対策に生かしたい、こういう考えでございます。

○薮仲分科員

 終わります。

○山下主査

 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。


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Last-modified: 2008-05-21 (水) 08:21:23 (3230d)