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不正請求についての国会質疑

第150回国会 厚生委員会 第8号
平成十二年十月三十一日(火曜日)
阿部知子

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000815020001031008.htm


参考人
(健康保険組合連合会常務理事)
対馬忠明

参考人
(日本労働組合総連合会政策グループ長)
村上忠行

参考人
(全国市長会介護保険対策特別委員会委員長)
(大阪府守口市長)
 喜多洋三

参考人
(全国保険医団体連合会副会長)
室生昇


○遠藤委員長

 次に、阿部知子さん。

○阿部委員

 社会民主党の阿部知子と申します。

 まず、私ども社会民主党は、今回の御高齢者の一割負担を含む保険法の改悪に基本的に反対いたしまして、また、抜本改悪、どなたも御指摘ですが、まずそのことから手をつけるべきだという立場から御質問をいたします。

 そして、一言申し添えますれば、現在、もしも一割負担、みんな苦しい、だから一割負担だというお話も先ほど来ございますが、このことを導入することが、かえってこれから検討されます高齢者医療制度に悪い影を落とすのではないかという点を危惧する立場からの質問をいたします。

 まず、対馬健保連合の代表にお伺いいたします。

 各医療分野、これからの医療の財政改善に向けて努力が必要とされる分野だと思いますが、とりわけ健保組合、支払い側に立ちました場合に、現在、日本で行われております不正請求という問題について、支払い側の健保連合としてどのようなキャッチのアンテナをお持ちか、また、そうしたことをキャッチした場合に、どのくらいの財政の削減につながるとお考えかという点を、まず対馬さんにお伺いいたします。

○対馬参考人

 不正請求の問題ですけれども、健保組合は必ずレセプトをチェックすることになっております。レセプトの審査で、ただ、健保組合がやっていますのは書面審査なんですね。ですから、こういった病名に対してこういった薬が使われているけれども、この病名にこの薬は要らないではないかといった審査をするわけですね。

 したがいまして、例えばお医者さんの方が過剰に請求して、この病気にこの薬は適合はするのだけれども、使っていないけれどもとか、ないしは少し多目に請求したというのは、なかなかチェックするのは難しいというのが今の実態となっていますね。ただ、私ども健保連が、支払基金でやる一次審査を含めてですけれども、年間、不正請求、過剰請求、不当請求、そういったものを合わせまして、千数百億円のチェックをして、その節減を図っております。したがいまして、決して少ない金額ではないというふうに思います。

○阿部委員

 引き続いて、同じ質問を村上参考人にもさせていただきますが、私ども社民党、さきに申し述べました医療の抜本改革に向けて、医療薬剤費の問題、高い医療材料費の問題、反復検査の問題等々ある中で、特にカルテ開示、レセプト請求等の運動が、この不正請求とも絡めて非常に現在の医療費のむだを現時点で削減していくのではないかという立場をとっております。

 そして、連合の運動が、全体にそういう不正請求抑制のためにも、カルテ開示を一生懸命お進めでございますが、先ほどの健保連の対馬さんの御発言ですと、私どもは書類を審査するだけなので、その中身の不正請求はなかなかわからないのですよとおっしゃっていましたが、今、連合の進めていられるカルテ開示、レセプト開示の運動と合わせました場合に、どのような成果あるいは医療費の削減が見込まれるとお考えでしょうか。

○村上参考人

 お答えを申します。

 私は、保険者機能の問題が先ほど出ておりましたけれども、保険者機能というのはいろいろな機能があろうかと思いますが、御質問のように、レセプト開示とか、それに対するいろいろな不正請求をチェックするとか、これは重要な保険者としての機能だろうと思っていますし、特に申し上げなければいけないのは、保険者はもうちょっとレセプトの審査体制の拡充を図っていただきたい。

 ただ、私に言わせると、支払基金側にも問題があるのではないか。現在、一万円当たり百十円ぐらい保険者が払っていると思いますが、そのうち九十円程度がレセプトの審査費用に充てられておるというふうに伺っておりますけれども、我々が思いますに、なかなかそこでの審査が十分行われていない。

 そういうことから、いわゆる書き屋さんとか削り屋さんとか、わけのわからない用語でございますけれども、書き屋というのはある意味でカルテから不正請求、水増し請求をするお手伝いをする業者、削り屋というのは、回ってきたレセプトで、水増し請求等々不当請求等を見つけて削る、こういう業者の方々は今、大変商売繁盛だそうでございまして、こういう書き屋、削り屋という商売が、いろいろな世界にいろいろな方がおられるのだろうと思いますけれども、医療の世界で横行している、このこと自体、お互いの反省が必要なんだろう。

 やはり医療というのは信頼というのが一番重要な基盤だと思っていますけれども、診療側にもそういうことが、横行するというのは変ですけれども、商売が繁盛するというところにはどこか欠陥があるんだろうということをお互い反省し合って、こういうことがないようにしていかなければいかぬ、それが私どもの目的でございまして、何も悪いお医者さんをあぶり出すとかそういうことではなく、やはり国民とお医者さんとの間の信頼関係を築くために、そういうことのないようにするために、私どもとしては、審査体制をぴしっとして、そのことによっていいお医者さんがいい評価をされる、こういうことをつくりたいがゆえに、我々もそういう運動をやっております。

 特に、三年前から、お医者さんに行ったら領収書をもらおうという運動をやっておりまして、我々の傘下組合の中で、自動車さんとかゼンセンさんが全組合員に対してお医者さんに行ったら領収書をもらおうというカードをそれぞれ配りました。相当反響を呼びました。私どもといたしましても、連合全体で、十月から全組合員に対しまして領収書をもらおうというカードを配付いたしまして、そういう運動を進めておるわけでございます。

 以上でございます。

○阿部委員

 これからの医療に最も求められるものは、先日来私の指摘しております医療供給体制における人員増、医療スタッフ増と、もう一つは、医療の透明性という今、村上参考人も御指摘になった部分だと思います。

 透明性に関して、レセプトあるいはカルテの開示ということが非常に重要な意味を持ちますが、きょうたまたま二つの事例、ともに歯科診療でございますが、御自身の受け取ったレセプトと健康保険組合から送られてきます医療費の通知書の間に大きな違いがあったということで、女性が、自分の歯の治療での不正請求を発見して、ともに数十万円、不正請求されていたという事例、一つは十二年八月三日の朝日新聞、いま一つは私への直接の手紙で参っております。私が思いますのは、健康保険組合も財政はいろいろ苦しゅうございましょうが、やはり保険者としてのチェック機能というのをきちんと働かせていただくべく、アンテナを張る方向性をいま一度検討していただきたいと思います。

 そして、それに際してもでございますが、健康保険を維持していくために健康保険組合としてかかっております事務費というのは一体、どのような額でございますのか、その点についてもお尋ねをいたします。

 対馬参考人にお願いいたします。

○対馬参考人

 アンテナを高く張っていただきたいということは、そのとおりだと思います。私どもとしても鋭意努力していますし、先ほど連合の方からも領収書をもらおう運動をやるというお話がありましたけれども、私どもも健保ニュース等々でPRもしていますし、また、健保組合によっては連合と連名でやるということもやっているところもございます。

 それで、事務費のお話ですけれども、健保連全体としては、全体の二・数%程度で、私ども新日鉄健保でいいますと、全体の診療に占める比率が一・九か二・〇か、大体その程度ですね。ですから、決してそれは事務費に多額を使っているのではないかということではないのではないかと私自身は思っておりますけれども。

○阿部委員

 ただいまのような御質問をいたしましたのは、毎月健保組合から送られてくる、医療にどれくらいかかったかという、ああした通知は、レセプトがきっちり各患者さんに手渡されるようになれば、あるいは必要がないのかもしれない、その部分も削減されるのかもしれないという患者さんからの声の一端でしたので、あわせて御勘案くださいませ。何せ患者負担を増す前に、削れるところは削るというのが大体家計の原則でございます。

 引き続いて、守口市長の喜多さんにお伺いいたします。

 大変厳しい地方財政のやりくり、御苦労さまでございます。国民健康保険にかかわりまして、現在、守口市での国保未収金というのは一体どのくらいございますでしょうか。

○喜多参考人

 累積をいたしまして、約十四億円ほどございます。

○阿部委員  その主なものが、先ほど市長から御提示がありましたように、さまざまな無収入層等々、大変にお支払いが苦しくなっている層と思います。下世話なことを伺いますが、その十四億という未収金のうち、努力で改善すべきものはどのくらいおありでしょうか。

○喜多参考人

 分析は非常に難しゅうございますが、払えないということで滞納している分を全部取る必要はあると思います。公平の原則からいけば、滞納分は全額徴収してくる必要があるのではないか、このように思います。それからいきますと、十四億のうち、約半分強はその部分に該当するのではないか、このように思います。

○阿部委員

 ただいまの質問は、これからの介護保険料の徴収とも相まって、取ろうと思っても現実にお支払いがままならない、ないしは徴収できないということも大きく影響すると思いますので、青写真を描いても、現実にそれをお支払いになる側の諸般の状況等々ございますから、なお、私どもといたしましては、現在の高齢者の実態分析ということを、これは津島厚生大臣にもお願いいたしましたが、守口市長の方からも、一番市民に近いお立場から、高齢者層の払えない実態分析についても、あわせてまた私どもに教えていただければと思います。

 最後に、室生保団連副会長にお伺いいたしますが、私はさっき歯科診療の不正請求のことを問題にいたしましたが、不正請求の中でも、とりわけ歯科はその比率が高うございます。幾つかの理由が考えられますが、自費診療と保険診療という二重構造をとっておりまして、そのあたりにも大変患者さんにはわかりにくくなっている現状があるように思いますが、そのあたり、保団連の副会長としての御見解をお願いいたします。

○室生参考人

 今御指摘のように、歯科診療では自由診療と保険診療とが非常に複雑な形で混在しておりまして、医療機関の院長あるいは事務方の方もその辺の請求での難しさ、煩雑さのために過ってそのような請求をされる方もございましょう。

 ただ、意識的に水増し請求とか法に抵触する不正は絶対許せませんから、こういうことは我々としては当然戒めて、今御指摘になりましたような不正請求というものは、我々医療界の中でも極めて少数の部分でありますし、その中でも特に悪質と申しますか、意識的な例は非常に少ないのではなかろうかと思っております。

 さらにつけ加えますならば、今特定医療費制度というのができておりまして、歯科だけではなくて、医科の部分にもそういう差額徴収部分がたくさんございます。材料の問題もございますし、入院の場合の差額徴収もございます。だから、その辺での問題点を解決する必要も一つあろうかと思いますが、その特定医療部分というのがどんどんふえてきておるということが、事務処理の仕方においての煩雑を起こし、間違いを起こす原因にもなっておろうかと思います。できる限り健康保険においてすべてが、医療が保障されるようにすべきだと思っております。

 それから、さらに申し上げますならば、患者さんに対するレセプトの提示につきましても、これは医療のオープン化という意味でも非常に重要なことでございますし、我々としても積極的に思っております。現在の医療制度の中でも、薬剤の情報提供というのは保険制度でも認められておりまして、それなりの診療報酬も出ておるわけでございまして、積極的に行っておる医療機関は多くございます。

 ただ、そういうことにかかる事務費あるいは診療情報提供にかかわるいろいろな諸経費に対する保障が非常に少ないために、十分それができない。そのために患者さんに御迷惑をかけておる面も多々あるかと思いますし、そういう点では、その辺での保障を一つは十分国の方でもお考え願いたいと思っております。

 以上であります。

○阿部委員

 以上で終わらせていただきますが、なお、患者の一割負担を求める前に、各医療分野にかかわる皆さんと御一緒に医療費の削減という問題に努力していきたいと思います。

 ありがとうございました。


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Last-modified: 2008-07-17 (木) 12:09:04 (3175d)