Top / 補綴物維持管理料導入時の国会質疑




補管の減点、消滅が予測される状況になっていますが、この補管は平成8年に導入されています。

その導入時の厚生委員会議事録からの抜粋です。

第136回国会 厚生委員会 第11号

平成八年四月二十六日(金曜日)

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/136/1210/13604261210011c.html


○木暮山人君

今回の診療報酬改定で、歯科において補綴物の維持管理料が新設されました。これはどんなことかというと、二年間の歯科補綴物の保障を条件に、これを選択して県に届け出た医療機関は維持管理料としてこれまでの点数に上乗せして算定できる、一方、これを選択しない医療機関が二年以内につくり直した場合は診療報酬は三割軽減するというような制度であります。

 これはやる人間を何かこう欲と得でひとつ釣ってやろうと、一本釣りのような大変歯切れの悪い制度でもあるし、そして、どうしてこんなことをしなきゃならないのか。既に契約してあるものに対してその責任を再確認しようと、そのする方法としてはうまうましたみたいなお話をなさるわけです。しかし、高齢化社会になりますと、歯周疾患で歯の土台になるのがだめになってしまうケースも出てくるわけであります。どんなにきちんと入れ歯をつくりましても、歯科医師の責任だけで維持できるものではありません。

 今回の措置は、見かけ二・二%アップ、実質ゼロ改定の診療報酬の財源探しのための苦肉の策ともとられるわけですが、制度新設の背景、財政効果についてお伺いするとともに、保障期間がなぜ二年なのか、二年間で壊れる補綴物の割合がどれぐらいなのか、厚生省はどんな認識をしているか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。

○政府委員(岡光序治君)

 今回の改定で御指摘のような補綴物維持管理料を新設しましたが 、その新設の背景についてまず御説明を申し上げます。

 冠とかブリッジにつきましては、せっかく装着をするわけでございますので、それをいわば長もちをさせたい、長くうまく使っていただきたい、こういう気持ちがあるわけでございまして、そういう意味でそういう工夫をしていただくという点に着目をして、その部分につきまして高い評価を加えようじゃないかというのが背景でございます。

 こういったものを取り入れた場合の財政的な効果という御質問でございましたが、これはそれを選択するかどうかというのがまず医療機関の選択になっておりまして、どれだけこのような点数を採用されるか実は割合がわかっておりません。それから、二年以内のつくり直しの頻度がどういうふうになっていくのか、これについても実は把握できておりませんので具体的な財政効果の計算はしかねております。

 それでもう一点、二年以内にというふうに期間を設定したことについてどういう背景があるのかということでございますが、これは私ども、いろんな学者先生とか研究がありますのでそれで見てみますと、物によって違いますけれども、大体こういった冠とかブリッジは平均で六年ないしは九年くらい壊れないで維持されておるというのがいろんな先生方の研究結果からうかがい知れる状況でございます。

 そういうことでございますが、まちまちでございますので、したがいまして少なくとも二年というぐらいの期間はそれが維持されてほしいと、こういう思いがしますのと、もう一つ、これは補強的な発想でございますが、歯科の技工指示書、こういった関係書類はとりあえず三年間保存しておいてくださいということでございますので、どういう指示をしてこういう装着物ができたかということをチェックできるのは三年以内ということになりますので、そんなことを総合勘案いたしまして二年というふうな期間を設定したわけでございます。

 もう一点、その二年以内に壊れているのはどんな状況かということでございますが、これも特定の大学での調査から得た資料でございますが、多く見積もって二年以内に壊れる割合は全体の一五%程度じゃないかという一つの調査がございます。この辺もこういったものを採用された実態を見た上でもう一回具体的にはチェックをしたいと考えております。

○木暮山人君

 今は厚生行政のスタンスを見ていただこうと思って質問しているわけでございますけれども、平均六年、九年もつものはそれでいいじゃないですか。それを加算して二年以内に壊れたときはこうなんだよなんて、こんないいかげんなことをなさらなくてもいいんじゃないかと思うのでございますけれども、いややってみるんだとおっしゃれば、それで六年後また、今の局長がおやりになっているかわかりませんけれども、次の人が今の厚生大臣みたいにいろいろとまた質問されたりするんじゃないかと思うんですが、私はそういう意味ではちゃんと議事録を全部そろえて持ってきておるわけです、きょうは。

以下は同じ議事録にあるもの。 非常に長いので、チラッと見て興味なければ飛ばしてください。 指導・監査についてです。

○木暮山人君

それはそれとしまして、いわゆる保険医、要するに医療を担当する側でありますね、この担当する保険医療機関等保険医に対する指導、監査についてお伺いしたいと思うのであります。  我が国の医療制度は、自由主義経済を基盤とする自由開業制度と国民皆保険制度という性格の相反する二つの制度を基盤にして成り立っております。医療保険制度のもとで、国は医療機関と保険医本人を指定し、民間の機関も個人も国の管理下に繰り入れる二重指定方式を採用しております。さらに、医療保険の内容は、診療報酬という価格統制のもとで医療を規格化し、標準化した現物給付となっております。

 さらに、医療機関、医師、歯科医師に対する指導、監査を強める中で、歯科の医療保険においてはかつて、御存じのように、水野旋風といいまして、これにたたかれて十何人かの方が自殺しております。これはなさった方が全部悪いわけでもありません。強硬な厚生省の態度、これが非常に影響したわけであります。これは昭和二十七、八年の話でありますけれども、それによって国民皆保険制度が成り立ってきているわけであります。また、その後、上杉事件に代表される幾つかの不幸な事件が起こりました。本委員会においても、先般、愛媛の事件が同僚委員より取り上げられましたが、指導、監査による不幸な事件は、自殺として公表されていないものを含め、私の承知している範囲でもまだ数件あります。

   〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕

 そこで、過去五年の個別指導、監査件数についてまずお尋ねします。さらに、個別指導あるいは監査の呼び出しを受けながらこれを欠席した者の数、個別指導、監査の呼び出しを受けた後、自殺を含めた死亡もしくは医療機関を閉鎖した事例についてどの程度把握しておられるか、お伺いしたいと思います。

○政府委員(岡光序治君)

 個別指導の過去五年間の実績でございますが、平成二年度から六年度までの合計は三万五千九百件、年平均で約七千二百件でございます。それから、監査につきましては、二年度から六年度までの合計は二百二十件、年間の平均件数が約四十五件でございます。

 それから、個別指導を欠席するという事例があるかということでございますが、病気だとかいろんな理由で欠席をなさっても、その後そういう病状の回復を待つなど当該の医療機関と調整をいたしまして、予定している個別指導の対象についてはすべて実施をしております。

 それから、不幸な事例はどのぐらいかということでございますが、過去五年間で四例となっております。これにつきましては、医師のケースが二ケース、それから歯科医師のケースが二ケースというふうに把握をしております。歯科のケースで申し上げますと、共同指導をする三週間前に亡くなられたというのが一つ、それから共同指導の前日に亡くなられたというケースがもう一例でございます。  それから、この指導、監査の結果、どういう状況になっておるかということでございますが、監査が、先ほど申し上げましたように、五年間で二百二十件でございますが、そのうち保険医療機関の取り消しを行いましたものは九十八件でございます。

○木暮山人君

 私の知っている中でも、これは歯医者だけでも二件では済んでいないですね。北海道で一件あります。これは御存じですか、北海道の件は。それで福井県の件も御存じですか。三重県の件は御存じですね。それと愛媛県。まだ枚挙にいとまなく幾らでもあります。

 欠席はだれもなさらないと先ほどおっしゃったけれども、前日に自殺していたらだれが出てくるんですか。当然欠席しているわけですよ。

 ところで、こういうようなことがなぜ起きるか、それをどんな認識でいるか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○政府委員(岡光序治君)

 愛媛県のケースで私ども申し上げたいと思いますが、愛媛県のケースは、個別指導の前の日に自殺をされたケースでございます。愛媛県を通じて確認をいたしましたのですが、指導との関連性については必ずしも明らかとなっておらないということでございます。

 もう少し突っ込んでいろいろ聞きましたら、指導を受けるに当たって県の歯科医師会等から、こういう格好で指導を受けなさい、こんな質問が恐らくあるだろうからそれについては十分準備をしておきなさい、こういうふうな趣旨のそれこそ事前の対応ぶりについて関係者からいろいろアドバイスを受けられたようでございまして、恐らくそういったことが大きなプレッシャーになってそういう不幸な事件につながっていったのではないだろうか、こんなふうに認識をしております。

 私ども、指導そのものにつきましては、監査ではございませんので、保険のシステムをよく御理解いただいて、その約束事に従って保険診療を行っていただきたい、こういう趣旨でいわば教育的なことを優先して考えているわけでございまして、あくまでも懇切丁寧に行うということが基本方向でございます。

○木暮山人君

 どうも御苦労さまです。

 局長は、口をお開きになれば指導のモットーは懇切丁寧だと言われております。懇切丁寧で自殺者が出るわけはありません。

 現場では大変な陣立てで指導、監査が行われております。その会場に指名されて出る場合は何か法廷に出るような感じで、厚生省関係の保険課の方、それから県の保険課、それとそれに関する人たちが大勢集まって一人に対していろんな質問をするわけです。また、ひどいときは机をたたいて怒りつける。そうやって指導される方が、これは経験が豊富で、何か基準があってそういう行政の権限まで持っているのかということになると、そこまではないんじゃないか。

 それでまた、そういう指定を受ける場合のシステムが物すごく狂っていると思う。それはどういうことかというと、県からまず医師会、歯科医師会に、ことしは何人ぐらいあなたの方で指導、監査しますよと。それから、その中から今度県の方から、はい、じゃこの方たちはいかがなものでしょうと出すわけです。そんな事実は御存じないと思いますけれども。

 そうしますとどういうことになるかというと、いろんな悪弊が生じてくる。そんな悪弊の中でこの国民皆保険が本当に国民に対して濃密な、高度な医療を施していけるかといったら、私はこれはなかなか施していけないと思いましてこういう問題を表向きに今出してみたわけでありますが、きょうはこれをやるのには時間が三十分や四十分じゃとても間に合いませんもので、そういうスタンスを厚生省の方ではひとつ十分お考えになって、今、四月の大綱ももう一度ちょっと見直されたらよろしいんじゃないかと思う。

 ということは、今の医療保険というものは請負制ではありません。出来高払いです。それで約束事です。それで、今度保険の医療費の予算がこれぐらいことしはできたよというと、本当はこれは厚生省でちゃんと点数を定めるべきだと思うんですよ。それをつかみ取りみたいに、各担当のグループに、おまえの方は二・二%予算上げたのに、勝手にしなさいよと。そんな二・二%というけれども、頻度の余計なものと頻度の少ないものがありまして、頻度の余計なものだけで計算したら二・二%だけれども、それは余り必要のないような点数の上げ方で、本当に必要なものについて保険点数は逆に下がったりしています。これは厚生省がどうやって上げているか下げているか、中央医療協議会も私はわからないと思いますよ。しかし、今のシステムがそうなってきているからそれでいいんだとおっしゃれば、それで私はいいと思いますけれども。

 そこら辺を厚生省として今度の体系の中でもいわゆる出来高払いの最高の一〇%を監査とか指導の対象にするというような意向を持っているということは、これは萎縮診療をさせる。日本の医療というのはもうこれ以上伸びない。それを抑制して今の延命治療を抑えるならそれでいい。しかし、今の延命治療そのものはいわゆる脳外科、これが脳の移植ができないということになれば、脳のいわゆる生命だけの人生になると思う。肝臓とか腎臓を幾ら取りかえていっても、脳を取りかえることはできないでしょう、今から。そうしますと、そこら辺で延命治療を今まで厚生省が放任してきた、いわゆる国民皆保険の一番大事なところを放任してきた結果が、あと五年か十年たつと大変な問題になってくると私は思います。

 そういう意味では、それを今から逆に予算だけで抑える、一番上の請求高の高い一〇%を指導、監査の対象にするなんということを細々今度の新しい大綱で書いてあるということは、これはちょっと考えなきゃならないと思うんですけれども、そこら辺のお考えをお示し願いたいと思います。

○政府委員(岡光序治君)

 指導に当たりましては、先生御指摘がありましたような恣意性が入っては困りますので、したがいまして客観基準としてレセプト一件当たりの点数を基準に考えたいと思っております。

 それから、恣意性排除のためには、どの医療機関を指導対象にするか、その選定委員会を設けまして対応したいと考えております。しかも、そういった点数につきまして、非常に高点数であるというのが合理的な理由で高点数な状況につきましては、それは指導から外すということも考えておりまして、私ども考えておりますことは、むだな医療を排除して、かつ良質な医療を効率よく確保するという観点からそういう指導を行うという考え方でございます。

 なお、診療報酬につきましては、そのときの医療機関の経営状況、それから国全体の経済の状況、これは国民負担の関係でございますので、そういったものを総合勘案いたしまして、とりあえずどれだけトータルとして補えばよろしいのかという発想で診療報酬改定のトータルの対応について判断をしてもらうわけでございます。そして、そのトータルの判断の中でどの部分に配分をしていくのかというのは、個別の点数につきまして最も必要なところにその配分を決めていく。そして、結果といたしましていわば各診療科がバランスよく、今申し上げましたような良質な医療を効率よく供給できるようなそういう体制になるようにということで改定をやっているつもりでございます。

 その改定の考え方もまた医療機関の関係の皆様方によくよく御理解をいただきまして、その約束事にのっとって適切に医療をやっていただく、こういうことで相協力をしていい国民医療を確保したい、こういう考え方でございます。

○木暮山人

君 まことに結構なことでございまして、そのように実際なるようにひとつお願いしたいと思います。

 もう一つ指導、監査の問題で、指導医療官の資格というものを国がどのように定めているのか、ひとつお答え願いたいと思います。

○政府委員(岡光序治君)

 私どもは、指導医療官につきましては臨床経験、それから人格、識見、こういったものがちゃんと一定のレベルに達しているようにという観点から選んでいるところでございます。

 といいますのは、保険医療機関に対する指導でございますので、その診療内容の適否など医学的な専門事項について判断を必要としますので、そういう意味で臨床経験、それから指導を行うに当たりましてはやはり円満な人格、バランスのとれた性格でないといけないと思いますので、人格、識見、こういったものを一つの判断基準にいたしまして選定をしているところでございます。

○木暮山人君

 最後に、厚生大臣に一言お伺いしたいと思うんです。

 今、局長からの御答弁もありましたが、実際、いわゆる指導医療官は大学を卒業して四、五年ぐらいの方がたくさんおります。それが三十年も四十年も開業している歴戦の勇士を監査、指導するわけであります。このギャップはなかなか大変だと思います。それが現在の状況であります。

 私は、やはりそれはそれなりで結構ですよ、局長の言われるように、人格、識見、学識経験でとおっしゃるならそれでいいのでありますが、そういう規定があるかということは、私は問いたくもありませんけれども、そういうものを含めまして、大臣、日本の今の厚生行政というものは非常に岐路に立っております。謝るだけが能じゃなくて、国家百年の大計を、せっかく大臣におなりになったんですから、ここで示してあげていただきたいと思うんです。みんなうろうろしちゃって歯切れの悪い法律ばかりつくっているんです。水俣病からいろいろ御苦労だと思いますが、今度は内向きにこれから百年はこうやるんだという大き左指針を、日本の国のために、大臣、ひとつお願いしたいと思います。

○国務大臣(菅直人君)

 先日もたしか予算委員会でしたか、阿部先生の方から日本の戦後の平均寿命がどう変化したかというのを提示いただいて、それを見ますと、率直に申し上げて私は日本の厚生行政というのは、その数字はたしか戦後、昭和二十二年から平成七年か六年かの間であったと思いますが、大変な平均寿命の延びでありまして、そういう点では本当に非常に成果を上げてきた厚生行政だったというふうに言っても、それは全くどなたも異存がないのではないかと思うわけです。

 ただ、同時に、成果が上がった中で新しい問題がまさにいろいろと起きてきている。それは、もちろん高齢化という問題もありますけれども、先生の今言われたこの診療報酬のあり方も含めて、今までのままでいいのかどうかという議論は当然あろうかと思っております。私も出来高払いというものの制度について若干以前から関心を持っておりましたけれども、確かにいろいろな矛盾もありますけれども、一方ではこの制度によって、何といいましょうか、いろいろな診療が行われてきて、先ほど申し上げたように、結果として今日のようなほとんどの人が医療保険の中で診療を受けられ、相当の平均寿命を実現したということでは、マイナス面もいろいろ部分的にはあったかと思いますが、トータルとしては私はこの制度もプラス面が多かったというふうに見てもいいのではないかと思っております。

 ただ、今日に至った中で、その中でのいろいろな矛盾点、今、先生からもおっしゃいましたけれども、高ければ必ず悪いかといえばそうではなくて、もちろん中身によっては高度の医療も必要な場面もありますし、また先ほど訪問の場合のこととかいろいろなことも言われましたが、なかなかこの出来高払いだけでは質 的なものの評価が難しいという側面もあるということも承知をいたしております。  そういう中で、とても私に厚生行政すべてについてどうあるべきというところまで言えるだけの力量はありませんけれども、少なくとも今後の二十一世紀に向かっての厚生省のあり方あるいは医療のあり方というものは、従来の成功は成功として、改めてある意味では新しい白紙の上にどういう制度をつくるかというところまで考えるぐらいのつもりで議論をしていく必要があるのではないだろうか。そういう意味では、きょう伺った問題も含めてそういう議論の材料にさせていただきたい、このように考えております。

○木暮山人君

 どうもありがとうございました。  これで質問を終わらせていただきます。





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Last-modified: 2007-12-08 (土) 22:10:03 (3454d)