Top / 145 参議院 国民福祉委員会 3号 平成11年03月15日

○中原爽君
 それでは、お時間のこともありますので早速始めさせていただきます。
 平成九年八月以来、医療保険制度と医療の提供体制の抜本改正につきましては、与党及び政府から改革の基本方針が示されたところであります。また、関係の審議会も改組、転換を図りまして、医療保険福祉審議会が新たに設置された経緯があります。
 この改革の基本というのは四点ございまして、診療報酬体系、それから薬価基準制度、それと医療提供体制と最後に高齢者医療制度、この四点のおのおのについての見直しを行う、こういうことでございました。現在この改革の検討が進められているわけでありますけれども、この四つの改革、見直しというのは個別に独立したものではないわけでありまして、相互に関係があって、いわば同時進行するということが必要であります。
 また、この中で薬価の基準制度につきましては、既に医療保険福祉審議会から平成十年の十月には見直しに関する作業チームの報告書が出されましたし、ことし一月には薬剤給付のあり方についての意見書が取りまとめられたところであります。また、この意見書あるいは取りまとめにつきましては、薬価の基準制度の新たないろいろな試案が提示されたところでありますけれども、その中で薬価改定について薬剤定価・給付基準額制という方式が、いわゆるたたき台ということで特に提示されているわけであります。
 本日は、この薬剤定価・給付基準額制について細かい各論的なことの御質問を申し上げて、相対的にこの方式の概要が浮かんでくればというふうに思っているところであります。  それで、早速ですが、この薬剤定価・給付基準額制ということにつきましては、公的な薬価の基準を決めるという方式についていろいろ説明が加えられております。一つは、同一グループ内の全薬剤に係る医薬品卸の医療機関等への納入価格、すなわち前年の納入価格の加重平均値に消費税率と損耗経費率を掛けるということで算定をする、これが同一グループの全医薬品についてという方式であります。もう一つありまして、個別医薬品について製薬企業の主体的な判断、すなわち企業の届け出価格に基づきまして薬剤の定価の全国一律のものを設定するということであります。要するに、同一グループ内というものと個別薬剤というものについておのおのの価格を市場平均あるいは企業の届け出価格を出しまして、そのどちらかの低い額を基本的に保険の給付にするんだ、こういう御説明でございます。
 それで、この保険の給付基準額を超える部分については患者さんに全額負担をしていただくということでありますし、下回る部分については二割あるいは三割の一部の定率負担をする、こういう方式だそうであります。
 これは、いわゆるドイツ型と言っておりましたこの制度と少し違っておりまして、要は同一グループ内の全医薬品という方式と個別薬剤の方式、この二つを出しまして低い方を給付の基準にしていくということでありますが、この方式について二つの方式のどちらか一方、低額のものを取り入れるということについては何か意味があるのかどうか、それと現在損耗経費率というものが、本来中医協でお決めになることであろうかと思いますが、このあたりの考え方について、簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思います。

○政府委員(羽毛田信吾君)
 薬価制度改革につきましては、先生御指摘のとおり、現在、審議会の意見書をちょうだいいたしまして、これを踏まえまして、与党など関係方面の御意見というものを検討しながら、具体案の作成に向け検討中の段階でございます。したがいまして、そのようなこととして、たたき台としてお示しをしましたものの考え方についても、そういう段階のものとしてお聞き取りを願えればというふうに思います。
 今回、こういったたたき台あるいは意見書が出ました背景といたしましては、やはり現在の、いろいろなゆがみを生じ、また医療費の効率という面からも問題を生じております薬価差、こういったものをできるだけ解消していき、同じような効果のある薬であればその中でできるだけ安いものが選択をされる、それを患者主体の選択によって、患者の意向というものが反映された形での選択という形の中でされていく、そういう制度を目指そうということでのお話でございます。
 具体的に今、委員御指摘ございました意見書の、出す意見として取り上げられました薬剤定価・給付基準額制の考え方は、基本的には個々に設定をされます薬剤定価に基づきまして保険給付を行うわけでありますけれども、やはり臨床上、それによりまして同等の効果がある薬剤のグループごとに給付基準額を設定いたしまして、その給付基準額を上回る薬剤定価のものについては定率負担とは別に患者負担が生じるという格好にいたしております。また、給付基準額以下のものについては、定率負担があることによるある種のコスト意識、またそこに競争というような世界ができるということでありますけれども、給付金額を上回る薬剤定価のものについて定率負担とは別に患者負担が生じるという形になっておりますので、そのことの効果によりまして、同じような効果のあるものであればより安価な使用が促進されるということをねらったものでございます。
 また、今、損耗経費等の状況についてのお尋ねがございました。
 この定価制をあれします場合の流通経費あるいは損耗経費といったようなものにつきましては、御指摘ございましたように、今後の中医協の審議の中で具体的な検討がされるべき事項でございますけれども、現在の状況で申し上げますと、損耗経費率についてはまだ調査というようなものの段階に至っておりません。流通経費につきましては、日本医薬品卸業連合会の調べによりますと約一〇%というような調べができておるところでございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 公定価格を上回る、超えた部分について、患者さんの自己負担分でありますけれども、これについてはこういうふうに書いてあります。薬剤定価・給付基準額の制度がねらいとする質と価格による患者主体の薬剤の選択を妨げるおそれがある場合には、緊急の措置として保険収載を取り消すというような文章がございます。要するに、患者負担分が余り過度になるという意味合いであれば保険の収載あるいはこの価格そのものを取り消す、こういう意味だろうと思います。
 しかし、患者側から言いますと、いい薬であるということと御自分が負担される価格との割合で、できれば安くていい薬がいいということになりますし、製薬企業から言えば、これは自信がある大変いい薬だということでこの価格を設定したい、こういうふうに相反したことが起こるわけであります。
 この意味で、緊急措置を決めるという基準、これを少しお聞かせいただきまして、またこの部分はいわゆる混合診療だというふうに言われておりますが、このあたりのところの御説明を、簡単で結構でございますので、あわせてお願いいたします。

○政府委員(羽毛田信吾君)
 薬剤定価から一定幅以上乖離が生じた薬につきましては、緊急措置として、先生今お挙げになりましたような薬剤の公定価格の世界に戻してしまう、あるいは保険収載を取り消すというようなことをいわば制度の手段として組み込んでおくということについての考え方でございますが、これにつきましては、製薬企業等の医療機関への販売価格といいますものが、薬剤定価から一定幅以上、通常の流通経費というようなもので想定しております範囲を超えまして乖離をしておるというような医薬品につきましては、緊急措置としてまず薬剤定価を公定するということにするわけであります。そして、それがなお是正をされない場合には、保険収載を取り消すということもなし得るというような世界をつくるということでございます。
 この措置の趣旨でありますけれども、医療機関への販売価格と薬剤定価が大きく乖離をしております場合には、現在の薬価差によります薬剤販売と同様の状態、つまり薬価差の弊害というものがもろに新制度の中でも出てくるというようなことになり得ますので、こういったことを防止しまして、せっかく先ほど申し上げましたような薬剤定価制ということで、いわば製薬メーカーの自主的な申告によりまして、それがまた適正な価格を反映するという形の中で運営をされるということの趣旨が没却するようなことになってはまずうございますから、そういったことを防ぐためのいわば担保措置としてこのような措置の提案がなされているというふうに考えております。
 それから、混合診療になるんではないかという点があわせてお尋ねがございました。  私ども、現在、医療保険の建前としましては、同一の診療において保険診療と自由診療とが自由に組み合わされるというようなことについては原則としてこれをとっておらないところでございます。しかし、高度先進医療というような形で非常に高度先進的な医療を受ける場合、あるいは特別病室に入るというような場合につきましては、医療サービスの基本的な部分につきましては医療保険で賄いまして、その他の部分については患者の同意のもとに医療機関が特別な料金を患者から徴収できるという、いわゆる特定療養費制度を導入していることは御案内のとおりでございます。
 今回、薬価・給付基準額を設定いたしまして、その臨床上の同等性を有する薬剤グループの薬剤による標準的な医療を保障するということにするわけでありますけれども、その標準的な医療に係る費用である給付基準額を超えるような高額な医薬品につきましては、必要な情報の提供を受けた患者の同意のもとに、つまり患者としてはそれ以外の同一グループの薬を選択するという選択の余地があるわけでありますから、そういった同意のもとに医療機関が特別な料金を患者から徴収するという点で、混合診療ということではございますけれども今までの特定療養費制度と同様の、いわばその延長線上の制度であるというふうに位置づけることができます。
 したがいまして、この制度を提案しているということが、即混合診療につきまして、従来の考え方を変えまして、これを大幅に拡大していくことのいわば一つの突破口というようなことを考えているわけではないということを申し上げさせていただきたいと存じます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 この混合診療という言葉が現在ひとり歩きをしているような気がいたしますので、お聞きをいたしました。
 それで、今お話がありました薬価の差益を解消するということが必要でありますし、外国では特に外来診療において、薬剤の投与につきましては完全医薬分業を実施する、それと入院についてはいわゆる償還払いのような形をとるということが多いようでございまして、そういう意味で医療機関、特に医療担当者、医師、歯科医師側にとっての薬価差益が生じないという方式をとりたい、こういうことをやっているようであります。
 この医薬分業の、特に外来診療についての状況の御報告を御説明いただきまして、さらに特定療養費という形で飛び出た部分を処理していくということと、医薬分業の状況、それとそのあたりの分業ということについての、外来を主体にするのか、あるいは入院も含めていろいろ考え方があるわけでございますけれども、概略で結構でございますから、行政側の御説明をいただきたいと思います。
 あわせて、この薬価制度の改革が特に重点項目であるということでございますので、最後に宮下厚生大臣の御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

○政府委員(羽毛田信吾君)
 それでは、私からまず医薬分業の点につきましてお答えをさせていただきたいと思います。
 医薬分業につきましては、経営主体が異なる個々の独立した機関でございます医療機関と薬局という二つの主体が、これにかかわることによりまして薬剤の重複投薬でありますとかあるいは飲み合わせ等に関しまして、いわば二重にチェックをするということによりまして副作用を防止するなど医薬品の適正使用を推進する、そういう観点からこれまで厚生省としてもその推進に努めてきたところでございます。今ちょっと手元に具体的な数字をあれしておりませんが、二十数%に既に及んでおるというふうに承知をいたしております。
 委員御指摘ございましたように、医療機関の医師が処方を行いまして、これを薬局において調剤するということになりますと、薬価差による不必要な薬剤の多用あるいは高い薬価の薬剤を使用するという点に関しましては、まさに現在薬価制度の改革ということで意図しています点が、そういういわば薬価差によるゆがみというふうに申し上げておったような事項についてのいわばインセンティブというものは、医療機関サイドからは少なくとも生じないということにはなるわけであります。
 そういったことで抑制はされていくというふうに思いますけれども、当然、医薬分業を進めるための条件整備、基盤整備といったようなこともあわせてやっておかないと、一挙に進めて無理やりやっていくというような性格のものではございませんので、そういった意味では、いわゆる医薬分業の推進には当然そのための基盤整備というものが相伴わなければならないということで、それはそれなりに時間と手間暇のかかってくる事柄であろうというふうに思います。
 また、入院医療等につきましては、依然としてやはり院内での重複投薬というようなことも当然あり得ることでございますので、そういった意味合いにおいて、今回の薬価制度改革、医薬分業が今後推進をされるにしましても、やはり薬価制度改革は改革として進めていく必要があるであろうというふうに考えているところでございます。

○国務大臣(宮下創平君)
 今回の医療保険改革の中で、薬価基準制度の見直しというのは大変重要な、大きなポイントになる課題でございます。
 現在、薬価差益があるとか、あるいは診療報酬は出来高払いを中心にいたしておるというようなこと、あるいは情報やコスト意識がなかなか不足しておるというようなことに原因がございますが、こういった薬剤の不必要な多用、あるいは高薬価シフトを惹起しやすい仕組みとなっておるというのは御指摘のとおりでございまして、その是正が緊急の課題であると思っております。
 厚生省では、ただいま御議論いただきましたように、現在、医療保険福祉審議会の意見書が出ておりますので、この意見書を踏まえまして関係者の意見も聞きながら具体的な制度改正案を鋭意検討しているところでございます。この制度改正の具体的なあり方につきましては関係者の間でさまざまな意見のあることもこれは事実でございまして、私どもとしては、その意見の集約、調整をしなければならないと思っておりますが、平成十二年度からの実施に向けまして関係者の合意が得られるよう最大限努力してまいる所存でございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 終わります。


リロード   新規 編集 凍結解除 差分 添付 複製 名前変更   トップ 一覧 単語検索 最終更新 BACKUP リンク元   ヘルプ  
Last-modified: 2008-03-19 (水) 22:50:39 (3867d)