Top / 153 参議院 決算委員会 閉1号 平成13年12月11日

○中原爽君
 自民・保守党の中原爽でございます。
 本日は、平成十一年度決算の報告にかかわります全般的質疑ということでございますので、最初に総論的な事項といたしまして、会計検査院における平成十一年度決算の報告につきまして、その特徴並びに検査業務に対する今後の体制、つけ加えて、この体制強化についての会計検査院としての対応をお聞きしたいと思います。
 決算の審査にかかわります観点は次のようなことであるとされておりまして、一番として予算執行状況の正確な確認をすること、二番として予算執行にかかわる適法処理、適法に処理されているかという確認、三番目として予算事業の経済性の確認、むだ遣い、それから四番として予算関係の事業の目的が達成されているか、達成度を確認すると、それからあとはいわゆる会計上の必要事項を確認すると、こういうふうに言われているところであります。  以前、私は、この決算と予算、国の問題につきまして、「会計検査研究」といういわば学術雑誌に載っております論文のことをお話し申し上げたことがありまして、大変難しい表現の論文でありますけれども、九州大学経済学部伊東弘文と言われる教授の方の論文であります。
 大変難しい表現なので少し要約をしてみますと、この論文によりますと、予算と決算は別のものとしてあるのではなく、編成や審議の過程にある予算、すなわち決算過程にある予算が本来の予算であるにもかかわらずそのように国会サイドではみなされていない、こういうような表現をされております。本来、予算はその予算執行過程で予算項目が実質化され、最後の執行過程で事後統制としての決算段階で決算は完結すると、こんな表現であります。大変難しい表現でありますけれども。したがって、決算過程にあるものが予算であると言われるけれども、憲法九十条が定めております国会へ提出を要求している規定は収入支出の決算の報告であるのに対し、一方、憲法八十六条が国会へ提出要求をしている予算にかかわる議決というのは単に予算ということだけであって、収入支出の予算に限定されていないということなので結果として予算と決算が表裏一体のものとして理解されていない、こんな趣旨が論文の趣旨でございました。会計上の観念では、決算の結果というのは予算編成にフィードバックするというのが必要でありまして、予算から決算への過程が政策にかかわる事業執行を反映するべきものだということであります。
 これらの概念から考えますと、会計検査院の検査における状況については、国の施策、それから事業に対する政策評価というところまで踏み込んで会計の検査をされるべきだという表現といいますか、そういう御意見があるわけであります。
 一方、審査にかかわる観点から、国の施策に対応した当該年度ごとの検査報告というのが行われるわけでありますけれども、国の基本的な予算の枠組みというのはそう大幅に変わるわけではありませんけれども、しかし、その年度ごとに特徴的な結果が出るということも事実であります。したがって、先ほど申し上げたように、十一年度決算報告の特徴というものについて御意見、検査関係の特徴的なことをお尋ねするという趣旨でございます。
 それから、省庁再編が進んできたわけでありますけれども、行政改革の動向にこれから会計検査院として適切に対応されるためには、やはり検査を進めていく物理的なタイムリミットというものがあるわけでありまして、それ以上は検査の時期を早めるということは不可能という時点があります。したがって、それに対応するのには、検査要員を増員するとか、あるいはIT化を進めるとか、そういうことが必要でありまして、この意味で充実強化をどういうふうに考えておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。

○会計検査院長(金子晃君)
 委員のただいまの御意見のとおり、会計検査院でもそのように考え、検査を実施してまいりました。会計検査院は検査に当たりまして基本方針を定め、そしてその基本方針に基づいて各検査の現場において計画を立ててもらい、そしてその計画に従って検査をするという形で検査を進めております。
 今、問題になっております検査報告についての検査に当たりましては、まず少子高齢化の進展、グローバル化などに見られるような我が国の社会経済の動向や財政の現状を十分踏まえた検査を行っていくということを第一の柱に掲げました。また、第二の柱として、不正不当な事態に対する検査を行うことはもとより、さらに事務・事業の業績の評価、先生今おっしゃる政策評価を指向した検査を行い、必要な場合には制度そのものの存否も視野に入れて検査を行っていくこと、これを二番目の柱にいたしました。そして、これらを基本方針とし、これに従った検査に努めてきたところであります。
 その結果でございますけれども、まず社会経済の変化の動向に対応した検査をした結果、どのような結果を出すことができたかを言いますと、国民年金の第三号被保険者がその資格要件を欠いた場合の種別変更の届け出と保険料の納付が適正に行われるよう改善の意見を表示したものがございます。また、金融機関の貸し渋り対策として創設されました中小企業金融安定化特別保証制度の実施状況とその効果を検査した状況も掲記をいたしました。さらに、学校給食施設の規模が児童生徒数の減少に対応したものとなっていなかったために、それに対応するものになるように補助制度を見直す措置を要求するということもいたしました。
 また、厳しい財政の現状を背景に行政改革が強く求められている中で、事務・事業や施策の経済性、効率性、特に有効性の観点から事務・事業について検査をした結果といたしまして、東京湾アクアラインや地方空港において実績が需要予測を下回り収支状況が悪化している事態を検査、分析したものを掲記いたしました。また、水田麦、大豆の生産振興のための補助事業について、事業を効果的に行うよう改善の措置を要求したものなどを掲記しております。
 このように、検査方針に従った検査の結果というものを出すことができたというふうに考えております。
 次に、会計検査院の検査体制の充実、今後についての質問でございますけれども、平成十三年一月に中央省庁の再編が行われましたが、それに対応するという形で組織の再編を行っております。また、社会経済の動向に対応した検査を実施していくというために、検査組織の見直しも行いました。また、委員御指摘のIT化に対応した検査もしていこうと、それに対応するような組織の変更も行ってまいりました。
 会計検査院といたしましても、国家機関の一つでありますので、予算や人員にそれなりの制約があるということを認識した上で、人員の漸増を図りながら検査方法の見直し等を行いつつ、より効率的、効果的な検査が行えるよう、引き続き適時適切な組織体制の見直し及びIT化への対応、検査要員の研修の充実強化等に努めて、検査能力の向上等に努めていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 次にお尋ねしようと思っております質問でございますけれども、きょうお手元に配付をされております通告表、私のところの通告の二番の問題でありますが、今、会計検査院長からのお答えの中にもございましたけれども、年金制度上、第三号被保険者に係る問題の根本的な改善ということでお尋ねをしようと思っておりましたけれども、先ほど同僚議員の田嶋陽子委員から、この三号被保険者に係る問題については大変適切な御質問が出ておりまして、十分な質疑がなされたということであろうと思いますので、私が重複をいたしまして第三号被保険者に係る問題をお尋ねするということは、今回割愛をさせていただこうというふうに思います
 しかし、お答えの中で、女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会、既に十六回の検討会が行われておりまして、間もなく報告書も出るということのお答えもございましたので、この点については将来とも年金制度上やはり問題点でございますので、これからもこの問題について考えていきたいというふうに思っております。  それで、次でございますが、会計検査院のこの十一年度決算報告書は、国民健康保険に対します療養の給付の補助金、それから療養給付費の負担金、それから財政調整交付金、この交付につきましてそれぞれ不当事項が指摘をされているところであります、金額的な問題ということではございませんけれども。国民健康保険につきましては種々の国庫助成が行われているわけでありまして、この国庫助成の種類の概要と、それから国民健康保険制度上の構造的な問題として、こういった不当事項の御指摘が将来も引き続いて起こるという可能性があるわけでありますので、この問題につきまして厚生労働省から御説明をいただこうと思います。
 しかし、先般、政府・与党の社会保障改革協議会は医療制度の改革大綱をお出しになりました。その中で国民健康保険について、「国民健康保険については、保険者の規模の拡大を図るため、市町村合併推進の取組みと併せて、広域化等のための支援措置を講じる。」と、こういうふうに言っておられまして、いずれこの国民健康保険の状態につきましては改善をするということでありますけれども、当面はやはり支援措置を講ずるということであります。それと、また厚生労働省の方におかれましても医療制度の改革試案を出しておられまして、国民健康保険のあり方についても、国民皆保険の礎となっている国民健康保険は、早急な高齢化の進展や産業・就業構造の変化に伴い、中高年齢層に偏在するなど運営の基盤が大きく変わってきている、このことについて財政の支援をするという趣旨のことも述べておられます。
 したがいまして、今後の制度と構造的な課題の改革が必要でありますけれども、制度改革が進捗する間は、当面、財政措置のための支援措置が必要であります。したがって、今回御指摘になっております不当事項につきまして、国保組合に対する療養給付金の補助金、一般被保険者に係る医療費の国庫負担金の交付、国保の財政力の不均等を、不均一を調整するための財政措置の交付金とこの支援措置の概略を、不当事項の概略とともに、その原因、概要を御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(大塚義治君)
 国民健康保険に対する国庫の助成措置の概要と、今回、平成十一年度の決算報告書において御指摘を受けました国庫補助関連の概要についての御質問でございますので、御報告を、御説明を申し上げます。
 まず、国民健康保険に対する国の補助あるいは負担の制度でございますけれども、国民健康保険は、市町村が保険者になっております市町村国保、それから国保組合が保険者になっております国保組合に対する助成、大きく分けますとこの二つになるわけでございますが、圧倒的に市町村に対する負担金、補助金が多いわけで、金額的には圧倒的でございます。  市町村の国民健康保険に対する負担金といたしましては、原則的にはまず給付費の四割を定率で負担を国がいたします。そのほか、給付費の一〇%相当に当たりますものを、財政力に応じまして交付いたします財政調整交付金として交付いたしておるわけでございます。国保組合につきましても、規模は違うわけでございますが、基本的には類似の考え方によって助成をいたしております。
 ちなみに、これらを合わせました平成十三年度の当初予算額でございますけれども、国民健康保険に対しますさまざまな助成措置、合計いたしまして三兆六千百十億円余りという金額でございます。
 こうした助成を行っておるわけでございますけれども、先般の会計検査院の十一年度決算報告におきまして合計四十二保険者、延べ四十六保険者でございますけれども、の交付あるいは国庫負担に対しまして約八億九千万円の過大な交付があるという御指摘がございました。
 その原因といいましょうか、指摘事項の内容はさまざまでございますけれども、件数、金額ともに大きなものは、財政調整交付金の交付に当たりまして、全市町村、それぞれの市町村の財政力というのを見ることになっております。その財政力は、いわばその市町村の総所得金額の合計、これが基本になるわけでございます。この総所得金額の算定に誤りがありまして、いわば過小の申告がございました。これに対して、それをベースに交付した点につきまして過大交付となったという御指摘が件数、金額とも一番多いわけでございます。
 もちろん、これらの不当な支出につきましてはすべて返還をお願いし、それは措置済みでございますけれども、厚生労働省といたしましても、検査院からの御指摘を踏まえまして、保険者の事務の厳正な実施ができるように引き続き指導を進め、今後とも適正な交付事務ができるように努力してまいりたいと考えております。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 何でこのようなことをお聞きするかということでありますが、繰り返してでございますけれども、政府も与党も、この国民健康保険あるいは医療保険全体につきましてやはり医療制度改革大綱に基づいてこれからいろいろな手直しをしていくということであります。しかし、そのためには、どのような制度になっておりましても、この国民健康保険そのものの構造的な問題をどのように解決するかということが図られませんと、こういった財政支援措置というのはいつもついて回るわけでありまして、こういった措置ができるだけ少なくなるということも一つの考え方ということでありますので、お尋ねをいたしました。
 それでは、次の問題でありますけれども、介護保険が施行になりました後、老人保健制度にかかわる長期入院、いわゆる社会的入院の問題でありますけれども、これがけさの朝刊各紙に載っておりましたが、社会保障審議会の介護給付費分科会でこういった長期療養病院の一部をリハビリ中心の老人保健施設に転換する方針を表明されたということであります。実は私は、平成十一年の決算委員会におきまして、当時、平成八年、九年の決算外二件にかかわる全般的質疑でございましたが、そこの質疑で、老人医療費等公費負担医療に関する行政監察結果に基づく勧告の重複受診者と社会的入院者について質問をいたしました。これに対する当時の厚生省老人保健福祉局の御説明は次のようなものでございました。
 一般病床に六カ月以上入院している長期、いわゆる社会的入院患者について、新ゴールドプランに基づく在宅サービスの充実、介護体制の整備、長期入院に対する診療報酬上の適正評価などの結果、当時の時点で長期入院患者は約七万人と推計をし、平成七年の推計値の約十万人から減少していると、こういうふうなお答えでございました。そして、この主な長期入院患者は介護を理由としており、患者本人の処遇の面から適切でないと述べておられまして、さらに、平成十二年度の介護保険制度の創設により適切なサービスを一元的に供給できるようにして社会的入院の解消に努めると、こういうお答えでございました。  いずれにしても、介護保険が間もなく出発するということで、社会的入院ということについては解消されるという方向だと、そういうお答えでございました。
 なお、この七万人の長期入院患者につきましては、老人保健制度の対象者で平成四年から八年の間の医療機関から請求があった六カ月以上の老人入院管理料から割り出しまして、この間の減少傾向を勘案して平成十二年度時点の請求件数を推計したということで、大変複雑な操作をおやりいただいた結果、約七万人という数字を出しておられるわけであります。
 しかし、現在、既に介護保険が出発をしておるわけでありまして、平成十二年度の医療保険医療費の動向推計を見てみますと、平成十一年度から十二年度の間の老人医療費というのは〇・八兆円、前年度対比で七%の減少がありまして、医療保険医療費につきまして全体についても〇・六兆円、前年度対比で二・一%の減少と推計をされております。したがって、介護保険の方に移行した部分があるんだと、こういう見方になろうかと思います。
 また、先般の厚生労働省の医療制度改革試案によりますと、「高齢者の心身の特性に応じた報酬体系等の見直し」といたしまして、「療養病床については、医療保険適用病床と介護保険適用病床の機能をより明確化し、これに応じた報酬体系の見直しを行うことにより機能分化を促進するとともに、これとあわせて、長期入院に係る医療保険の給付の在り方を見直す。」と、こういうふうに表現をされております。
 この長期入院、すなわち社会的入院の問題というのは、平成十二年四月の介護保険制度導入後は療養病床における長期入院患者の社会的入院の問題が今話題になっている面もございまして、その実態、私が以前に御質問申し上げた状況と違ってきているわけでございます。しかし、相変わらず社会的入院があるんじゃないかと、こういうお尋ねも多いわけでありますので、現状の実態について御説明をいただきたいというふうに思います。

○政府参考人(大塚義治君)
 ただいまお話の中にございましたように、かつていわゆる社会的入院というのが大きな論議の対象となりました際に、当時の論議の中心は、いわゆる一般病床に御入院されておるお年寄りの中で在宅あるいは他の施設に移ることが可能という方が相当数おられるというあたりが論議の中心でございました。これも今お話の中に出てまいりましたけれども、その後、療養病床群という医療制度上の区分もでき、定着し、さらには介護保険の導入という大きな変化がございまして、私どもも当時のいわゆる社会的入院、すなわち一般病院における長期療養の方々の問題といいますのは大きく激減をしてきているという認識に立っております。
 その一方で、これもお話にございましたように、療養病床の中で、例えば民間調査などによりますと、長期の入院をされておる方のうち例えば四割強に当たる方々が、容体急変の可能性も低いし、さまざまな社会的な条件整備が可能であれば福祉施設あるいは在宅で必要なサービスを受けることができるという調査結果もございます。また、療養型病床群は介護型、医療型と二つに分かれておりまして、その相互の関係も、施行後いろいろな課題も生じてきておるわけでございます。そういう意味では、一つの主要な論点が変化をしてきているということは言ってよろしいのかと思っております。
 そこで、療養病床につきまして、医療保険と介護保険との役割あるいは機能分担をもう少しはっきりさせていく、明確化していくという観点、それは、その背景には当然のことながらそれぞれのお年寄りに対して最も適切なサービスが提供されるような体制に持っていかなければならない、こういう考え方ではございますけれども、その機能分担の明確化ということをもう少し突き詰めてみようというような観点から、診療報酬のあり方に関連いたしまして、現在、関連の審議会で御審議をいただいているところでございますし、また長期の入院患者につきましての保険給付のあり方、これもあわせて見直すということで御論議をいただいているところでございます。
 もとより、全体といたしまして介護施設の整備でありますとか、在宅医療あるいは在宅サービス、在宅介護サービスの充実といったような一種の基盤整備も当然必要でございますから、それはそれで進めていく必要がある、こんなふうに考えているところでございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 今、御説明のありましたように、医療保険適用の病床、それから介護保険適用の病床、こういった機能分担についてより一層明確にしていただきまして、一般病床に長期入院をされておられますけれども退院をした場合に行き先がないという状況で、こういう問題が相変わらず起こっているということであろうかと思います。ぜひこの対応をお願い申し上げたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、質問を一つ割愛いたしましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。


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Last-modified: 2008-02-28 (木) 09:46:56 (3617d)