Top / 153 参議院 厚生労働委員会 6号 平成13年11月06日

○中原爽君
おはようございます。自民党の中原爽でございます。
 本日はBSE、ボバイン・スポンジフォルム・エンセファロパチーにつきまして、現在いろいろ社会情勢の中で対応がなされているところでありますけれども、病態論と申しますか、この病気の全体像がまだ解明されていないわけであります。しかし、原因といいますか、病因論といいますか、そういったものが一応目に見える範囲内で今わかってきているわけであります。
 それで、このBSE発症の病因論あるいは病因的根拠というふうに言われておりますのが異常プリオンたんぱく質ということでありまして、その摂取によりまして体内の増殖、それから蓄積に基づいて症状が発生するということでありますけれども、基本的にこの牛にかかわります問題というのは、草食動物でありますので、草食動物が肉食化するということは生物学上あり得ないわけであります。しかし、一九五〇年代から英国で牛の肉骨粉を飼料として牛に与える、すなわち草食動物であるべき動物が自分の同種族のものを食べるという形になるわけでありまして、いわゆる共食いが起こると、こういう現象であります。これが、一九五〇年代からずっと引き続いて恒常的に飼料を投与する、与えるということが行われたわけであります。結局、草食動物が日々同種の肉、骨を飼料として食べると、こういう状況が続いているわけであります。そこで、この何世代にもわたって自分の身体を食べ続けるということの中でこういうようないわば遺伝子的な生体異常が起こると、こういうことではないかというわけであります。
 しかし、言われておりますのは、この異常プリオンたんぱく質というものが自分の身体と同じものであるというわけでありますから、経口摂取をする、たんぱく質を経口摂取いたしますと腸管で一たんアミノ酸に分解されて吸収されるわけでありますけれども、この異常たんぱく質は分解されないままたんぱく質の状態で自分の身体ということで吸収されるということなんでしょうか、その辺はよくわかりませんけれども。そして、それが神経組織に運ばれる。そこで、本来使い古されたこういうたんぱく質はいずれ分解されるわけでありますけれども、それが分解されない状態のまま蓄積をしていくと、こういう現象であろうということであります。
 したがって、問題は共食いをするという状況を人為的につくってしまった、本来自然の摂理に反するようなことを人為的に長期間にわたって、牛の何世代にもわたって異常な状況を人為的につくったと、こういうことであろうというふうに思います。
 同じような共食いと言われる状態について人間でも起こっているわけでありまして、かつてニューギニアの東部、フォア地区と呼ばれる高地、二千メートル級の高地でありますけれども、そこに未開の民族三万人ほどが文明を隔離された状態で幾世代にもわたって生活していた。一九三二年に初めて発見されたということでありますけれども、この部族は部族間の抗争あるいは死者に対する儀礼的なことから同種族の身体を食べるという状況のことがございまして、いわゆる人肉食、カンニバリズムと言われる状況を何世代にもわたって繰り返してきた、その結果いわゆるヤコブ病類似のクールー病という病気が発生しておるわけであります。三万人の中で年々二百十名ほどが死亡するということだそうでありましたけれども、これは主に死者の脳、脊髄、いわゆる神経系統を調理するということでありまして、その調理にかかわった女性の発生率が六〇%に達するという状況であります。幾世代にもわたって繰り返しておりますので、遺伝的ではありませんけれども、垂直感染が起こる、母親から新生児に病気が移行するということでありまして、小さいお子さん、四歳ぐらいから既に発病するという状況であります。
 このことについてオーストラリアの政府は、こういう悪習慣をやめさせるということ、もちろんこの習慣の是正を行いまして、その後、一九五七年以降このクールー病と言われている病気の終えんがといいますか、発病がどんどん減っていくという状況になったということであります。
 これはいわゆるヤコブ病とは少し状況が違います。言うならば、まともに共食いをしたという状況下にあるわけでありますので、発病の形態は、いわゆる痴呆の症状が起こるのは非常におくれた形で起こりますけれども、クールー病のクールーというのは震えるという意味でありますので、運動神経の麻痺の症状が先に起こるということだそうであります。  こんな状況下にあるということでありまして、結局、共食いをさせる、嫌な表現でありますけれども、同種族のものが同種族のものを食べるという状況が幾世代にもわたって続くとこういうような異常が起こる。すなわち、神経組織というのは生体からいうと非常に原始的、古い組織でありまして、免疫機構が本来働かない部分というふうに考えていいと思います。したがって、排除すべき異物に対する抗体ができない状況にあるということであります。
 そんなことで、現在、牛に係ります異常プリオンたんぱくの蓄積というのは、WHOのデータによりますと脳組織に六四%ぐらい、脊髄に二五%、合わせて九〇%近い八九%前後ということでありまして、ここに異常プリオンたんぱくが集積をするということであります。
 そういう意味で、これからこういう基本的な共食いの状態をやめさせる、すなわち自然の摂理に反するような、いわば今様の言葉で言えば環境汚染ということ、こういうことを中止させる、法的に措置をするということがまず基本的な立法府としての考え方でもあろうかというふうに思います。
 そういうことで、このクールー病と言われる病気が終息に向かっている、こういう疫学的な見地から見まして、今後とも草食動物である牛に同一種族の牛由来の肉骨粉の使用を制限するような明確な法令上の対応を講ずるべきだというふうに思いますけれども、この点につきまして農水省の所管部局の御見解を伺いたいと思います。

○政府参考人(小林芳雄君)
今お話しございましたように、WHOの方からも、一九九六年四月でございますが、反すう動物の組織を用いた飼料の原料につきましては反すう動物に給与すべきではないと、こういった勧告も出されているところでございます。この勧告を受けまして、一九九六年四月にその旨の指導通知を発出いたしました。
 また、ことしの九月十八日からでございますが、いわゆる飼料安全法に基づきます省令を改正いたしまして、こういった牛などからつくられた肉骨粉、これを牛へ給与することは法律上禁止する、罰則を伴う禁止措置ということにしたところでございます。
 今後とも、こういった対策によりまして牛からつくられた肉骨粉が牛に使用されることのないよう、生産段階、生産者の皆さんへの周知徹底も含めて、指導の徹底を図っていきたいと思っているところでございます。

○中原爽君
ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして現在問題になっております医療制度の改革につきまして二、三御質問を申し上げたいと思います。
 私の手元には医療制度改革試案、九月二十五日付の資料をいただいておるわけでありまして、ただいま机上に資料二種類を配付申し上げていると思います。最初のページは厚生労働省の老人医療費の伸び率管理の考え方を少し要約いたしましてまとめたもの、二枚目は厚生省の資料でありまして、伸び率の考え方についての図式ということでございます。その二枚を配付させていただいております。
 最初にこの配付を申し上げた資料につきまして確認をしていきたいと思いますけれども、まず伸び率管理につきましては目標年度の目標値を設定するんだということであります。それには高齢者増加数と目標年度の前年度において直近二カ年のGDP実績と目標年度について、その目標年度で予測されるGDPの見通しの数値、すなわちこの三年間のものを勘案して設定するんだということであります。それが一つ。
 そして、その点については、この目標値をBということで表現をしますけれども、そうすると今度は老人医療費の伸び率管理の設定方法というのが、診療報酬の点数に十円単価、一点単価十円を掛けて、それに縮減率のA分のBを掛ける、こういうことで算定をする、伸び率を抑えるための算定方式を出すということでありまして、しかし目標値よりも実績の医療費が大幅に伸びたということについて、その実績値をAというふうにあらわすわけでありますので、AとBの差の部分が過剰になった、オーバーした医療費になるわけであります。その分を算定して翌々年度で調整をする、こういう方式であります。
 ここで診療報酬の点数、例えば初診料、診療所で二百七十点でありますので、それに一点単価十円を掛けます。したがって、医療機関が初診料を請求する金額は二千七百円になるわけでありますけれども、しかしそれにA分のBの短縮率、縮減率を掛けますので実際には二百七十円掛ける十円にはならない、単価が十円ではなくて九円ぐらいに下がるということであります。そういうふうに理解をしてよろしいと思いますので、そんなことをこのページに書いております。
 したがって、御質問申し上げたいと思いますのは、最初に高齢者数の増加分の算定ということでありますけれども、この算定の基準が書かれておりませんので同様な資料、例えば国立社会保障・人口問題研究所のデータであるとか、それからGDPにつきましては、現在、二〇〇〇年の国内総生産五百十三兆円、それを国民一人当たりのGDPの金額に換算しますと四百万円、それを二年プラス一年の予測値を勘案して計算をするということでありまして、これが全体的に、十一年から平成十三年の平均で〇・八ぐらいを見越すということでありますけれども、実際にはもう平成十年からこの数値はマイナスになっております。
 そういうことで、このあたりについてどういうふうに考えたらいいかということをお尋ねしたいと思います。高齢者の増加数の算定の基準、それからGDPにかかわりますこの考え方ということでありますけれども、説明はこういうふうになっておりまして、現在まで診療報酬改定は二年ごとに実施され、あわせて医療経済実態調査の結果が中医協中央社会保険医療協議会において検討、審議されて、今回の伸び率管理における医療経済実態調査ということのかかわりについてもお尋ねしたいと思います。
 現在まで二年ごとに診療報酬改定をしておりまして、その中でその年間にかかわります医療経済実態調査の結果を踏まえて次の二年後に診療報酬改定を行うかどうかということを中医協で検討されたということであります。そういうことが行われておりましたけれども、今回、この管理方式で考えますと、一年ごとに、毎年度ごとに管理が行われるわけでありますから、二年ごとの診療報酬改定とこの一年ごとの管理方式ということがダブってくるわけであります。したがって、その間に行われます医療経済実態調査の活用はどういうふうになるのか、これをお聞きしたいというふうに思います。
 それから、先ほど申し上げましたけれども、一点単価十円ということで計算をしてきたわけでありますけれども、それが短縮率、縮減率を掛けますので一点単価十円以下に下がるというふうな現象がこの部分、老人医療費の部分で起こるということになります。そのことが、若人の方の短縮率、縮減率を掛けない、掛けていない部分の従来と同じ一点単価十円の部分との二つの状況が起こり得るわけでありますので、そのことについて法的な根拠があるのかどうか、これをお尋ねしたいというふうに思います。
 それから、もう一点、続けてお時間の関係で申し上げますけれども、医療機関が払っております消費税というのがございまして、医療薬品、医療材料、診療材料、診療の消耗品、器具、備品、それから給食にかかわります材料費、それから歯科の場合ですと外注技工料、こういったもの、それから医員の通勤手当、それから課税ベースとしてのリース代でありますし、光熱水費、こういったものを医療機関が消費税を払っているわけであります。平成元年の三%改定のときは医療費ベースで〇・七六%の改定率を診療報酬に乗っけてもらいました。それから、今度の五%の改定のときは、これも〇・七七%診療報酬に消費税引き上げ分を乗せてもらうと、こういう格好になっているわけであります。
 ですから、今度は二種類出てくる。若人の調整率が掛かっていない分、それから老人医療費の調整率が掛かっている分、それぞれ消費税というものに対する考え方をどういうふうに考えたらいいのか、この点をお聞きしたいというふうに思います。
 それから、現在までフランスの制度、外国の制度、この管理制度が問題になっておりまして、フランスで行われたこの管理制度は、一たん医療収入として医療機関に入った収入から過剰になった分をまた戻させるという制度がかつて行われまして、これは憲法違反だということになりました。したがって、フランスは一九九九年以降、古い制度を改正しまして、一たん医療収入として医院のところに入った収入をまた吐き出させるというようなシステムをやめたということでありまして、医療費全体の総枠管理ということで公的な病院あるいは私的な病院、診療所あるいは老人施設、そういうことの区分で総枠の医療費を振り分けると、こういう制度に変えたということであります。
 このことについて、この厚生省の試案の中でのこういった管理のシステムということとフランスで行われたものが変わったということについて、厚生省、今まで御説明されてこられたと思うんですけれども、その点を再度お聞きしたいというふうに思います。
 以上、たくさん申し上げましたけれども、よろしくお願いをいたします。

○政府参考人(大塚義治君)
できるだけ簡潔に御答弁申し上げたいと存じますが、お示しの資料につきましては私どものさきに公表いたしました改革試案の内容を整理をいただいた資料というふうに受けとめております。
 それで、厚生労働省試案でお示しをいたしました、提案をいたしました老人医療費を対象とした伸び率管理制度につきましては、その趣旨につきましては御案内のとおりでございますけれども、医療、特に老人医療費の伸びが高齢化という背景もありまして大変大きいものですから、今後の中長期の医療保険制度の安定のためにその点の適正な伸びというふうな仕組みを導入したいということでございます。
 その具体例で、幾つか具体的な事項についてお尋ねでございました。
 まず、高齢者人口の増加、これは高齢化に伴う不可避の変化ということでございますから、私どもの案ではこれをいわば考慮をすることにいたしておりますけれども、その計数につきましては基本的には国立社会保障・人口問題研究所、先生お示しでございましたけれども、その将来推計人口を使いまして当該年度の人口を算定するという考え方をいたしております。
 それから、今度は経済指標との関連で、過去二年及び直近の見通しのGDPの平均を三カ年平均をとるという案でございますけれども、一つには、単年度のGDPの計数ですとその振れ幅が大変大きくなる可能性があるということで、それは、中期的と申しましょうか、三年程度の平均をとることがなだらかな変化という意味でも適当だろうということで三年平均をとりました。もちろん、できるだけ実績に近いもの、あるいは現実に近いものということでございますので、その中に当該年度の見通しというものも加味するということにいたしております。
 この加味する見通しのGDPの率につきましては、毎年末に閣議了解という形で示されます政府経済見通しの数値を使うのが妥当ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
 それから、診療報酬改定時に行われます医療経済実態調査の関係でございますが、これもお話にございましたように、診療報酬改定は、医療経済実態調査によりまして医業経営の実態を把握すると同時に、物価や賃金の動向、経済の動向あるいは保険財政の動向などなど、総合的に勘案して改定が行われるということになっているわけでございます。伸び率管理制度が導入されましても、医業経営の実態を把握するということは当然必要なことでございますし、そのための医療経済実態調査も実施をするということについては従来と変わりないと考えておりますが、おっしゃいますように、この伸び率管理制度は、毎年度毎年度目標が定まり、その実績を見て調整するということでございますから、毎年度のことでございます。一方、その診療報酬改定につきましては、いわばその診療報酬の配分係数でもあるわけでございまして、そのときそのときの医療のあり方にも関連する事項でございますから、二年に一度というのは法令上の定めではございませんけれども、私どもの今の段階の認識では、ほぼ従来のような考え方でこの診療報酬改定の議論が行われると、こんなふうに考えておるところでございます。
 それから、一点単価を十円そのものは動かさないわけでございますけれども、診療報酬点数に単価を乗じたものに調整率を掛けるということでございます。実質的に単価の引き下げと同様の効果ではないかと、こういうことでございますれば、ほぼそれに近いものであることは否定いたしませんけれども、考え方といたしましては、全体の老人医療費のお支払いする額を、端的に言いますと、老人医療費全体を調整をするという考え方で、単価そのものを調整するという考え方にはいたしておらないわけでございます。そういう意味では、高齢者医療におきましてもその他の一般の医療におきましても、現在の仕組みにおける診療報酬の一点単価、これは共通のものという制度上の整理をしたいと考えております。
 それから、消費税に関連するお話がございました。
 これもお話の中にございましたように、消費税の導入時あるいは引き上げ時に所定の改定が行われまして、診療報酬の中に組み込まれているわけでございますが、今回の伸び率管理制度は、個々の経費あるいは費目に着目いたしまして所定の率を掛ける、例えば単価を変えるという仕組みではございませんで、ただいま申し上げましたことと重なりますけれども、全体の医療費に一定の調整率を掛ける、もしオーバーした場合でございますが、そういう仕組みでございますので、個々の経費に着目した措置ということではございませんので、その中で消費税がどういう直接的な影響を受けるかと、こういう形ではないということを御了解賜りたいと思います。
 最後に、フランスにおきます事例でございますが、これも御紹介ございましたが、九九年社会保障予算法という法案の中で、開業医の医療費につきまして医療費の目標額を定めまして、これが超過をする場合には診療報酬引き下げ等の措置をとり、さらにその目標額を結果的に超過した場合には前年度の報酬に応じて各開業医から返還を求める、連帯して返還を求める、こういう案が一度法案として成立をいたしました。その実施前に、憲法院という組織のようでございますが、憲法判断がございまして、憲法に触れるのではないかということで、その後、改めて二〇〇〇年の社会保障予算法でいわば修正が加えられたと、こういう経過をたどっておると承知をいたしております。
 その憲法判断でございますが、医療費の超過が見込まれる場合に診療報酬を調整する、あるいは見直す、これはそれ自体憲法に反しないけれども、各医師に対しましてその行動に関係なく超過分を返還させる、これにつきましては医師間の平等を阻害する、あるいはそれに反する、侵害するということで違憲という判断が示されたと。
 私どもの今回お示ししている案は、ある意味では将来に向かっての調整ということで、もちろん返還をお願いするということではございませんで、そのままの傾向が続くならば高齢者の医療費が非常に大きくなる、その点を調整する、将来に向かって調整するための措置、中長期的に見れば一定の伸び率に収れんをしていくだろう、こういう考え方の提案でございますので、フランスで違憲とされました仕組みとは全く異なるものと考えております。
 なお、全般を通じてでございますけれども、これも御案内のとおりで申し上げる必要もないのかもしれませんが、今回の私どもの案でございますと、高齢者の伸びを勘案するということから、総体としては恐らく高齢者医療費は絶対額としてはやはり増加をすることは避けられないと思っております。ただ、その伸びを、あるいは伸びの傾向を極力なだらかなものにするという考え方だというのが一つでございます。
 それから、目標値を定めましても、その次にやるべきことは、できるだけその目標値の範囲になるように、例えば診療報酬もその一つの手段でございましょうけれども、さまざまな健康づくりその他の医療費の適正化対策を講じてこの目標の中におさまるようにそれぞれの立場で御努力をいただく、行政も努力をするということを前提に、その上でなおかつ結果的に目標を超えた場合の措置として調整をお願いする、こんな考え方でございますので、御承知のこととは存じますが、つけ足しをさせていただきます。
 以上でございます。

○中原爽君
時間になりましたので、終わります。
 どうもありがとうございました。


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Last-modified: 2008-02-24 (日) 12:51:58 (3865d)