Top / 154 参議院 厚生労働委員会 22号 平成14年07月25日

○中原爽君
 自由民主党の中原爽でございます。
 御質疑をお願いいたします前に、このたびは医療事故にかかわります病院あるいは大学、あるいは大学入試の不正疑惑にかかわります大学等につきましての参考人招致、参議院の独自性をもって与野党一致による時局対応をいたしてまいりました。このことにつきまして、与党の委員を代表して、皆様に心からの感謝を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
 ついては、健康保険法の一部改正でありますけれども、午前中からいろいろ適切な御質疑がございまして、私がお願いしようと思っております今回の健康保険法一部改正についての附則の事項でありますけれども、この質疑につきましては午前中の森ゆうこ議員、今井澄議員から適切な御質問がございましたし、それに対して大臣からも大変適切な、適切な御回答を得ておりますので、この部分については、誠に、質問を出しておりますけれども、少しく割愛をさせていただきたいと思いますので、大臣、お許しをいただきたいと思います。
 ただ、私が七月の十一日のときに御質問をいたしました件でありますけれども、健康保険法改正案の附則第二条、医療保険各法の被保険者等の医療にかかわる給付割合を将来にわたって百分の七十を維持すると、こういうことでございまして、この実施をいたします時期等については同僚議員からの質疑もございましたし、私が前回お聞きしたことについては、この百分の七十に固定するということでございますと、将来医療費がどうしても値上げをせざるを得ないという時点でありますと、給付率七割に据え置くということと、それから保険料とのバランスの関係から将来保険料を上げざるを得ないだろうということについて御質疑をお願いしたわけでございます。
 この給付率ということについては、従来、九割給付、八割給付という段階を経てきまして、今回七割に固定をするということになるわけでありますけれども、このことについてやはり国民全体からどうもこういうパーセントが変わっていくということについての信頼感が薄れているという側面があろうかと思います。
 このことについて、将来、国民皆保険制度を維持するということ、それからこの改正法案の附則の七割を堅持するということについて、大臣に再度の御決意を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○国務大臣(坂口力君)
 いわゆる公的皆保険制度というものを維持をしていくということになりますと、当然のことながら公的保険としての自己負担の限界というのはあるというふうに思っております。したがいまして、これからのすべての医療制度の改革の根幹をここに据えて、そしてこれ以上の自己負担を増やすことはないということで、そしてすべてを構築をしていくということにしなければいけないというふうに思っている次第でございます。

○中原爽君
 ありがとうございます。
 午前中のお話でございますけれども、高齢者医療制度のことについてやはり附則の事項に書かれているわけであります。老人医療費が既に高齢者の人口増を上回る勢いで伸びているわけでありまして、将来、この持続可能な医療保険制度を堅持する必要があるわけでありますけれども、今回の改正では老人医療への公費負担の分、この分を今年の十月から四%上げまして、逐次毎年四%ずつ上げて、平成十八年に五〇%の公費負担をすると、こういうことであります。
 このこと自体は評価されるべきことでありますけれども、今後、この現行の制度を手直しするのではなくて、どういう形で老人医療制度を変えていくのかと。今、四つの試案が出ているけれども、これをどうするんだということについて、今井議員からの御質問もあったわけでございます。
 重複をいたしますけれども、簡単で結構でございますけれども、将来に向かっての高齢者医療制度の改革に向けての大臣の御決意を伺いたいと思います。

○国務大臣(坂口力君)
 今日、今井議員からも御質問をいただいたところでございますが、高齢者医療につきましては、高齢者医療そのものもこれは非常にどうするかということが大事でございますけれども、しかし、この高齢者医療のところはほかの部分と非常に関係の深い、これはほかとのかかわりの多いものでございます。したがいまして、今井議員からも御発言がございましたように、例えば医療保険の制度を四十七都道府県単位ぐらいにしていくと、こういうことになれば私は特別に高齢者医療制度というものを別枠で作る必要はなくなってくるというふうに思っています。一元化をしなくても私はそれでやっていけるのではないかというふうに思います。
 ただ、そのときにも必要になってまいりますのは、その財政の中身を、国庫負担と、そして保険料、それもお若い皆さん方にある程度の御負担をお願いをする分がどれだけにするのか、そして自己負担の分をどうするのかということのその中身につきましての問題は残るわけでございまして、その問題を決着する必要は当然のことながらある、むしろここを先に決めておく必要がある。その後は、保険全体の在り方等々とそうした問題と絡めてこれは決着の付く問題だというふうに思っている次第でございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 ただいまのお答えと関連をいたしますけれども、やはりこの改正法の附則の中に、保険者の統合、再編を含む医療保険制度の体系的な在り方については本年度中に基本方針を定めると、こういうふうにうたっておるわけでございます。
 ただいまの御説明と併せてお答えいただいたということになろうかと思いますので、次に、同じく診療報酬体系の見直しについて附則に書かれているわけではございますけれども、この点については今井議員から包括、出来高払ではなくて包括制度を推薦されたわけでありますけれども、一言申し上げたいんですが、私が関係しております歯科の領域の診療については、人間の歯牙の数、二十八本から三十二本あるわけでございまして、その一本一本についての治療が行われます。したがって、二十八の歯牙全体を包括として診療報酬を得るというシステムにはならない。やはり出来高払の部分が歯科の診療については残るということを御理解をいただけるように申し上げたいというふうに思っております。
 いずれにしても、今年度中にこの問題について見直しの基本方針を策定するというふうに書かれておりますので、これも簡単でございますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(坂口力君)
 現在、出来高払中心になっているわけでございますが、この出来高払を中心にしていくというのにも限界がある。しかし、出来高払にもいい面も率直に言ってあるということでございます。包括払と今混合した形で行われているわけでございます。  包括払の方に非常に利点もございますし、こちらにもまた難点もあるわけでございますから、これらの問題も双方見ながらこれはやらなければいけないわけでございますけれども、全体としての流れとしては、現在の出来高払中心からもう少しこれは包括払を増やしていくという方向に全体としては流れざるを得ない。大学病院等の包括払をお願いしているのもその一環であるということを今朝も申し上げたところでございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 ただいまの包括払の問題につきましては、今井議員からの御説明では、DRGあるいはPPSという形で一種の診療マニュアルを作成するということから手始めにやらなければいけないという御指摘もございました。そのことも含めてでありますけれども、私ども歯科の領域についてこういった包括の制度がどういう形で役に立つのかということについて、十分検討をしていただくようにお願い申し上げたいと思います。
 それでは引き続きまして、別の問題でございますが、去る二十三日の日に総合規制改革会議がまた新たな中間とりまとめを発表されました。このとりまとめの中で、医療分野と福祉分野における株式会社の参入について、メリットと問題点、すなわちデメリットについて、いわゆる両論併記の説明がなされておりまして、平成十四年度中に検討・措置を行うという旨が記載されております。
 特に医療分野における営利事業が参入することについては、医療機関の経営に市場の、市場の競争原理を導入することでありますので、我が国の医療制度の優れた点である皆保険、国民皆保険と、一人一人の国民が医療を受ける医療受診のフリーアクセス、この実質的な大変いいメリットが、制度が崩壊につながるのではないかというふうに危惧されているところであります。
 また、中間まとめの言う医療法人の資金調達とそれから市場の金融機関とのかかわりから利益配当の側面だけを見ることに対して、我が国の社会保障の制度上優れた現在の医療をすべての国民が平等に享受できるというこの制度をどうしても維持したいんだという側面があるわけであります。
 また、規制改革特区という問題も提起されておりまして、引き合いに出されております、米国の地域医療にかかわる非営利法人組織というような言葉が出てきております。そして、その組織自体、株式会社化とは異なった次元の問題なのでありますけれども、このことについて中間報告の中に何行かの説明がございます。
 今の、現在のアメリカの、地域医療圏統合ネットワークと言われておりますけれども、インテグレートのヘルスケアネットワークというわけでありますが、これは、非営利の地域保険会社あるいはPFIの特別目的を持った会社が全体として非営利のホールディングカンパニーを作りまして、地方自治体との間で、医療施設、福祉・介護施設、それから在宅の介護事業所、あるいは薬局、検査センター、こういった等のことによりまして地域住民のための医療の提供を共同体組織で行って、その収入収益については全部公開をして還元をするという形をやっているわけであります。このことを今回のこの総合規制改革会議の中間まとめがおっしゃっておられるのかどうかということについては定かでないわけでありますけれども。
 そこで、この総合規制改革会議が提案をしております、医療分野への株式会社の参入と、それと医療にかかわります経済特区を実現したいんだということに対しまして、厚生労働省としての大臣の御見解を伺っておきたいと思います。

○国務大臣(坂口力君)
 医療の分野におきます株式会社の導入につきましては、これは賛否両論あるところでございます。恐らく委員の皆さん方の中にも賛否を、私は分かれるのではないかというふうに思っておりますが、私は、個人の意見を言わしていただければ、あるいは私個人じゃなくて厚生労働省としての意見を言わせていただければ、これは慎重論でございまして、ここは株式会社化をいたしましてもそんなメリットはないのではないかというふうに思っております。
 と申しますのは、いわゆる医療を受けていただく患者さんの側から見まして、その病院が株式会社であったといたしましても医療法人であったといたしましても、何かメリットになるところがあるのかといえば、私はないのではないかというふうに思っております。むしろ、株式会社になって、そして株主に配当を返すというようなことになってしまいますと、今までの医療法人なるものの制度が根幹からこれは崩れてしまうわけになりますし、そうした意味からも私は慎重にならざるを得ない。
 経済財政諮問会議でございますとか規制改革会議等で御意見をいただきまして、その中でいい返事をしないものでございますからおしかりを受けているわけでございますけれども、しかしそこは、一つは、何らいい方向が見当たらないということと、それから、この制度を行うことによって何か医療そのものの内容が良くなっていくかといえば、そういうことでもないというふうに思っている次第でございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 まだ中間とりまとめの状況でございますので、いずれこの問題については国会で十分御審議をいただきたいというふうに思います。
 それでは、ただいま医療法人の言葉も出ましたので、医療法人における理事長の要件につきまして確認をさせていただきたいと思います。
 平成十四年の三月の閣議決定にかかわりまして、規制改革推進三か年計画が出ております。そこで、「病院経営と医療管理とを分離して医療機関運営のマネジメントを行い、その運営の効率化を促進する道を開くため、平成十四年度のできるだけ早い時期に、合理的な欠格事由のある場合を除き、理事長要件を原則として廃止する。」と、こう書かれておりました。
 この提言を受けまして、厚生労働省の方でこれからの医業経営の在り方に関する検討会を作られまして昨年から検討され、今年の三月に一応の中間報告をされております。この報告の中で、医療法人の理事長要件については、例の富士見産婦人科事件を契機にいたしまして、医療の適正な提供を確保するという観点から、現行の制度、考え方は維持しながら、運用面での弾力化によるその要件の緩和を図るという結論を発表されておりまして、この点について厚生労働省は、これを受けてこの四月に通知を出されたとのことでございます。
 私自身としては、経営、医療の近代化、効率化を図ることは必要でありますけれども、経済合理性のみに基づく経営というのは問題が多いと考えております。したがって、医療法人の理事長要件そのものは堅持していくべきであると思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(坂口力君)
 これは今お話ございましたとおり、かつては理事長さんは医師、歯科医師の皆さんではなくて一般の方でもよかったわけでございますが、今お話ございましたとおり、富士見産婦人科病院事件がございまして、そして、再びこれは医師、歯科医師が務めるということにまた元へ戻してもらった経緯がございます。
 そうしたことから、今後も原則としてここは堅持をさせていただきたいというふうに思っておりますが、ただ、都道府県の知事さんが許可をすると、特別に、例外として許可をするといったようなときには若干規制緩和をするということにしたいというふうに思っております。

○中原爽君
 ありがとうございます。
 今回のこの健康保険法の一部改正について本日まで大変熱心な議論が行われてきたわけでありますけれども、医療保険制度の改革を進めるに当たりまして、国民がこの制度改革を信頼をして、安心して良質な質の高い医療が受けられる国民保険制度が維持できるということが本当の基本であろうかと思います。国民と医療関係者の理解を得るということでなければいけないと思います。
 先ほど申し上げましたように、午前中からの質疑の関係で、私がお聞きすることについては既に御回答も得ているということでございますので、多少早くなりますけれども、お立ちの先生方も多いようでございますので、これで質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。


リロード   新規 編集 凍結解除 差分 添付 複製 名前変更   トップ 一覧 単語検索 最終更新 BACKUP リンク元   ヘルプ  
Last-modified: 2008-02-28 (木) 23:27:36 (3797d)