Top / 161 参議院 厚生労働委員会 2号 平成16年11月04日

○中原爽君
 自由民主党の中原爽でございます。
 本日は、いわゆる混合診療の問題に限定をいたしまして質疑をさせていただきたいと思います。お手元に配付資料、二種類ございます。資料の一と二を用意をいたしました。この関係も含めて御説明を申し上げて、質疑をお願いしたいと思います。
 それで、お手元にはもちろん資料はございませんけれども、九月十六日、某経済新聞の社説でありますけれども、その当時はこういうふうに書いてありました。小泉純一郎首相は十日の経済財政諮問会議で、保険診療と保険外診療を併用する混合診療について年内に解禁する方向で結論を出してほしいと指示をされたと。しかし、一口に混合診療といってもいろいろな方法があると。時間を掛けて緻密な論議をしなければならないものもあると。もっと論議を整理しないと、いたずらに混乱を引き起こすと。
 こういうことが書いてございまして、その後に、このため、これまでも経済諮問会議などの場で混合診療の解禁を求める意見が出されてきたと。しかし、混合診療の具体的な姿にまで踏み込んだ論議はほとんどなされていない、こう書かれてありまして、一番下の段落のところに、あるいは一人の医師が午前中は保険診療、午後は自由診療という形の混合診療もあると、こういう表現がしてあるわけであります。
 これ、一人の医師が午前中は保険診療をやって午後は自由診療をやったと、これが混合診療だと、こういうことは成り立たないわけでありまして、一人の医師はよろしいわけですけれども、一人の患者さんについて医師が一連の医療行為の中で自由診療と保険診療を混用して用いた場合ということがいわゆる混合診療に当たるわけでありますので、この社説の表現は少し、この九月の時点でありますから、まだ十分に理解されていなかったのではないかと思います。
 また、現在、私の手元にはいろいろな医療関係団体から声明文だの要望書だのが参ります。病院関係の四団体から出ておりますのは、混合診療の解禁は容認できないと、現在の特定療養費制度を充実させて迅速に保険未収載の医療について十分な審議が行われることを要望すると。それから、特定療養費制度によって提供された医療が、できれば迅速に保険診療に収載されるようにしてほしいと、こんな要望が四団体から来ております。別の保険医の団体からは、混合診療を解禁しないこと、特定療養費の拡大をしないこと、患者負担の軽減を行うこと、こういう項目的なことが書いてございます。
 それで、お手元にお配りをいたしました資料の一でありますけれども、これ、現在の健保法、健康保険法の療養の給付についての関係条文でございまして、下に波線が引いてございますが、これは例えば健保法の六十三条そのもの全部を写したのではなくて、一部だけ写しましたところは波線にしてあるというふうにお見取りをいただきたいと思いますけれども、この六十三条が「療養の給付」という項目でありまして、被保険者の疾病又は負傷に関して療養の給付を行うと、こういうふうに書いてあります。療養の給付であります。
 それから、一部負担金については七十四条で、療法の給付を受ける者が療法の給付を受ける際に区分して一部負担金を支払うと、こうなっております。すなわち、現在、先般の法改正によりまして一部負担金が百分の三十と。給付全体としては百分の百になるわけですけれども、百分の七十が保険者が受け持つという形になって、被保険者については給付は百分の七十と。それで一部負担として健保本人、すなわち被保険者が百分の三十を負担すると、こういう条文になっているわけであります。
 ところが、家族でありますけれども、家族は被扶養者ということになりますか、被保険者の被扶養者ということでありますので、この家族の方が保険料を支払っているわけではありません。世帯主になっております健保本人、被保険者が保険料を払っているわけですから、その家族の方が病気になったという場合にその支給の、保険の支給の仕方をどうするかということになると、健保本人が病気でなくて家族が病気ですから、その家族に掛かる療養費を、被扶養者に掛かる医療費を健保本人の被保険者に療養費として支給すると、こういう格好になっているわけであります。したがって、その意味がよく理解されていないと家族も三割負担かというような言い方になるんですけれども、見掛け上はそうなりますけれども、条文の上からいけば、健保本人、被保険者が支給されている内容とその家族が支給されている実態の内容が違うということになります。
 これをまず理解をしていただきまして、したがって、医療にかかわる保険制度上は、この保険給付というのは患者本人に対して今申し上げた療養の給付が行われるわけであります。医療ですから療養の給付という実態は診療をしてもらうということになるわけでありまして、その医療行為そのものが現物で給付されていると、こういう形になります。したがって、療養の給付という給付の在り方は、要するに医療を提供してもらう、医療を受ける、この現物給付であるということが実態ということになります。そうすると、先ほどの家族は療養の医療費を支給されているということでありまして、その支給先は世帯主である健保本人の方へ支給されている、こういうふうに考えていくということが法令上の解釈であろうというふうに思います。
 そうしますと、現在その保険制度の中に別建てで特定療養費制度という制度が存在しているわけであります。これは健保法の八十六条でありまして、「被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる療養を受けたときは、その療養に要した費用について、特定療養費を支給する。」と、こうなっております。これはいわゆる健保本人がこの特定療養費の制度を受けたという場合に、現物給付という表現にはなっていないんですね。というのは、純然たる保険医療を受けるわけではありませんで、特定療養費制度という制度の中で、一部保険にかかわるものは現物給付になるのかもしれませんけれども、しかし、それは厳密に言って保険診療ではなくて、保険診療でない部分、保険外診療の部分が入り込んでいるということでありますから、その関係から、保険給付については療養の給付、すなわち現物給付という表現ではなくて特定療養費を支給するよと、こういう表現になっているということであります。
 このところでお尋ねしなきゃいけないのは、混合診療の全面解禁ということで、先般、規制改革・民間開放規制会議でしょうか、そこで中間まとめもお出しになりまして、そこでは混合診療の全面解禁をしろと、こういうことであります。混合診療というのは保険内の診療と保険外の診療を混用するということでありますけれども、これは現在の規則では禁止されております。保険診療に加えて自由診療をその場で行った場合には、これ全体が自由診療になるという約束事であります。したがって、現在はいわゆる混合されている診療は存在しないということになります。この混合診療をやるということは、今申し上げたように、どういう禁止の仕方をやめにするかということになるんですけれども、今申し上げたように、保険診療と保険外診療を混用するということは今禁止されております。だから、その禁止されているということを外さないと混合診療が成り立たないと、こういう理屈になります。
 お尋ねしようと思いますのは、混合診療の全面解禁という意味はどういう意味なのか、これをまずお尋ねしたいと思いますので、内閣府の方にお尋ねしたいと思います。

○政府参考人(河野栄君)
 お答えをいたします。
 お話ございましたように、現在の制度におきましては原則として保険診療と保険外診療の併用は認められておりませんで、一連の診療行為の中で一部でも保険外診療を行いますと、本来保険診療である部分についても保険が適用されないこととなりまして、診療すべてについて患者が費用を負担しなければならないと、こういうことで、様々な弊害が指摘されているところでございます。
 このため、規制改革・民間開放推進会議におきましては、お話ございましたように、八月の中間取りまとめにおきまして、適切な情報に基づいて患者自身が保険診療に加えて当該保険外診療を希望する場合には、患者本位の医療を実現する観点から、通常の保険内診療分の保険による費用負担を認める、いわゆる混合診療の解禁を提言しているところでございます。

○中原爽君
 今お話は伺いましたけれども、そうしますと、混合診療を解禁するという趣旨ですと、特定療養費の制度はどうなるかということを併せてお尋ねしたつもりであります。
 先ほど申し上げたように、混合診療を解禁するという意味は、今御説明のあった、現在禁止されておる保険外診療と保険内の診療を併用した場合にはこれ全部自由診療になってしまうと。ですから、自由診療になるという意味で患者負担が増えると、こういう説明をされていると思います。
 ところが、現在は本当にこの特定療養費制度というものが存在しているわけでありますので、この存在している特定療養費制度と今おっしゃった混合診療との在り方をどう考えるのかということを質問の一つにしているということであります。
 したがって、混合診療を推進するということを進めていくと、この現在の特定療養費制度はなくなるのかどうかと。当然なくなってしまうと、今の制度上はですね。そういうことになるわけなので、そこのところはどういうふうに解釈したらいいのかということをお尋ねしています。

○政府参考人(河野栄君)
 先ほど申し上げましたように、混合診療は現在特定療養費制度という形で限定的に認められておりますけれども、この制度の下では医療技術及び医療機関ごとに個別の承認が必要とされておるわけでございまして、患者のニーズに十分こたえられないとかいろいろな問題点がございますので、現在の規制改革・民間開放推進会議の前身の総合規制改革会議の時代から、混合診療を包括的に認める制度の導入を図るように提言をしてまいったところでございます。
 今年三月には、既に、一定の基準を満たした場合には、医療技術及び医療機関ごとの個別の承認を必要とせずに、届出のみによって迅速に認める手続の簡素化が図られておりますけれども、簡素化の対象になった高度先進医療は七十七、現在ちょっと増えているかと思いますけれども、そのうち二十技術にとどまっておるところでございます。
 このため、規制改革・民間開放推進会議の中間取りまとめにおきましては、こうした措置では極めて不十分であるということで、その抜本的見直しが必要ということで提言申し上げているところでございます。

○中原爽君
 ただいまの御説明ですと、現在、特定療養費制度という制度は、高度先進医療と患者さんの自由裁量面がある面で選択的に療養を選ぶという制度、二つあるわけでありますけれども、いずれにしてもそれが不備だとおっしゃっておられると思うんですが、そうすると、特定療養費制度そのものは今はお認めになっているわけですね。この点どうでしょう。

○政府参考人(河野栄君)
 現在の制度といたしまして、特定療養費という形でいわゆる混合診療が限定的に認められておるということは認識をいたしております。

○中原爽君
 ですから、その特定療養費制度は今言ったような法律上で制定されているものでありまして、今御説明のありました混合診療というのは、混合診療を推し進めていくということですとこの特定療養費制度を否定するということにつながるわけですから、そこが矛盾しているんじゃないかということをお尋ねしたつもりであります。
 まあそれはそれでよろしいと思いますので、次の配付資料の二に移りたいと思います。  配付資料の二でありますけれども、これが、表題にございますように、昭和六十一年に行われました民事訴訟、これは民事訴訟の関係で、東京地方裁判所の民事関係の第三十一部で取り扱われた判決でございます。約十八年前ということになります。これは判決が十八年前でありますから、実際の裁判はもっと前から始まっているわけであります。
 アンダーラインが引っ張ってございます。これは波線じゃなくて棒線が引っ張ってありますが、これは判決文そのものを全部写したという意味でアンダーラインを引っ張ってございます。
 少し長いんですが、時間もございますので読ましていただきます。
 国は、健康保険法の定める「療養の給付」は疾病の治療を目的とした一連の医療行為としての「現物給付」であり、法及び法の委任を受けた厚生省令の「保健医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)」は、右の「一連の行為」に自由診療と保険診療の混在することを禁じているとの考え方を前提として、治療に対し一部に保険給付外の材料を用いた場合、その治療のすべてを保険給付外とするような行政指導を行っておると、こういうことであります。
 先ほど申し上げたように、保険診療内に保険外診療内を組み入れて行った場合には、これ全部保険外の診療、自由診療になるということを規定していると、そういう形の行政指導が行われてきたと、こういうふうに書かれてあります。
 そして、健康保険制度の沿革並びに立法の経緯、すなわち、従前、「療養の給付」の範囲で認められていた「差額徴収の取扱い」が、その弊害が社会問題化したため、昭和五十一年にいったん廃止され、五十三年に復活した際には、従前の反省に立ち、差額徴収治療が適正に行われるよう行政指導を行うこととされていたところ、昭和五十九年の法改正により、通達等に基づく運用により行われていた差額徴収の取扱いに代えて、一種の混在形態としての「特定療養費制度」を新設し、これを「療養の給付」の対象から除外して法に明確に位置付け、従前の差額徴収の弊害が生じないような適正な規制の下に運用を図ることになったことにかんがみると、特定療養費制度新設後の法の解釈としては、保険診療と自由診療が混在する「混合診療」は、特定療養費の支給の対象となる療養に限られると解するのが相当であり、混合診療を、従前の差額徴収制度の弊害を生じさせないような仕組みのない、「療養の給付」の対象となる療養一般についてまで認めないと解すべきであると述べている。
 すなわち、申し上げたように、混合診療という言葉がここで初めて出てくるわけであります。約二十年前であります。それで、この混合診療は当時の差額徴収制度の弊害につながるおそれがあるので、特定療養費制度という新しい制度を作ったんだと、法令上。そういうことが書かれてありまして、すなわち混合診療というのは療養の給付ではないんだと、すなわち現物給付ではないということをはっきりここで説明しておりまして、療養の給付の対象となる療養一般についてまで混合診療を拡大するということは認めていない、こういうふうにはっきり書かれております。
 その後ですけれども、これも同じことですが、法が採用する原則的給付形態の「療養の給付」(現物給付)を前提として、健康保険制度の重要な理念である保険給付の水準の維持、向上と給付の公平を図るためには、「療養の給付」の対象となる療養を規格化、標準化、定形化して、これをあまねく実施し、健康保険財政の安定を図りつつ、「療養の給付」の水準を上げていくとともに、右の標準的に給付の対象外にあって国民的需要が高い療養については、別途、特定療養費制度等により補充していくほかはないと、こういうふうにはっきり述べているのであります。
 したがって、現在、混合診療が云々されておりますけれども、私の考えでは、十八年前にもう結論は出ているということであります。
 このたび、厚生労働省におかれては、混合診療といういわゆる従前の差額診療につながるような形のものを全面的に広げるという考えはないんだと、特定療養費制度を活用して対応していくという御説明をされていると思います。したがって、尾辻大臣には失礼かもしれませんけれども、恐らく大臣は十八年前のこの民事訴訟の判決は御存じなかったのではないかと思いますし、これは、私ども歯科の関係の、即日充てん、その日のうちに歯の中に詰め物をするという即日充てんという歯科の医療行為が混合診療に当たるのかどうかということの裁判でありまして、判決としては、いわゆる被告になっておりました厚生労働省が勝訴した形になっております。
 したがって、私ども歯科の関係の者は、この判例が司法の判断であると、法令上の司法の判断であるというふうに受け取っておりまして、これをずっと踏襲をしてまいりました。すなわち、混合診療ではなくて、混合診療に相当するものは今後特定療養費制度という中で活用していくべきである、それが療養の給付と違った形、特定療養費を支給するという形であるという理解をしてまいりました。
 この点について大臣の御所見あるいは御感想ございましたら、お願いをいたします。

○国務大臣(尾辻秀久君)
 いわゆる混合診療につきましては、このところ、こうした御質問もあるものですから、いつもこのように答えさせていただいております。
 いわゆる混合診療の解禁に係る検討に当たりましては、不当な患者負担の増大を招く、あるいは有効性、安全性を確保できないといった障害を生じさせないよう、適正なルールについて考えてまいりたい。一定のルールの下で考えるべきことであると、こういうふうに申し上げているところでございます。

○中原爽君
 ありがとうございます。
 ただいま大臣お話しいただきました内容は、先ほど申し上げたこの配付資料の二の最後のところであります。「法が採用する原則的給付形態の「療養の給付」(現物給付)を前提として、」云々と。それで、「健康保険制度の重要な理念である保険給付の水準の維持、向上と給付の公平を図るため」、こういうことでありまして、あまねくこれを標準化して規格化して実施をし、それで健康保険財政の安定を図って療養の給付の水準を上げていくんだと、こういうふうに当時の司法判断がなされております。今大臣がおっしゃったことと同じことが書かれているんだろうというふうに私は思っているわけであります。  これが、今申し上げたように、歯科の診療行為にかかわる訴訟事件、民事訴訟の中での判決でありますが、これが単に判例だというふうにお取りになるのか、それは御自由でありますけれども、しかし、ここにうたっております内容は、法が採用する、法に従ったという司法判断を下しているわけでありますので、私はこれは正しい見方であろうというふうに思います。
 今後、この点について十分御理解の上、混合診療を、いわゆる混合診療をテーマとして議論をする場合には、こういう判例があったということについては十分御承知おきをお願いしたいというふうに思うわけであります。
 それでは次の問題でありますけれども、療養担当規則というのがありまして、通常、療担規則と言っております。歯科医療にかかわります保険診療のいろいろ点数解釈というのは、これ十六年の四月版であります、一番新しいものでありますけれども、これだけの厚さがございます。この中に大臣の告示あるいは療担規則、それから特定療養費制度の基準、こういったものが全部書かれてありまして、これ全部理解するだけでも大変です。歯科だけでもこれだけの厚さがありますので、医科の場合にはもっと分厚いものであろうというふうに思います。
 その中に療養担当規則の第五条というのがあります。一部負担金の受領というのがあって、これも先ほど私が申し上げたことと同じことが書かれております。
 保険医療機関は、被保険者又は被保険者であった者については法第七十四条の規定による一部負担金、それで少し略しますけれども、被扶養者について、家族については、健康保険法第百十条の規定により家族療養費として支給される額に相当する額を控除した額の支払を受けるものとする。要するに、百分の七十を控除したもの、要するに残りの百分の三十を一部負担金とするんだと。したがって、健保本人も家族も、一部負担金としては、見掛け上、百分の三十が一部負担になっているということであります。
 これは、先ほど来これも申し上げましたけれども、医療保険の制度ですから、だれかが保険料を払っているわけであります。保険料を払っているのはもちろん被保険者本人、健保本人、健康保険の場合には健保本人であります。要するに、家族にとっては世帯主が払っている、こういうことであります。したがって、世帯主の保険給付の受け方と家族の保険給付の受け方は多少違っているという説明を申し上げました。それとあわせて、特定療養費の場合には、この医療行為そのものを現物給付として受けるのではなく、家族の療養費と似たような形の特定療養費という支給を受けるということを申し上げてきたわけであります。
 それで、この特定療養費制度というのは、特定の医療行為に限定して患者から選定ができる、患者さんが選ぶことができる療養の部分に対しての療養費を支給するということでありますので、そうしますと、今後、大臣も度々おっしゃっておられると思うんですが、この特定療養費制度を拡大するなり改善するなり、それで混合診療に対応できるんだという御説明であります。
 医療の進歩に伴って患者ニーズが多様化する、医療はもちろん進歩する、それと、患者さんのニーズがそれに伴って多様化するということでありまして、保険外給付であった医療行為を特定療養費制度、あるいはいわゆる混合診療でもよろしいですけれども、導入していくという場合には、その分について基本的に、基本的に保険で賄うという基本的な部分があるわけであります。それは保険料から出てくるということであります。病気になる人、ならない人ということでありますけれども、たまたま病気になってしまった場合に、この保険医療財源から百分の七十をまず出していただくということになるわけですけれども。
 これから特定療養費制度を拡大するということになりますと、その拡大した保険外の部分は、これはそれでよろしいんですけれども、保険内の、基本的に保険として給付する、その保険点数なら点数というものは財源が必要になります。この辺のところについて、厚労省としては今後どういうお考えがあるのか、お聞かせいただきたい。

○政府参考人(水田邦雄君)
 特定療養費で認められている医療と保険診療で認められているもの、この関係どうするかということでございますけれども、一番典型的なのは高度先進医療でございまして、保険診療を適用するにはまだデータが不足しているような高度先進医療、これは現実にもデータがそろったところで保険適用になった技術は多々ございます。基本的には、正にその保険適用の要件を満たしたものにつきましては認めていくと、こういうことでございます。
 全体のその財源どうするかという話は、正にこれ、保険財政どうするか、制度論からのアプローチもございますし、診療報酬につきましては中医協での御議論を踏まえながら議論、検討していくと、このようになろうかと思います。

○中原爽君
 規制改革・民間開放推進会議で別添の資料が出されておりまして、「混合診療が容認されるべき具体例」という資料が添付されております。
 項目、大きな項目a、b、c、dの四項目がありまして、aが専門医の間で効果が認知されている新しい検査方法、薬、治療法、bが一連の診療行為の中で行う予防的な処置、保険適用回数等に制限がある検査、cが患者の価値観により左右される診療行為、それからdが診療行為に附帯するサービスと、こうなっております。各々幾つかの各論的な事項が書いてあるわけでありますけれども、この各論的な事項の中に残念ながら歯科関係のことは一つも出ていない。まあ、これは私が文句言ってもしようがないことでありますけれども。
 例えば、患者の価値観により左右される診療行為、乳がんの治療ですが、摘出後の形成術、いろいろあります、書かれているんですけれども、表題が、患者の価値観により左右される診療行為というのは、表題としては私は適切でないというふうに思います。
 例えば、この病気が入院を必要とするかどうかというのは、これ、医師、医療担当者が判断するべきことでありまして、患者さんが入院したいとか入院しなくていいんだということではない。医療における判断でありますので、やはり医療担当者の判断の領域であります。
 ところが、病室に入るときに個室を選ぶのか、あるいは大部屋を選ぶのかというのは、これ選定療養になって、患者さんの自由裁量権があるということになります。そういう意味で、患者の価値観というのは、病気そのものに対する価値観なのかということと医療行為との違いというものは恐らく考えていかなければいけないと思うんですが、この具体例について内閣府の方で何か御意見がございますか。

○政府参考人(河野栄君)
 ここに掲載してございます具体例につきましては、学識者の意見も参考にしながら、混合診療の解禁を提言するに当たってできるだけ分かりやすい例をお示ししようということでお示しをさせていただいているものでございます。

○中原爽君
 分かりました。
 それでは、その関係も含めてでありますけれども、お尋ねしようと思います。
 同じく推進会議の参考資料として出されておりますものに、「特定療養費制度の概要」というのがあります。特定療養費制度、高度先進医療で技術数が七十七、実施の施設、医療機関、特定承認保険医療機関が百二十四施設あるんだと。それから、特定療養費制度の中の患者さんが選べる選定療養については十三種類あるということでありまして、十三種類が挙がっておりまして、その中に歯科関係は、前歯部の金属材料差額、それから金属床の総義歯、それから齲蝕患者の指導管理と、この三つであります。
 これはまさしくそのとおりでありまして、もう少し詳しく申し上げると、前歯部の金属材料差額となっておりますのは、選定療養についての厚生労働大臣の指示のところには、前歯部の鋳造歯冠修復又は金冠継続歯に使用する金合金又は白金加金の支給と、こうなっておりまして、これがいわゆる材料差額だと、こう言っております。これは、保険上は、保険内のものについては、この鋳造歯冠修復あるいは継続歯についての保険材料としてはパラジウム合金が指定されているわけであります。患者さんとしてはパラジウム以外に金合金あるいは白金加金を使ってくれという自由裁量権があると、こういうことであります。
 それからもう一つは、金属床による総義歯の提供ということでありまして、これが医療財源としてはかなり大きなものになるだろうというふうに思います。通常は、保険給付でありますとプラスチックの総義歯でありますけれども、これを一部、粘膜に接するところは金属にしてほしいと、それの方が、プラスチックよりも金属の方が吸着力が非常にいいわけでありますので、合成樹脂の総義歯よりは金属床、金属が使ってある総義歯の方がかみ合わせがいいというふうに患者さんが判断されれば、プラスチックに代わって金属床をやってほしいと、これについて特定療養費を活用すると、こういう形になります。
 それからもう一つは、齲蝕に罹患していることについて、齲蝕患者の指導管理と書いてありますけれども、実際の法令上に書かれておるのは、齲蝕に罹患している者(齲蝕多発傾向を有していない者に限る。)であって継続的な指導管理を要するものに対する管理指導。これは十三歳以下の患者さんについて弗素の塗布をする、あるいは非常に深い、歯にとって深い溝ができているものを埋めるという行為であります。
 この三つが歯科にかかわる選定療養であります。
 この中で、特に金属床による総義歯というのは、これは一応、もちろん選定療養全体に共通のことでありますけれども、まず届出をすると。この金属床による総義歯の提供をやりたいということで歯科診療所なりが、医療機関が届出をするわけでありますけれども、この一連の関係を概略御説明いただければ、大体特療というものがどういう制度なのかという御理解が得られるかと思いますので、まずこの金属床による総義歯の届出数を含めて、大体のこの基準を御説明いただけますか。

○政府参考人(水田邦雄君)
 特定療養費の制度によりまして金属床による総義歯の提供につきまして届出が行われましたのは、平成十四年で四万二千九百九医療機関でございます。全体で六万七千でございますので六割強の医療機関でこの届出を行っているということでございます。平成十二年、十三年、同様の傾向でございます。
 これに限らず選定療養を実施しようとする保険医療機関の手続でございますけれども、地方社会保険事務局長に対しまして特別な料金等の内容を報告するということになってございます。そういった保険医療機関におきましては、実施に当たりまして選定療養の内容等に関する事項を掲示する、それから十分な情報提供の下で患者の自由な選択と同意が得られるようにする、それから自費負担に係る徴収額と明確に区分した領収書を交付する、それから実施状況の地方社会保険事務局長への定期的な報告、これらを求めているところでございます。

○中原爽君
 ありがとうございます。
 ただいま御説明になりましたことは、療養担当規則あるいは特定療養費に係る厚生労働大臣の定める基準に全部詳しく載っております。例えば、有床義歯に係る患者のニーズの動向を踏まえて創設されたというのはこの金属床による総義歯の基本的な考え方でありますし、金属床総義歯とは、義歯粘膜、義歯床、床ですね、義歯床粘膜面の大部分が金属で構成されていて、顎、あごの粘膜面にその金属が直接接触する形態で、なおかつ金属部分で咬合、そしゃく力の大部分を負担できる構造の総義歯をいうんだと、こういう定義がきちっとされておりまして、保険外のこの金属床の部分についての費用、これについては明示すると、患者さんに分かるように明示すると。うちの診療所はこの部分については幾らの費用が掛かりますと。ですから、これは診療所によってまちまちであります。その歯科医師が自分で判断をして、自分の技術料等も含めてその保険外の費用を設定して届出をすると、こういうシステムになっているはずであります。
 それと同時に、元の金属床以外の部分について保険の総義歯の点数はどう考えるかといいますと、これはスルフォン樹脂を用いたものとして特定療養費を支給すると。要するに、プラスチックの義歯の点数を基本的に特定療養費を支給するという形にするんだと、こういう制度になっておるはずであります。
 そういうことでありますので、今後、混合診療を含めて、特定療養費を活用するという場合には、やはりこういったきちっとした指針が伴っているということでないと、ただ全面的に解禁するというだけが今先走っている状態ですと、医療担当者としては何の答えようもない。
 我々は、今のこの健康保険と特定療養費制度の中で生活しているわけですから、それを変えるということであれば、どういうふうに禁止するのかということをきちっと、これから年末にかけて総理大臣が言われる範囲内できちっと出していただきたい。  これを要望いたしまして、時間になりました、終わらせていただきます。ありがとうございます。


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Last-modified: 2008-03-22 (土) 11:50:58 (3436d)