Top / 163 参議院 厚生労働委員会 7号 平成17年10月27日

○中原爽君
 自由民主党の中原でございます。
 早速ですが、今お手元に配付資料をお配りしております。四枚ございまして右下に番号が振ってあります。一番ですが、左の上をごらんいただくと(参考)となっておりまして、これは、厚労省の方で医療制度構造改革試案、お出しになりました二十一ページをそのままコピーしてきました。上の段のところは、経済財政諮問会議が提案されております名目GDPの成長率に人口動態のものを掛けたというものでありまして、これで医療費を抑制すると。それに従いまして厚労省の方で仮に計算をされたという表になっております。

 それから、下半分のところは、アイウエオがありますが、エのところで保険免責制の創設。これは厚労省でお考えになっている部分かとは思いますけれども、それの内容が表の方に出ておりまして、外来一回受診千円と五百円の例示がございます。それでマイナスの三・二兆円とか、そういう計算が成り立つと、計算で出てきたという資料になっているわけであります。この二つのことについてお尋ねをしようと思います。

 配付資料の二の方でありますけれども、二番目の配付資料でありますが、これが、GDPというのは名目と実質と両方あるわけでありまして、そのうち実質のGDPが計算式が変わりました。以前というのは、去年までは、去年の暮れまでは、実質の計算式は、一九九五年を基準年度に取りまして、それからこの実質の計算を毎年やってきたわけですけれども、もう十年もたっているということでありまして、こういう一九九五年を固定基準年度にしたという方式は今採用されなくなりました。アメリカもイギリスもカナダも、こういう方式じゃなくて、毎年、前年度を基準にしてこの実質のGDPを計算するという方式で、これは連鎖方式でありますけれども、そういう方式に変えたわけであります。日本も昨年の十一月ごろからこれを採用すると。一九九五年の基準年度は廃止すると、こういうことになっております。

 それで、この上の数字が並んでおりますところは、これは内閣府でお出しになった国民経済計算の中から私が打ち変えたものでございます。したがって、実質のGDP、右側の方は数字を現在の方式に改めて作ってみました。ごらんいただきますと、左が名目で右が実質であります。一番下の二〇〇四年を見ていただくと、名目が五百五兆円、実質の方が五百三十二兆円。それからさかのぼって見ていただきますと、いずれも実質のデータの方が数値としては大きいわけであります。したがって、この名目を実質で割りますと、これが一より大きいか少ないかということになるわけですが、これ少なければその経済はデフレであるということになるわけです。

 これ見ていただくと、全部デフレの状況が続いているということが分かります。そうすると、先ほどの、諮問会議で計算式をお作りになっているわけですが、名目GDPの成長率、これを使って医療費総枠を抑制しようということをおやりになるわけなんですが、どうして名目を使うのか。GDPというのは実質もあるわけですから、実質を使うべきなのか、名目を使うべきなのかということは、私はちょっと疑問に思うんですね。どっちのデータの方が有利なのか。有利と言うとおかしいんですけれども、数字が違ってくるはずですから。ここのところはどうなっているんだということをまずお聞きしたい。これが一つ。

 それから、次の三ページ、三番でございますけれども、ちょっとごらんいただきたいと思うんですが、三番の一番上のところ、数字の1でマクロ指数の提案ということがございます。で、計算式があります。給付の伸び率イコール名目のGDPがあって、全人口の、前年度の人口で六十五歳以上の増加率を割ると。ただし、ここには掛ける二分の一というのが付いているわけなんです。

 ここには括弧の注ということが書いてありまして、その注のところは、社会保障給付費八十四兆円、二〇〇二年の実質の実績であると。このうち約半分を占める年金四十四兆円は、マクロ経済スライドの導入で名目GDPの伸び率に給付が抑制されているため、ここで残りの給付費を対象とする意味で二分の一にしたと。要するに、二分の一掛ける。全体で八十四兆円あるんだけれども、その半分の四十四兆円が年金だと。年金はこの前大騒ぎをしてマクロ経済スライドを掛けたと、こういうことになっているわけですね。

 マクロ経済のスライドで出てくる数字というのはGDPそのものですから、それを掛けたから、だからそこの年金だけはGDPがもう既に掛かっているというわけですよ。だから、八十四兆円の半分の四十四兆円は差っ引くということで二分の一を掛けると、こう説明してあるわけです。これは四月二十七日の説明なんです、諮問会議で。出典は財政諮問会議の四月二十七日の有識者議員が提出した資料であり、明らかに二分の一ということはここでうたってある。

 ところが、先ほどの資料の一でごらんいただいたように、厚労省で計算されたのはこの二分の一が掛かっていないんです。どっかで二分の一が消えちゃったということになるんですね。それ大きいですよ。年金を加算するのか、年金を差っ引いて計算するのかで数値が違ってくるわけだから。じゃどうして二分の一、四月は二分の一だった、十月になったら二分の一なくなっちゃっている、これはどういうことだということになります。

 資料の三ページをごらんいただきたいんですが、これが十月の四日にお出しになった経済財政諮問会議の配付資料、十七年の十月四日、医療制度改革について牛尾さん方の四人の連名で、これはもう経済財政諮問会議のメンバーの方でありますけれども、お出しになった別紙の1というやつですね。

 これ横にしてごらんいただきますと、注の1、注の2、注の4というのがあるんですね、注の3、注の4があります。それで、注の4をごらんいただくと、高齢化修正GDPの伸び率イコール名目のGDPの成長率プラス六十五歳以上の人口の増加数を全人口の増加数、前年度で割ったと、こういうことになって、二分の一はくっ付いてないと、ここには。どこへ行っちゃったのということですけれども、その下のところに説明書きがあるんですね。平成十七年四月二十七日諮問会議では、社会保障給付費全体に適用すべき高齢化修正GDPを提案したと。これと整合的な医療給付費に係る高齢化修正GDPは上記のようになる。何の説明だか分からない、これは。二分の一をどうしたということが書いてない。

 恐らく、二分の一の計算式はやめたと。それで、上の二分の一を取った計算式にするという意味でこの注の4が書いてあるんだろうというふうに想像できるわけですね。そうしか読み取れない。それじゃなきゃ何でこんなものを入れるか。これと整合的な医療給付費に係る高齢化GDP、上記のようになる、で、二分の一は取れてる、こういうことになっているんですね。どうしてこうなるのか説明してほしい。

 もう一度申し上げますと、経済財政諮問会議は最初、四月の時点で、年金分の四十四兆円、これを差っ引くという意味で二分の一を掛けた。そのことについては、九月の九日の日に、これは本間さん、諮問会議の委員である本間教授が某所で講演をなさっているんですね。

 そのときにどういうふうにおっしゃっているかということなんでありますけれども、いろいろ発言をされているわけなんですね。某経済保障関係の業界誌十月三日号に出ております。本間教授が都内の健康保険組合の役員を対象として講演をなさったと。そこに、四月二十七日には新しいマクロ指数を提案している高齢化修正GDPというもので、これは社会保障給付費の伸び率を名目GDPの成長率に全人口に占める高齢者割合の伸び率、パーセントを二分の一だけカウントしたものだと、こういうふうに講演でおっしゃっているんですね。  だから、九月の時点までは二分の一残っていた。ところが、十月四日になったら、先ほどの配付資料の3のように、二分の一は消えちゃったということなんですね。このことを説明していただきたい。

 すなわち、何で名目のGDPをお使いになって実質をお使いにならないのか、これが一点。それと、二分の一が消えてしまったのはどういうわけだと、これをお尋ねしたいと。

○政府参考人(松山健士君)
 ただいま御質問の点でございますけれども、経済財政諮問会議の有識者議員、高齢化修正GDPという考え方を御指摘のとおり提唱をされております。  まず初めに、実質GDPではなく名目GDPを用いる理由という点につきまして御説明をいたしますけれども、高齢化修正GDPを用いておりますその趣旨でありますけれども、これは医療費について申し上げますけれども、医療費であれば、医療費を負担することが可能かどうかの尺度としてその所得の伸びをまず考えると。それに高齢化の進展度合い、これが当然医療費の伸びを高めるということで、その高齢化の進展度を加えて考えるという考え方でございます。そして、その所得の伸びの具体的な数値としまして、先生御指摘のとおり、実質GDPではなしに名目GDPを用いていると。

 その最大の理由は、医療について考えますと、医療給付費というのは通常、名目のものとしてとらえられる、表されるということでございまして、例えば千円の医療給付が行われると、これは現在の価値で千円ということでございますので、この名目の数値である医療給付費を持続的に負担していくことが可能かを測る尺度としての所得、これは実質GDPではなしに名目GDPを用いると。そういう考え方を取っておるわけでございます。

 それから第二の点でございますけれども、諮問会議の民間議員が四月に使われました高齢化修正GDPのその式とそれから十月に提案されたときの式が異なるという点でございます。

 この点でございますけれども、本年四月に民間議員が提案をいたしました高齢化修正GDPは、対象が社会保障給付費全体を対象としております。すなわち、八十数兆円の社会保障給付費全体を対象とするときに、その全体の半分を占める年金、四十数兆円でございますけれども、先生御指摘のとおり、これにつきましては既にさきの改革で給付の伸びが名目GDP並みの範囲に収まると、そういう見通しを持っておるわけでございます。

 そして、残りの半分、これは医療ですとか介護その他でございますけれども、これは大体四十兆円程度というふうになるわけですけれども、これにつきましては名目GDPの伸びに高齢化の進展度を上乗せして考える必要があるというふうに考えておるわけでございます。  そのように考えますと、社会保障給付全体として見ると、その伸びは名目GDP伸び率に高齢化の進展度の二分の一を加えるということになろうかと思います。

 少し例示をさせていただきますと、例えば医療関係、医療、介護その他につきまして、これは四十兆円というふうに簡単に仮定いたしますと、これが一%増加すると、高齢化の要因で一%増加するといたしますと、これは四千億円の増加となると。ところが、これは社会保障給付費全体、八十兆に対してどれだけ増加をしているかということになりますと〇・五%ということで、伸び率は二分の一になるというふうになるわけでございまして、両者は整合的であるというふうに考えております。
 以上でございます。

○中原爽君
 お答えいただきましたけれども、結局、医療費の算定は名目GDPで計算した方がいいんだと、計算するというか出した方がいいと、一言で言ってしまえばそういうふうなお答えだと思うんですよ、最初の質問については。でも、名目のGDPというのは何の修正もしないでその年の、その一年間の時価を、日本の国内の経済が生み出した付加価値の総数を言っているわけですよね。ですから、それが医療費は名目でやった方がいいんだという正式な答えにはならない。やはり実質のGDPで、物価指数で調整をしたという方が私は正確だと申し上げているわけです。これが一つ。

 それからもう一点は、四十四兆円の年金を差っ引くか差っ引かないかの話になるんですけれども、差っ引いた、四月に差っ引いた式で二分の一を掛けたのは間違いなんですよ、結局は。それじゃなきゃ、この資料の中に出てくる四ページの、配付資料の四ページで棒グラフがありますよ。これ医療給付費の見通しになっているわけですね。これは年金も加えた八十四兆円で計算しているんでしょう、これ。だから、四月で二分の一を掛けたら間違いだというふうに私は申し上げている。

 あと残り時間何分もありませんので、今度は厚労省の方にお願いしたいと思うんですが、先ほど一番の配付資料でお話ししましたように、医療制度改革試案の中で、厚生省マターのお話かどうか分かりませんけれども、保険の免責制度の創設をおやりになるということで、外来一回千円あるいは五百円で計算をされたと。機械的計算の方法で計算したというふうに表現なっておりますけれども、それで、千円免責ということだとマイナスの三・二兆円が出てくると、こういうような表になっているわけですが、概略、どういうことで三・二兆円がその免責にかかわって出てくるのか、概略だけで結構ですから、どんなことで計算しましたという本当の大まかなことをお答えいただきたい。

 それから、先週も質問がございましたけれども、この免責制度というのが、現在の健康保険法の被用者の七割給付、すなわち三割負担と、そういう制度になっているわけですが、この免責が現在の保険制度、医療制度との整合性が図られているのかどうか、このことについてもう一度確かめたいと。
 この二点、お願いいたします。

○政府参考人(水田邦雄君)
 お答えいたします。
 まず、保険免責制を仮に導入した場合、機械的試算の根拠ということでお尋ねでございます。

 これは、仮に外来受診一回千円といたしますと、現行制度におきましても自己負担は三割でございますので、実質の負担増は七百円と、受診一回につき七百円と、こうなります。三割負担だけじゃなくて一割、二割の方もおられますので、それらを考えますと、平均的に見ますと外来受診一回当たり八百円の負担増になるものと計算されます。この額に受診日数の総数を乗じたものが、これが自己負担の増額の総額でございます。これが現時点でいいますと約一・五兆円、医療費の約五%の規模と推定されるわけでありまして、この五%程度の影響があると、これを基に試算を行っているところでございます。

 もう一つの要素といたしましては、一般に患者負担が増加をいたしますと医療費の水準が縮減すると、こういうことは経験的に知られておりますので、この効果を見込んだ結果といたしまして、この参考でお示しした、二〇一五年度に三・二兆円、二〇二五年に四兆円の給付削減効果があると、このように計算をしたところでございます。一回当たり五百円という場合につきましては今申し上げたものの半分強の財政影響があると、このように推計をしているところでございます。

 それからもう一つ、免責制についてどう、現在の健康保険法の規定との関係、整合性についてどのように説明するのかということでございますけれども、正に私ども、平成十四年の健保法改正附則で、「将来にわたり百分の七十を維持するものとする。」という規定があることはもう承知をしてございます。私ども、こういった趣旨を踏まえて十分かつ慎重な議論が必要であると、このように考えてございます。

○中原爽君 終わります。ありがとうございました。


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Last-modified: 2008-03-29 (土) 15:44:06 (3675d)